比較眼科研究
Online ISSN : 2185-8446
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39 巻
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短報
  • 松浦 尚哉, 大高 康裕, 八巻 敦美, 工藤 圭介, 工藤 荘六
    2020 年 39 巻 p. 3-8
    発行日: 2020/12/25
    公開日: 2021/12/30
    ジャーナル フリー

    不可逆的視覚喪失に陥った18犬種の緑内障高眼圧眼に対するシドフォビル硝子体内注射処置の有効性と合併症を臨床的に評価した。抗緑内障降圧薬で眼圧の制御ができない緑内障高眼圧眼54眼に、0.4 %オキシブプロカイン塩酸塩を用いた点眼麻酔下においてシドフォビルを500 μg / 0.1 mlの用量で硝子体内へ注射した(単回処置群;STG)。同処置後、ベタメサゾンリン酸エステルナトリウムを1 mg結膜下注射し、眼圧が25 mmHg以上の眼球には前房穿刺を実施した。最初のシドフォビル硝子体内注射処置後、供試眼の眼圧を14、28、42日目に測定し、それが25 mmHg以上の症例に対して2回目のシドフォビル処置を初回と同じ用量、かつ同じ手法でシドフォビル初回投与14日目に再投与(重複処置群;RTG)するとともに、同28日目においても眼圧が25 mmHg以上の眼球には硝子体穿刺を行って液化硝子体を除去した(重複処置後の硝子体穿刺群;RTHG)。シドフォビル硝子体内注射処置前の眼圧中央値は51.5 mmHgで、STG、RTG、RTHGの眼数(%)と眼圧中央値は、それぞれ43眼(79.6 %)と10 mmHg、8眼(14.8 %)と12.5 mmHg、3眼(5.6 %)と9 mmHgであった。シドフォビル硝子体内注射処置に伴う合併症は眼球癆(11眼 / 20.4 %)、白内障(7眼 / 13.0 %)、ぶどう膜炎(4眼/ 7.4 %)乾性角結膜炎(3眼/ 5.6 %)、潰瘍性角膜炎(2眼 / 3.7 %)、非潰瘍性角膜炎(1眼 / 1.9 %)であったが、身体検査と血液検査において全身的な副作用は認められなかった。シドフォビルの硝子体内注射は、不可逆的視覚喪失に陥った犬の緑内障高眼圧眼に対する救済的処置として有用な臨床手技になりうることが示唆された。

  • 山本 哲弥, 小川 竜也, 加藤 周平, 梛木 脩, 福永 八千代, 望月 雅裕
    2020 年 39 巻 p. 9-13
    発行日: 2020/12/25
    公開日: 2021/12/30
    ジャーナル フリー

    雌雄各12例のゲッチンゲンミニブタを3から14か月齢にかけて定期的に臨床眼科学的に検査し、眼球の背景所見を評価した。目視検査で虹彩の不均一な色素分布が、また、倒像検眼鏡検査及び細隙灯検眼鏡検査で、瞳孔膜遺残、硝子体動脈遺残、水晶体血管膜遺残及び紋理眼底が観察され、いずれも先天性所見と考えられた。水晶体の各部に種々の形態で混濁がみられた。水晶体前皮質の微粒状混濁は3か月齢から観察されたが、14か月齢までその発生頻度あるいは病変の程度に変動はみられなかった。一方、水晶体の核、後皮質及び後嚢における混濁は月齢が増加するとともに発生頻度が増加する傾向がみられ、特に後皮質の限局性混濁と後嚢の微粒状、限局性ならびにび漫性混濁は9か月齢以降に発症した。これらより、ゲッチンゲンミニブタを用いた安全性評価試験を実施する際には、水晶体の自然発生性混濁病変の発症時期を考慮する必要があると考えられた。

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