比較眼科研究
Online ISSN : 2185-8446
Print ISSN : 0286-7486
ISSN-L : 0286-7486
14 巻, 3-4 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
第14回年次大会
シンポジウム
  • 福井 正信, 安達 二朗, 赤池 勇
    1995 年 14 巻 3-4 号 p. 3-4_105-3-4_113
    発行日: 1995年
    公開日: 2020/12/25
    ジャーナル フリー

    イヌ科動物中,われわれに最も身近なイヌを主たる対象として,その眼底検査に於いて留意すべき点を記した。本領域の研究を進める場合,medical biologyの立場ではなく,まずcanine ophthalmologyを確立すべく努力し,そこからcomparative medicineの視点で他哺乳類(有蹄類,霊長類各種を含めて)の比較研究・応用を志すことが,結局は豊かな成果を広く享受する捷径とみる。いずれの場合も,個体を対象として時系列的検討を可能とするデータの収集を基本的に求めたい。遺伝性疾患の広範囲・組織的調査は,当該疾患の排除の基礎となるが,健全な種の発展のためには,その疾患のモデルとしての開発も,その種自体を含め,広く哺乳類全体への豊かな果実をもたらす手段として評価したい。

  • 竹川 晃司, 久世 博, 三村 哲夫, 三百田 匡, 堀 正樹
    1995 年 14 巻 3-4 号 p. 3-4_115-3-4_124
    発行日: 1995年
    公開日: 2020/12/25
    ジャーナル フリー

    小動物用眼底カメラ(Kowa RC-2 model-621)を用いてラットおよびマウスの,眼底カメラ(Kowa RC-2)を用いてウサギの各種条件下での普通眼底および蛍光眼底撮影を実施した。ラットの普通眼底およびウサギの眼底撮影は無麻酔下で,ラットの蛍光眼底およびマウスの眼底撮影は麻酔下で行った。

    普通眼底撮影では,アルビノのラットおよびマウスでは50Wの光量4が適し,有色では100Wが最適であった。白色ウサギでは網膜反射が強く,NDフィルターを用いた50W, 光量2で,有色では,50W, 光量2で良好な撮影像が得られた。蛍光眼底撮影では,アルビノのラットで尾静脈からの蛍光色素注入量が0.4ml/kg, 100Wの条件下が最適であり,有色では大腿静脈から0.3ml/kgを注入しての100Wが適していた。ウサギでは,アルビノおよび有色とも後耳介静脈を用い,蛍光色素注入量が0.2ml/kg, 50W, 光量6が最適な条件であった。

ワークショップ
  • 松本 一彦
    1995 年 14 巻 3-4 号 p. 3-4_125-3-4_126
    発行日: 1995年
    公開日: 2020/12/25
    ジャーナル フリー
  • 水野 有武
    1995 年 14 巻 3-4 号 p. 3-4_127-3-4_128
    発行日: 1995年
    公開日: 2020/12/25
    ジャーナル フリー
  • ―イヌ―
    高橋 栄治, 根岸 剛, 長島 吉和
    1995 年 14 巻 3-4 号 p. 3-4_129-3-4_133
    発行日: 1995年
    公開日: 2020/12/25
    ジャーナル フリー

    当所における実験手技および操作方法の再確認のため,成体雄ビーグル3頭に塩酸クロルプロマジンの1%水溶液を10mg/kgの投与量で単回静脈内投与し,網膜電位図(ERG)を経時的に測定した。その結果全例で投与1時間後にa, b波の頂点潜時の延長傾向および振幅の低下がみられ,回復したのは投与48時間後であった。回復するまでの頂点潜時および振幅の推移は3例を通じほぼ同じ傾向を示した。

    以上の結果より,今回実施した実験においてデータに対して大きな影響を与えるような手技および操作上の問題点はなく,再現性および信頼性についても十分に評価に耐える結果が得られた。しかし,ERG測定時の動物の保定または筋電および交流の混入に対しての対処方法等についてはさらに改善の余地があると思われた。

  • ―イヌのERG測定方法について―
    鈴木 泰二, 野村 孝弘, 満園 東治
    1995 年 14 巻 3-4 号 p. 3-4_135-3-4_139
    発行日: 1995年
    公開日: 2020/12/25
    ジャーナル フリー

    網膜電位(ERG)の安全性試験への応用を目的にイヌを用いて検討した。

    塩酸エタンブトール(EB, 500 mg/kg/day)を7日間反復経口投与した結果,眼底の色調の変化並びにERG波形のa波およびb波に潜時の延長傾向並びに振幅の低下傾向が窺われたが,視覚異常を示唆する行動変化は認められなかった。その後,4週間の休薬によっても眼底の色調の変化は回復しなかったが,ERG波形は回復傾向を示した。

    イヌでは無麻酔で網膜電位を測定する場合,眼球の動きあるいは筋電によると思われるノイズがERG波形に現われることから,動物の保定に工夫が必要であったが,技術的には経験の積み重ねにより安全性試験での応用は充分可能であると思われた。

    今後はERG波形の変化と網膜の病理組織学的変化との関連を検討する一方で,背景データの蓄積が急務であると思われた。

  • 中山 直樹, 荒川 恭子, 阪川 隆司, 木村 正明, 樽本 保男
    1995 年 14 巻 3-4 号 p. 3-4_141-3-4_149
    発行日: 1995年
    公開日: 2020/12/25
    ジャーナル フリー

    電気生理学的視覚機能検査手法である網膜電図(Electro Retinogram: ERG)および視覚誘発電位(Visual Evoked Potential: VEP)を指標としての有用性をイヌについて検討した。

    雄ビーグル13頭を,キシラジンおよび硫酸アトロピン混合液の皮下投与で鎮静させた後,ERG(a波,b波および律動様小波)ならびにVEP(F-VEPおよびPR-VEP)を測定した。測定は5日から1週間の間隔で2回行い,再現性を確認した。その結果,ERGは動物実験において通常測定されa波およびb波に加え,律動様小波を再現性良く記録することが可能であった。一方,VEPにおいて動物実験で通常測定されるフラッシュ刺激による方法(F-VEP)は発光量等の測定条件に左右され,再現性は必ずしも良くないと考えられた。これに対し,パターンリバーサル刺激(PR-VEP)ではヒトと同様,イヌにおいても再現性の良い波形を記録することが可能であった。

    以上より,動物実験で電気生理学的視覚機能検査として既に取り入れられているERGのa波およびb波,並びにF-VEPの他に,ERGに関しては律動様小波が,また,VEPではPR-VEPが,ともにイヌの電気生理学的視覚機能検査に応用可能と考えられた。

  • 秋江 靖樹, 松井 裕, 舟橋 紀男, 松村 豪一
    1995 年 14 巻 3-4 号 p. 3-4_151-3-4_159
    発行日: 1995年
    公開日: 2020/12/25
    ジャーナル フリー

    視覚障害を引き起こす薬物を投与したイヌに対して,障害の進行および回復を客観的に評価するため,局所麻酔のみで網膜電位図(electroretinogram, ERG)を測定し,a波,b波ならびに律動様小波について検討した。

    視覚障害を引き起こす薬物にはethambutolおよびsodium iodateを用い,いずれも日局生理食塩液に溶解した。ethambutolは250mg/kgを腰背部皮下に4週間連日,sodium iodateは30mg/kgを前腕橈側皮静脈に単回,それぞれ投与した。

    ERGの測定は,局所麻酔下でethambutol投与例が投与前,投与第5, 7, 14, 21および28日,sodium iodate投与例が投与前,投与後1, 3, 5, 24, 48, 72時間および7, 14日に誘発反応記録装置を用いて行った。光刺激は単回刺激とし,キセノンランプを用い,刺激強度20ジュールで被検眼の前方30cmより行った。時定数は0.3および0.003秒とした。また,ERG測定と同日に眼底検査を実施した。

    その結果,ethambutol反復皮下投与例では,投与期間を通してERG各波に明らかな変化はなかったが,眼底検査で投与第5日よりタペタム部の褪色が認められた。

    Sodium iodate単回静脈内投与例では,投与後1時間よりa波およびb波の電位が減少し,減少は投与後48~72時間に最も顕著になり,それ以降回復傾向を示した。律動様小波は,a波およびb波とほぼ同様の推移を示したが,回復傾向は明らかでなかった。また,眼底検査において,投与後24時間よりタペタム部に限局性の変色域が認められた。

  • 池田 孝則, 日高 正泰, 大森 礼子, 成瀬 信次, 宮沢 英男, 久野 博司
    1995 年 14 巻 3-4 号 p. 3-4_161-3-4_168
    発行日: 1995年
    公開日: 2020/12/25
    ジャーナル フリー

    ラットにおけるERGの測定法につき,その再現性および麻酔薬の影響について検討した。ラットはERG検査前2~3時間暗順応させた。ついで,エーテル麻酔下で腹位に保定し,角膜表面麻酔(ベノキシール点眼)を施した。コンタクトレンズ型の記録電極を角膜上に,また針電極を不関電極および接地電極として額と耳に付けた。覚醒後,眼から30cmの距離に設置したキセノンフラッシュを用いて,単発の光刺激(0.6 J)を与え,ERGを誘発させた。記録は,日本光電製のNeuropack Four Miniを用いて,High cut 1 kHz, Low cut 1 Hz, 感度200 mV/div., 送引速度20μsec/div. で行った。22例のラットでのa波およびb波の振幅は,それぞれ446±55μVと971±116μVであり,前者の潜時は18.7±0.9 msec, 後者のそれは55.7±4.0 msecであった(平均値±標準偏差)。これらの変動係数は,振幅では12%, 潜時では5ないし7%であったことから,振幅に比して,潜時はより安定したパラメータと思われた。また,5例のラットのERGを,記録日を変えて3回測定した時のaおよびb波の潜時と振幅の変動係数はほとんどが10%以下であり,ほぼ良好な再現性が認められた。

    ペントバルビタール(40 mg/kg, ip)麻酔の影響を,5例を用いて調べた。投与前の値と比較した場合,振幅にはa波で6%, b波で20%の減少が,また潜時にはa波で26%, b波で14%の延長が認められた。ペントバルビタール麻酔はERGのa波およびb波に対して影響を与えることが確認された。

    さらに,エーテル麻酔を使用しないで保定する方法についても検討し,この条件下でもほぼ1時間の暗順応で安定したERGが測定可能であった。

    本方法により,a波およびb波のほぼ安定した振幅および潜時が得られ,一方ペントバルビタール麻酔の影響も検出できた。ゆえに,網膜に対する被験物質の影響を電気生理学的に検出するために,本方法は非常に有用と考えられた。

原著
資料
feedback
Top