比較眼科研究
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31 巻
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原著
  • 坂本 雄二, 奥村 直毅, 小泉 範子, 山崎 健太, 北野 絢嗣, 沼田 諒平, 駒田 孝文, 星 信彦
    原稿種別: 原著
    2012 年 31 巻 p. 3-11
    発行日: 2012/12/27
    公開日: 2013/07/31
    ジャーナル フリー
    角膜内皮は角膜の透明性を維持するために重要な役割を果たしている。我々は、角膜内皮研究のための新たな実験動物モデルを開発することを目的とし、フェレットの角膜内皮の形態学的特徴を調べ、実験動物として用いることができるか否かを評価した。さらに、フェレット角膜を組織学的に解析し、ウサギおよびカニクイザルの角膜と比較した。フェレット角膜組織のフラットマウント標本を用いた免疫組織学的検討の結果、フェレットの角膜内皮細胞は角膜内皮機能に関連するマーカーであるZO-1、N-カドヘリンおよびNa+/K+-ATPアーゼを発現していることが確認された。また、フェレット角膜において、臨床的に重要な角膜内皮細胞のパラメーターである角膜内皮密度、六角形細胞率および変動係数を、臨床診療で用いられている分析ソフトウェアを用いて解析することができた。フェレット角膜内皮細胞の初代培養も可能であり、初代培養された角膜内皮細胞は生体内の角膜内皮細胞にきわめて類似した六角形細胞からなる単層構造を示し、機能関連マーカーであるZO-1およびNa+/K+-ATPアーゼを発現していた。
    これらの結果より、フェレットは眼科領域、特に角膜内皮研究における有用な実験動物となる可能性が示唆された。
短報
  • 木下 順三, 肝付 智文, 櫻井 健, 安田 充也
    原稿種別: 短報
    2012 年 31 巻 p. 13-17
    発行日: 2012/12/27
    公開日: 2013/07/31
    ジャーナル フリー
    本実験は、カニクイザルでの網膜電図(Electroretinogram:ERG)による杆体経路及び錐体経路機能の評価により、ヒトで報告されている薬剤誘発性のERGの変化を検出可能か調べることを目的として実施した。
    視覚障害及び可逆的な錐体系応答の変化をヒトに誘発することが報告されているジゴキシンを、5例のカニクイザルに0.01 mg/kg/dayの用量にて1ヵ月間反復筋肉内投与し、その後1ヵ月間の休薬期間を設けた。ヒトでの標準的な方法を参考に、杆体系応答(Rod response)、混合応答(Combined rod-cone response)、錐体系応答(Single-flash cone response、30 Hz flicker)を経時的に記録した。
    Combined rod-cone response及びSingle-flash cone responseでは潜時延長が、Single-flash cone response及び30 Hz flickerでは振幅低下が検出された。1ヵ月の休薬期間で、すべてのERGの変化は回復した。一方、Rod responseには明らかな変化は認められなかった。
    結論として、カニクイザルでのERGによる杆体経路及び錐体経路機能の評価によって、ジゴキシンによる錐体系応答の可逆的な変化が検出可能であった。この結果から、本法は非臨床試験にてヒトへの外挿性の高いデータを得るための手法として有用であることが示唆された。
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