日本看護科学会誌
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6 巻, 3 号
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  • 樋口 康子
    1986 年 6 巻 3 号 p. 1-10
    発行日: 1986/12/30
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
  • -出産時の喪失体験を中心として-
    和田 サヨ子, 近藤 潤子
    1986 年 6 巻 3 号 p. 11-21
    発行日: 1986/12/30
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    分娩体験は, 幸福な一面とともに, 自分が価値をおいている自己のいくつかの局面を失う情緒的喪失体験を持つことでもある。
    本研究において想起によって, 1) 分娩期の喪失体験, 2) 喪失体験のレベル, 3) 想起のもたらした結果について分析した。
    その結果, 出産過程において喪失反応に影響をおよぼした内的要因として, 恐れ, 罪責感, 制御喪失, 予想と現実の不一致, 産婦による事象の否定的解釈が, 分類された。外的要因として, 処置産, 医療従事者による自尊心を傷つけられる言動, 身体的不快感が分類された。その他, 児の外観に関する現実と予想の不一致やボディイメージ・役割・価値・期待に関する喪失反応が分類された。想起は, 喪失体験の情報収集の手段として役立つだけでなく, 出産体験における喪失感情を表出した産婦の34名(94%)に解放感をもたらしていることから, 想起の心理的外傷体験の回復に対する効果が, 示唆された。
  • 寺町 優子
    1986 年 6 巻 3 号 p. 22-30
    発行日: 1986/12/30
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    急性心筋梗塞の一重症患者(70歳, 男性)の慢性期において, 入浴中の一連の動作, すなわち, 湯をかける, 石鹸で清拭する, 洗髪する, 入湯するなどの動作時での収縮期血圧, 拡張期血圧, 心拍数およびPressure-Rate Product (PRP) の変化について, すでに発表した28例の急性心梗塞患者の成績と対比し検討した. 本症例の入浴時では, 湯かけ, および石鹸で清拭する動作時に著名なPRPの増大が示された. これには病態の重篤性および加齢による変化に加え, 体動による力学的負荷, 等尺性負荷, Valsalva効果, ならびに心拍出量の増大等が関与しているものと思われた. また, 本症例の入湯時においては, 収縮期血圧の著明な下降が示され, 血管反応性の低下, および心機能低下による血行力学的不安定性が示唆された. ついで, 湯の温度を38℃から徐々に44℃まで上昇させて入浴した場合では, 血圧およびPRPの変化は軽度であり, 安定性が示された. しかしながら, 心拍数は41℃以上より上昇し温熱作用による負荷の増大が認められた. 本症例のような高齢かつ重篤な急性心筋硬塞患者における入浴に際しては, 心負荷が増大しないレベルでの配慮がなされるべきである.
  • -注射に対する気持ちの母子一致度の視点から-
    横田 碧, 兼松 百合子, 野口 美和子, 内田 雅代, 永田 七穂
    1986 年 6 巻 3 号 p. 31-38
    発行日: 1986/12/30
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    糖尿病児の自己管理状況が, 児の発達と共にどのように変化していくのかを予測する方法を求めて, 交流分析理論・人格発達理論を援用して, (1)注射への気持ち, (2)注射をする時の他者への気持ち, について, アンケート項目を作成した.
    母子が独立に記入したアンケートを, 母子の一致を指標として, 児自身および母子関係の発達に応じて分類したものと, 自己管理状況の臨床的直観による分類との相互関係について, 比較検討した.
    その結果, 自己管理の良・不良の両極を予測するのには, このアンケートは, かなり役立つ可能性があることが見出された.
    今後さらに,個別のケースの詳細を吟味することによって, より予測精度の高いアンケート項目を作っていきたい.
  • -大豊町における6年間の資料解析を通して-
    谷 聡子, 松野 かほる
    1986 年 6 巻 3 号 p. 39-49
    発行日: 1986/12/30
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    高知県大豊町において, 6年間にわたり実施してきた循環器対策事業について, 1.受診率の上昇(ハイリスク者の発見), 2.ハイリスク者の減少, 3.脳卒中発症者の減少と経過の改善の3つの視点からその効果を検討することを目的とした.
    昭和53年から58年までの6年間の循環器検診受診票, 家庭訪問記録および関連資料を用い集計, 解析した.
    受診率の上昇及び継続受診者の増加によってハイリスク者の発見率が高まった. ハイリスク者の中でも特に高度高血圧者の減少は顕著で6年間に半減した. また, 6年間を前期と後期に分け比較すると40~69歳で有意に減少した. 脳卒中発症は数・率共に減少し, 昭和58年には30~59歳で発症は0となった. また, 脳出血, 脳梗塞を比較すると前者の減少傾向が大きく認められた. 循環器対策事業の評価についてハイリスク者を対象とし, 対象自体の推移と最終目標である脳卒中予防を関連してみることにより効果を判定した.
  • -一般医, 精神科医との比較を通して-
    稲岡 文昭, 川野 雅資, 宗像 恒次
    1986 年 6 巻 3 号 p. 50-60
    発行日: 1986/12/30
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    本研究は, 看護者と類似する医療職種で, かつ, 類似するストレスにさらされていると思われる一般医(内科・外科系医師), 精神科医(精神科医師) との比較を通して, 看護者のBURN OUT状態とそれに関連する社会的環境要因と行動特性要因を明らかにし, そしてこれらの要因が看護者のBURN OUTにどのような影響力をもつかを検討するために, 全国の看護者, 一般医, 精神科医を各専門職業団体の協力を得てそれぞれ300名, 600名, 300名を無作為に抽出し調査研究を行ったものである.
    調査に用いた各変数(BURN OUT, 仕事の士気, 医療従事者仲間・上司からの活動期待, 情緒的支援, 無力体験, ストレスの高い生活出来事, 日常苛立事, タイプA行動特性, 潔癖型行動特性, 対処行動特性) は, 調査結果からの統計的分析により尺度化し多変量解析を行った.
    看護者は医師に比し, BURN OUTに陥っている者の割合は顕著に高く, 特に, 一般医の約2倍以上であった. 20歳代後半の独身で同職場での臨床経験6-9年の夜勤を余儀なくされるスタッフ看護婦は, BURN OUTに対してハイリスクグループであることが明らかとなった. 看護者のBURN OUTは, 職場内の問題, 悩み, 葛藤などに代表される仕事の士気と密接に関連し, さらに職場と関連する無力体験, 医療従事者仲間・上司からの活動期待, 日常生活でのストレスの高い出来事や苛立事などの要因が複雑に作用し, 看護者のBURN OUTを左右していた. これらの影響力の強弱は, 問題対処行動のとり方と情緒的・専門的な支援者の有無にかかっていた. すなわち, 仕事そのものや職場で直面する問題や悩み, それらに影響される日常生活上での問題や葛藤に加え, 親身になって相談してくれる人もなく, また積極的に問題解決に取り組めない, このような状態が慢性化することにより看護者の心身の疲労を蓄積させ, 看護ケア意欲を失わせ, ついには看護者をBURN OUTに陥れるものであるといえよう.
  • 岡山 寧子, 山本 美智, 中塘 二三生, 上野 フジエ
    1986 年 6 巻 3 号 p. 61-65
    発行日: 1986/12/30
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    本研究は練習頻度を違えた場合の心マッサージの練習効果とその持続性を, 圧迫力と肘角度からみた. 被験者は1回/週を1ケ月(M群), 1回/日を4日(W群), 1日4回(D群) を練習した3群各5名の看護学生である. 練習は1回1分間で, 圧迫力と肘角度は40kg, 0度を目標とし, 練習前, 練習直後, 練習期終了1ケ月後, 6ケ月後に測定した.
    結果は次の通りである. M・W・D群の練習前の圧迫力は三者間の有意差はなかつた. 練習直後は3群共に練習前に比べ有意に増加して, 目標値に近づき練習効果があった. 練習期終了後は, M群が6ケ月後も目標値に近かったが, W群は6ケ月後に, D群は1ケ月後には練習前の値にもどり, M群のみ効果が持続した. 一方肘角度は3群共に練習前の三者間の有意差はなく, 練習直後, 練習期終了6ケ月後とも有意に伸展した. 以上のことから心マッサージは, 有効な圧迫力の発揮という点を考慮すると, 分散的な練習方法が効果的である傾向を示した.
  • -学生の自己評価を通して-
    金川 克子, 天津 栄子, 泉 キヨ子
    1986 年 6 巻 3 号 p. 66-75
    発行日: 1986/12/30
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    この研究は, 臨床実習における看護過程展開の学習効果を学生の自己評価の立場で設定し, 学習効果と学生の受持患者の特性, 実習分野, 学生の所属グループ, 実習の進行過程とを関連づけて, 学習効果上の問題を浮き彫りにし, 学習効果を高める方法の検討資料にすることを目的とする。
    実習のすすめ方は学生を系統抽出法による8人つつのグループ編成で一年間同一グループに所属して順次各実習分野をローテイトしている。研究方法は, 当看護学科3年次の学生77人を対象に, 同一実習分野での3週間毎の実習の最終日に, 一定様式の調査用紙に自己記入方式による回答を求めた。
    主な調査項目は, 看護過程展開の構成要素についての学習程度と受持患者とのかかわりの状況である。
    結果の概要は以下の通りである。
    1) 看護過程展開の各構成要素でみた学習効果は, 各々の実習分野内, 実習分野間共に差異がみられた。またグループ間でも差異がみられた。
    2) 受持患者とのかかわりのうち, 主に意思伝達面で小児実習と成人系実習全般との間に差異がみられた。また成人系実習のなかでは内科A実習(予後不良患者の看護) と他の成人系実習の間に差異がみられた。また患者とのかかわりの状況はグループ間でも差異がみられた。
    臨床実習における看護過程展開の学習効果には, 実習分野による特徴とグループメンバーの相互関係が示唆されたが, 今後さらに検討を深めたいと考える。
  • 「看護教育における生活概念の展開」から
    南 裕子, 薄井 坦子, 岩井 郁子, 島内 節子, 中西 睦子
    1986 年 6 巻 3 号 p. 76-103
    発行日: 1986/12/30
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
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