序言:せん妄は予後の悪化,在院日数の延長などの問題を起こすが,その多くが見逃されている。早期発見や早期介入は重要であるが,在院日数を短縮したという報告は乏しい。
方法:一般病棟の入院患者を対象に,精神科リエゾンチームがせん妄患者の早期発見を目的に病棟ラウンドを毎週行った。病棟看護師の報告,不穏時頓服の使用歴や入院時持参薬からせん妄を疑う患者を選んだ。その情報を基にラウンドを行い,せん妄患者を同定し,その場で看護師へ薬理学的・非薬理学的介入を助言した。ラウンドの実施前後で,精神科へ紹介されたせん妄患者の数,および在院日数を比較した。
結果:実施2年目では実施前に比べて,紹介されたせん妄患者の全入院患者に対する割合は増加し(1.60% vs. 0.64%,p<0.001),在院日数は短縮した(中央値28.5日vs. 42.0日,p<0.01)。
結論:病棟ラウンドはせん妄患者の在院日数を短縮する有効かつ実行可能性の高い方法であることが示唆された。
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