比較眼科研究
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15 巻, 3-4 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
新会長挨拶
第15回記念年次大会教育講演
施設紹介
原著
原短報
第15回記念年次大会一般口演
  • 長谷川 雅邦, 平見 博, 印牧 信行, 信清 麻子, 松浦 健二
    1996 年 15 巻 3-4 号 p. 3-4_131-3-4_136
    発行日: 1996年
    公開日: 2020/12/25
    ジャーナル フリー

    イヌの緑内障における外科療法として、血液透析用の中空糸による前眼房内装着を試みた。健常な雑種成犬4頭を用いて、左眼にのみ中空糸(膜厚:0.016mm、内径:0.125mm、泉工医科工業)を前眼房および結膜下組織に装着した。右眼は無処置または中空糸を装着しない疑似処置とした。術後療法は、抗生物質の点眼を1日3回とし、また抗生物質の全身投与も行った。アルコンPTGRとトノペンRを用いて、中空糸装着眼における処置後の眼圧変化について観察した。その結果、装着後1日から6日までの期間で装着眼の眼圧が無処置眼および疑似処置眼に比べ低値を示した。中空糸装着後の前房混濁は4眼中2例でみられたが、術後の経過とともに軽度のものとなった。中空糸へのフィブリン付着は外見上、術後1週より観察されはじめ6週では全4眼で見られた。走査型電子顕微鏡所見では装着中空糸へのフィブリン付着が外側面ばかりでなく内側面にもみられた。

  • 小谷 忠生, 三木 真理子, 泉澤 康晴, 山下 和人
    1996 年 15 巻 3-4 号 p. 3-4_137-3-4_146
    発行日: 1996年
    公開日: 2020/12/25
    ジャーナル フリー

    盲目、視力低下、視覚障害を主訴として本学家畜病院に'88年4月から'95年3月までの7年間に来院したイヌのうち、特に眼底像から18例について進行性杆状体-錐状体変性Progressive Rod-cone Degeneration (PRCD)と呼ばれる疾患群と推測した。さらに眼圧測定、網膜電図(ERG)測定および蛍光眼底検査を行った。犬種はマルチーズが3頭、ポメラニアン、トイ・プードル、ビーグル、雑種犬が各々2頭、シェットランド・シープドッグ、ヨークシャー・テリア、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル、ミニチュア・ダックスフンド、チン、ボルゾイ、シーズーが1頭づつであった。飼い主は視覚異常に初診時の1週間前というものから2年前の範囲で気づいており、発症推定年齢は1歳8ヵ月から10歳5ヵ月の範囲で、6~8歳が多かった。全例PRDの症状である両眼性の対光反射の減弱または消失、瞳孔散大、網膜血管の狭細化、タペタムの反射性亢進、視神経乳頭の蒼白化、ノンタペタム領域の巣状の脱色素、およびERGの消失または低電位などが認められた。本症例は、一般に諸外国で好発犬種とされているものと多少異なっていたため、それらとの違いを検討したところ我国で飼育頭数が多い小型犬種が含まれていた。PRDは遺伝的疾患と示唆されているため、組織的な繁殖計画と、定期的な眼科検診によってこの疾患を予防する必要があると考えられる。

  • 中山 直樹, 荒川 恭子, 樽本 保男
    1996 年 15 巻 3-4 号 p. 3-4_147-3-4_154
    発行日: 1996年
    公開日: 2020/12/25
    ジャーナル フリー

    薬物の安全性評価における電気生理学的視覚機能検査法の確立を目的として、視覚障害作用が知られているEthambutol (EB)をビーグルに反復経口投与し、網膜電図(Electro Retinogram: ERG)及び視覚誘発電位(Visual Evoked Potential: VEP)を指標として検討した。

    雄ビーグル6匹(約10カ月齢、体重8~11kg)を用い、Control及びEB群に各3匹を割り当てた。投与は一般状態に変化が認められない状況下での視覚機能への影響を検討するために,残餌がみられた時点で投与量を減少させ,1000~200mg/kgまで徐々に投与量を減量して3カ月間反復経口投与した。ERG(a波、b波及び律動様小波)及びVEP(Flash-Visual Evoked Potential: F-VEP及びPattern Reversal-Visual Evoked Potential: P-VEP)を投与前、投与1、2、3、4、8及び13週後並びに休薬1カ月後(回復傾向が認められなかった1例は休薬2カ月後にも)に測定した。

    EBの投与により、P-VEPは頂点潜時の延長及び波形の不明瞭化がみられ、また、休薬による回復性も認められた。一方、F-VEPは波形の再現性が悪く、明確に変化を捉えることができなかった。なお、ERGには明らかな変化は認められなかった。

    以上の結果から、EBによる視覚障害は、PR-VEPの測定によりビーグルにおいても、検出可能と考えられた。

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