57および109週齢のCrj: CD (SD) IGS (IGS)ラット(57週齢雌雄各20匹、109週齢雄17匹雌29匹)の自然発生眼病変を病理組織学的に検査した。57週齢において、角膜上皮基底膜における好塩基性物質の局所性沈着を特徴とする角膜変性が雌雄ラットに観察された。前網膜細動脈ループ、網膜異形成ならびに辺縁性および瀰漫性網膜変性が57週齢雌ラットに認められた。109週齢では、角膜変性、白内障、辺縁性および瀰漫性網膜変性が雌雄ラットに観察された。109週齢ラットにおける角膜変性の発生率(雄11.8%、雌41.4%)は57週齢ラット(雄50.0%、雌75.0%)に比較して有意に低かった。これに対して、109週齢ラットにおける網膜変性の発生率(雄52.9%、雌75.9%)は57週齢ラット(雄0%、雌30.0%)に比較して有意に高かった。これらの結果は、老齢IGSラットの自然発生眼病変の特徴を明らかにすることに寄与すると思われる。
自然発生眼病変の発生時期および頻度について、雌雄各150匹のCrj: CD (SD) IGS系ラットを用いて1年間に亘り調査した。0.5%トロピカミドを点眼し散瞳させた後、倒像検眼鏡およびスリットランプを用いて眼科学的に観察した。その結果、観察された自然発生眼病変は、従来から報告されているSprague-Dawley系ラットの眼病変とほぼ同様であり、角膜混濁および水晶体混濁の観察頻度は経時的に増加していた。また、Crj: CD (SD) IGS系ラットに観察された水晶体前部の被膜下の混濁は、新たな自然発生眼病変であると考えられた。