せん妄はがん患者に多い精神疾患であり,治療や介護の困難さとともに,患者や家族に大きな苦痛をもたらす。近年,早期からのせん妄リスクの評価や介入が,せん妄の出現や重症化を予防するとされている。
当院では,入院患者に入院時からせん妄リスクの評価や予防的ケアなどを行うせん妄ケアプログラムを行っており,入院がん患者におけるせん妄プログラムの施行状況を調査したところ,約1/4にせん妄リスクが存在し,早期に予防的介入を開始されていた。また,ケアプログラムにより,せん妄リスクを早期に察知する意識の広まりが示唆された。一方,精神科コンサルテーション診断がせん妄だった症例の約半数で,せん妄ケアプログラムでの看護師による評価ではせん妄が見落とされ,特に低活動型や混合型の見落としが多かった。今後はスタッフ教育の充実や評価精度の向上,アセスメント間隔の見直しが必要と考えた。
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