薬物の安全性評価における電気生理学的視覚機能検査法の確立を目的として、視覚障害作用が知られているEthambutol (EB)をビーグルに反復経口投与し、網膜電図(Electro Retinogram: ERG)及び視覚誘発電位(Visual Evoked Potential: VEP)を指標として検討した。
雄ビーグル6匹(約10カ月齢、体重8~11kg)を用い、Control及びEB群に各3匹を割り当てた。投与は一般状態に変化が認められない状況下での視覚機能への影響を検討するために,残餌がみられた時点で投与量を減少させ,1000~200mg/kgまで徐々に投与量を減量して3カ月間反復経口投与した。ERG(a波、b波及び律動様小波)及びVEP(Flash-Visual Evoked Potential: F-VEP及びPattern Reversal-Visual Evoked Potential: P-VEP)を投与前、投与1、2、3、4、8及び13週後並びに休薬1カ月後(回復傾向が認められなかった1例は休薬2カ月後にも)に測定した。
EBの投与により、P-VEPは頂点潜時の延長及び波形の不明瞭化がみられ、また、休薬による回復性も認められた。一方、F-VEPは波形の再現性が悪く、明確に変化を捉えることができなかった。なお、ERGには明らかな変化は認められなかった。
以上の結果から、EBによる視覚障害は、PR-VEPの測定によりビーグルにおいても、検出可能と考えられた。
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