関節リウマチ患者の人工肘関節置換術(TEA)後感染2例に,Bush交換を含む関節前方まで到るデブリドマンと骨・インプラント間隙への抗菌薬含有セメント(ALAC)充填を行い,インプラント温存を試みた.
症例1:86歳男性.TEA後1年1か月で潜行性に感染を発症し,4週後にデブリドマン・ALAC充填を行った.術後6か月で再燃したが,再手術希望はなく,術後1年6か月で抗生剤内服を継続し,鎮静化している.
症例2:68歳女性.TEA後6年で感染を急性発症し,11日後にデブリドマン・ALAC充填を行った.術後1年で再燃はない.
潜行性発症で介入が遅れた症例1は再燃したが,早期対応できた症例2は経過良好で,温存の成否には早期介入が重要と考えられる.
ALAC充填は手技的に容易で,局所のdrug deliveryが期待でき,人工関節の抜去も不要なため,TEA後感染治療のoptionとして有用と考えられた.
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