本研究は, 看護者と類似する医療職種で, かつ, 類似するストレスにさらされていると思われる一般医(内科・外科系医師), 精神科医(精神科医師) との比較を通して, 看護者のBURN OUT状態とそれに関連する社会的環境要因と行動特性要因を明らかにし, そしてこれらの要因が看護者のBURN OUTにどのような影響力をもつかを検討するために, 全国の看護者, 一般医, 精神科医を各専門職業団体の協力を得てそれぞれ300名, 600名, 300名を無作為に抽出し調査研究を行ったものである.
調査に用いた各変数(BURN OUT, 仕事の士気, 医療従事者仲間・上司からの活動期待, 情緒的支援, 無力体験, ストレスの高い生活出来事, 日常苛立事, タイプA行動特性, 潔癖型行動特性, 対処行動特性) は, 調査結果からの統計的分析により尺度化し多変量解析を行った.
看護者は医師に比し, BURN OUTに陥っている者の割合は顕著に高く, 特に, 一般医の約2倍以上であった. 20歳代後半の独身で同職場での臨床経験6-9年の夜勤を余儀なくされるスタッフ看護婦は, BURN OUTに対してハイリスクグループであることが明らかとなった. 看護者のBURN OUTは, 職場内の問題, 悩み, 葛藤などに代表される仕事の士気と密接に関連し, さらに職場と関連する無力体験, 医療従事者仲間・上司からの活動期待, 日常生活でのストレスの高い出来事や苛立事などの要因が複雑に作用し, 看護者のBURN OUTを左右していた. これらの影響力の強弱は, 問題対処行動のとり方と情緒的・専門的な支援者の有無にかかっていた. すなわち, 仕事そのものや職場で直面する問題や悩み, それらに影響される日常生活上での問題や葛藤に加え, 親身になって相談してくれる人もなく, また積極的に問題解決に取り組めない, このような状態が慢性化することにより看護者の心身の疲労を蓄積させ, 看護ケア意欲を失わせ, ついには看護者をBURN OUTに陥れるものであるといえよう.
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