過量服薬が繰り返されることは,後の自殺完遂のリスクの強力な予測因子であるが,過量服薬患者に対する精神科介入について確固たる有効性は示されてこなかった。本研究では,救命救急センターに入院した過量服薬患者に対する精神科介入が再入院の減少と関連しているかについて調べることを目的とした。DPCデータ調査研究班のデータベースを用いて,過量服薬で救命救急センターに入院した患者(2010〜2012年度退院)を特定とした。患者の特徴・病院の特徴などの因子により介入群・非介入群間で傾向スコアマッチング法を行い,両群の再入院率を比較した。救命救急センターに入院した過量服薬患者25,564人が抽出され,うち13,035人が介入を受けていた。傾向スコアマッチング法により7,938ペアが抽出され,そのうち1,304人が再入院していた。再入院率は介入群で有意に低かった(介入群7.3%,非介入群9.1%,p<0.001)。本研究により,精神科介入は再入院率の低下と関連していることが示された。
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