日本健康教育学会誌
Online ISSN : 1884-5053
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33 巻, 1 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
新年のご挨拶
巻頭言
論壇
実践報告
  • 松田 真保, 早見 直美
    2025 年33 巻1 号 p. 10-22
    発行日: 2025/02/28
    公開日: 2025/03/08
    ジャーナル フリー

    目的:健康行動に対する自己効力感の向上をねらいとした食育アプリを活用し,授業と食育アプリからなる朝食改善プログラムの評価と課題の検討を行った.

    方法:2022年7月~2023年3月,大阪府下の中学1年生110名を対象に,朝食に関する授業と食育アプリによるセルフモニタリングからなるプログラムを実施した.アプリは行動科学理論に基づき,個別最適化されたフィードバックや日替わりコラムによる情報提供機能等を搭載した.評価は,実施前後のアンケート調査(男子37名,女子38名,有効回答率68.2%)と,事後のフォーカスグループインタビュー(男子5名,女子5名)を行った.

    結果:プロセス評価では,生徒はプログラムを概ね理解できており,役に立つと感じていた.また,女子は食育アプリに面倒という印象を持った一方,男子は好印象を持ち朝食の改善に活用していた.影響評価では,前後比較において,男子全体で自己効力感に関連するセルフケア能力スコアの増加,牛乳・乳製品摂取の増加がみられた.また「バランスのとれた朝食摂取」の行動変容ステージの進行群で,男子は規則正しい生活への自信,女子は朝食の利点認識が増加した.

    結論:生徒の反応は概ね良好であり,特に男子において,自己効力感の改善がみられた.本プログラムは健康行動に対する自己効力感の向上の一助となる可能性が示された.

  • 嘉瀬 貴祥, 徳岡 大, 武田 知也, 横光 健吾, 中嶋 智史, 吉本 美穂, 高野 裕治, 伊藤 義徳, 佐藤 隆夫
    2025 年33 巻1 号 p. 23-33
    発行日: 2025/02/28
    公開日: 2025/03/08
    ジャーナル フリー

    目的:児童生徒のメンタルヘルスや社会適応に関する問題認識に基づき,大学の教員で構成される研究チームが,愛媛県教育委員会人権教育課と協働して実施した事業のなかで,愛媛県と協働して実施した全数調査の内容と評価について報告することを目的とした.

    活動内容:2023年6月から7月にICT学習支援システムを介した調査を実施した.全4回の調査のなかで,計10種類の心理尺度を用いた心理測定が実施された.調査対象者は,愛媛県内のすべての公立小学校5, 6年生,および公立中学校1, 2年生,40,554人の児童生徒であった.

    活動評価:調査の結果より,児童生徒のメンタルヘルスに関する基礎データを蓄積することに繋がるのに加えて,児童生徒へのメンタル面へのサポートの重要性を示す上でも重要な知見が得られた.また児童生徒にとって,調査への参加が,自己分析や自己理解の機会となっていた可能性がある.

    今後の課題:本調査で明らかとなった結果を,学校教育や児童生徒の人間関係構築力の向上に役立てていく必要がある.愛媛県教育委員会では,2024年度以降に児童生徒の心の育ちと教職員の学級作りを支援するために,ICT学習支援システムを活用した人間関係構築力育成のためのプログラムの開発を計画している.

  • 久祢田 珠暉, 河嵜 唯衣, 赤松 利恵
    2025 年33 巻1 号 p. 34-44
    発行日: 2025/02/28
    公開日: 2025/03/08
    ジャーナル フリー

    目的:お茶の水女子大学生協食堂では作り過ぎによる食品ロスの課題があった.そこで廃棄直前の料理を値引きして販売する「OchaEco弁当」を実施した.本実践報告では,取組内容の報告とともに弁当売上等の結果評価と利用者・食堂職員視点のプロセス評価を報告する.

    活動内容:2023年4月より,昼食営業での売れ残りを食堂職員が詰めなおしOchaEco弁当として販売した.ご飯付弁当300円,おかずのみ弁当200円とした.

    活動評価:2023年5~7月の販売数はそれぞれ123個,243個,248個,販売重量は35.9 kg, 67.6 kg, 74.1 kg, 売上額は32,100円,63,100円,64,700円であった.利用者へのオンライン調査(解析対象132人)では,内容満足度(0~100)の平均値(標準偏差)は77.9(18.3),価格満足度は88.8(14.6)であった.食堂職員へのグループインタビューでは,取組開始時「短時間で行うこと」が大変だったが,7月には慣れ「売れるよう詰め方を工夫」等の意見があった.一方,値引きした商品へ利用者の関心が集まることに「商売として良いのか葛藤」したことや「夕食の食品ロスに課題」等の意見もあった.

    今後の課題:取組により食品ロス重量が削減でき,利用者の満足度も高かった.今後は,夕食の食品ロス削減や根本原因である作り過ぎを抑える等の対策が必要である.

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