比較眼科研究
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14 巻, 1-2 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
比較眼科領域の各施設
第14回年次大会
話題提供
  • 桑村 有規, 竹川 晃司, 久世 博, 川合 是彰
    1995 年 14 巻 1-2 号 p. 1-2_7-1-2_14
    発行日: 1995年
    公開日: 2020/12/25
    ジャーナル フリー

    アルビノラット(Slc: SD)にN-Methyl-N-Nitrosourea (MNU)を40および60mg/kgの投与量で腹腔内に単回投与して網膜障害を惹起し、眼底検査、網膜電位図(ERG)記録および病理組織学検査を経時的に行った。眼底検査では、40mg/kg群の投与後21日と28日に両側性に網膜動脈の狭細化がみられ、60mg/kg群ではさらに眼底の反射性亢進および視神経乳頭がより明確に観察・記録される例が投与後7日から35日までみられた。ERG記録では、40mg/kg群でa、b波振幅の低下およびb波潜時の延長ならびに律動様小波の消失が投与後1日から認められ、28日以降は回復する傾向にあった。60mg/kg群ではa、b波振幅の低下および消失が投与後1日からみられ、35日まで持続していた。網膜の病理組織学検査では、40mg/kg群で投与後3日に外顆粒層の核の配列の乱れがみられ、視神経乳頭から約2mmの位置で測定した網膜非外顆粒層に対する外顆粒層の厚さの比率(ONL比)が減少していたが、投与後35日には回復していた。これに対して、60mg/kg群では、投与後1日に既に重篤な外顆粒層の核濃縮や杆体錐体層の好酸性均質化がみられ、2日にはさらに病変は進行し、21日にはこれらの層は消失していた。さらに、21日以降では内網状層および内顆粒層で空胞が観察された。ONL比は投与後1日から低値を示し、3日には著しく減少し、21日には外顆粒層の消失に伴い0と算出された。以上に述べたMNUによる網膜の変化は、視神経乳頭付近で著しかった。

  • 印牧 信行, 長谷川 雅邦, 下村 直, 平見 博, 松浦 健二
    1995 年 14 巻 1-2 号 p. 1-2_15-1-2_22
    発行日: 1995年
    公開日: 2020/12/25
    ジャーナル フリー

    アルゴンレーザー光凝固装置(ウルティマ2000、コヒレント)を用い、イヌ眼底tapetal zoneとnon-tapetal zoneへの光凝固の影響について、通常眼底撮影像とモノクロ蛍光眼底撮影像所見より検討した。雑種成犬5頭(体重:11~14Kg)と2ヶ月齢柴犬2頭(体重:4Kg)の計7頭の左眼を用い、キシラジンと塩酸ケタミンによる全身麻酔下で、レーザー光凝固を実施した。各々の凝固条件は、サイズ:100μm、パワー:100mW、時間:0.2秒とした。凝固直後におけるtapetalおよびnon-tapetal zoneでの凝固部位は蛍光眼底所見から出血斑として観察された。しかし、眼底所見上、tapetal zoneの凝固部位は凝固直後より暗色斑として認められ、その後も残存する傾向にあった。Non-tapetal zoneの凝固部位は凝固直後で明色斑を示し、その後は不明瞭な斑として観察された。凝固周辺部における光反射性はtapetal zoneの部位がnon-tapetal zoneのものに比べより変化した。成犬と幼犬との間で凝固の影響に明確な差はみられなかった。これらの結果から、Tapetum lucidumを有する動物眼底でのアルゴンレーザー光凝固は、凝固部位によりその凝固の程度並びに障害度に違いがあることが示唆された。

  • 丹羽 信裕, 小倉 一晃, 菅沼 彰純, 佐神 文郎, 松原 孝雄
    1995 年 14 巻 1-2 号 p. 1-2_23-1-2_29
    発行日: 1995年
    公開日: 2020/12/25
    ジャーナル フリー

    ヒト用ハンドアプラネーショントノメータを用いて麻酔下ラットの眼圧測定法を確立し、本測定法の信頼性を裏付けるために、グルコース溶液負荷およびデキサメサゾン点眼によって実験的に眼圧を上昇させたラットの眼圧上昇を検出することを試みた。その結果、実験的眼圧上昇をそれぞれ経時的に検出することができた。また、当施設で過去に行われた安全性試験の中から、対照群の眼圧を集計したところ、データには比較的ばらつきが少なく、平均値は雄18.9mmHg、雌18.3mmHgであった。本トノメータを用いた麻酔下ラットの眼圧測定法は、安全性試験など、対照群との比較をすることにより眼圧上昇を検出することができるという点で、簡便で正確、かつ有用な方法であると考えられた。

症例研究
原著
  • 山村 高章, 小林 欣滋, 久世 博, 川合 是彰, 堀 正樹, 岡庭 梓
    1995 年 14 巻 1-2 号 p. 1-2_39-1-2_47
    発行日: 1995年
    公開日: 2020/12/25
    ジャーナル フリー

    ビーグルの網膜発達の形態発生を1週齢時から視覚器の発生が電気生理学的に安定となる6週齢まで組織学的に観察した。生後1週齢時では神経線維層、神経細胞層、内網状層および外神経芽細胞層が形成されていたが、未だ杆錐層は薄く、タペタム細胞は不整紡錘形で細胞配列は乱れていた。生後1週齢の電顕観察では、内網状層にはシナプスがほとんど形成されていなかった。生後2週齢時には、外神経芽細胞層は外顆粒層、外網状層および内顆粒層の三層と分化した。内網状層にはシナプスおよびシナプス小胞が形成されていた。生後3週齢時では、杆錐層の内節と外節が識別でき、外網状層では視細胞の神経突起が伸展してきた。生後6週齢時になると、網膜の各層は成熟ビーグルとほぼ同様の組織像を示し、タペタム細胞層はよく発達し、敷石状に整然と配列していた。網膜の形態学的な発育過程は電気生理学検査による機能発育に相関していた。

  • Kirk N. GELATT, Glenwood G. GUM
    1995 年 14 巻 1-2 号 p. 1-2_49-1-2_58
    発行日: 1995年
    公開日: 2020/12/25
    ジャーナル フリー

    The scale readings of Schiotz tonometer were compared to anterior chamber manometric recordings in normal and glaucomatous dog eyes. This in vivo studies compared the tonometer scale readings with 5.0, 7.5 and 10.0 weights to manometric pressures recorded from the anterior chamber in dogs under general anesthesia. The tonometric scale readings from both open and closed systems were compared to the actual manometric pressures.

    There were no significant differences between the normal and glaucomatous eyes comparing the 5.5, 7.5 and 10 g weights in both the open and closed systems. Ocular rigidity for the normal canine eye at 10 to 20 mm Hg intraocular pressure was 0.0263. The dog has less displacement of aqueous humor than man when the Schiotz instrument is placed on the cornea with the 5.5 g, 7.5 g and 10 g weights.

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