我国の伝統的食品の一種であるカツオ節類は,製造工程中に"かび付け"といわれる重要な工程がある.焙乾したカツオ(ソウダカツオ,サバを原料とする雑節もある.)をかび付け箱に入れ,室(むろ)に入れてかびの生育に適した温・湿度を与えるのみで,特に純粋培養した種菌を接種することもなく,室やかび付け箱に付着していたかびが種菌となる.このような現状から,マイコトキシン産生菌が混入しカツオ節に生育する危険性もあるため,鰹節類業界の協力により全国の産地からカツオ節を直接集め,マイコトキシン汚染の有無を調べると共に,カツオ節に生育しているかびを分離し,分離菌のマイコトキシン産生の有無を検討した.また,焙乾してかび付けを行なう直前のカツオに,既知のマイコトキシン産生菌を接種,培養し,マイコトキシン産生の有無を検討することにより,カツオ節のマイコトキシン汚染の可能性についても検討した.
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