比較眼科研究
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35 巻
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短報
  • 坂井田 泰二, 島戸 望, 久保田 友成, 鈴木 勇司, 厚見 育代, 木藤 学志, 倉田 昌明, 加藤 英男
    2016 年 35 巻 p. 1-7
    発行日: 2016年
    公開日: 2019/03/29
    ジャーナル フリー

    眼科領域におけるモデル動物として、ミニブタ使用の有用性を確立するため、ミニブタ眼球の解剖学的特徴について検討した。

    ゲッチンゲンミニブタ及びNippon Institute for Biological Science(NIBS)系ミニブタを低月齢(5~13ヵ月齢)、高月齢(15~17ヵ月齢)に分けて、眼軸長、眼球重量、眼球容積、水晶体の厚み、水晶体重量、水晶体容積、硝子体重量及び硝子体容積を測定した。ゲッチンゲンミニブタ及びNIBS系ミニブタとも、NIBS系ミニブタの水晶体の厚さ及び水晶体容積を除く各パラメータは体重に中位~高い正の相関を示した。また、眼軸長に対する水晶体の厚さ等の解剖学的な特徴に明らかな差は認められなかった。

    一方、既報を基にした動物種の比較では、ミニブタの解剖学的な特徴はウサギ及びカニクイザルよりもイヌの特徴に近いと考えられた。さらに、ヒトとの比較では、ヒトの眼軸長、眼球重量、硝子体重量及び硝子体容積は体重の重いミニブタのそれらに、水晶体の厚さ及び水晶体重量は体重の軽いミニブタのそれらに近かった。

    以上、結論として、ミニブタの眼球の基礎的な計測データを得ることにより、ゲッチンゲンミニブタとNIBS系ミニブタの比較では眼球計測パラメータは体重と相関し、明らかな種内差は示されないことが判明した。また、これらにより、ヒト及び実験動物とミニブタ眼球との解剖学的特徴の位置付けが明らかとなった。これらのことから、眼科領域におけるモデル動物として、ミニブタは有用性があると考えられた。

  • 奥 春孝, 日比 大介, 黒田 顕
    2016 年 35 巻 p. 9-13
    発行日: 2016年
    公開日: 2019/03/29
    ジャーナル フリー

    Crl:CD(SD)系ラット(雌雄各90匹)について、5週齢から31週齢時まで経時的に眼科学的検査を行い、自然発生性眼病変の発生頻度や病変の推移を調べた。また、32週齢時に剖検を行い、眼球(視神経含む)の病理組織学的検査を実施した。

    眼科学的検査の結果、硝子体動脈遺残、硝子体出血及び網膜赤色点(斑)が5週齢時の検査で認められたが、いずれも加齢に伴い消失した。5週齢時に認められた第1次硝子体過形成遺残及び瞳孔膜遺残は、加齢に伴い消失した例もあったが、31週齢時でも消失しない例も認められた。加齢に伴い増加する病変としては、水晶体限局性混濁(核、前皮質)及び眼底反射性亢進が観察された。水晶体限局性混濁(後皮質、前嚢及び後嚢)、虹彩出血、固定瞳孔(散瞳剤による虹彩の反応が弱い)及び硝子体混濁は低頻度に発現したが、これらは可逆的な変化であった。水晶体後嚢のびまん性混濁は、観察期間中において消失することはなかった。眼球(視神経含む)の病理組織学的検査では、角膜上皮の石灰沈着、毛様体の褐色色素沈着、第1次硝子体過形成遺残、網膜萎縮及び網膜ひだ/ロゼットが認められた。水晶体限局性混濁については、病理組織学的に捉えることが難しい変化であった。

    以上、同一個体での眼病変の経時的推移を調べた結果、若齢から認められ消失する病変、加齢により頻度が増加する病変や、消失しない病変を明確にすることができた。

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