マイコトキシン
Online ISSN : 1881-0128
Print ISSN : 0285-1466
ISSN-L : 0285-1466
最新号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
Part I (Papers in English)
Award Review
  • 吉成 知也
    2022 年 72 巻 2 号 p. 71-73
    発行日: 2022/07/31
    公開日: 2022/08/13
    ジャーナル フリー

     アフラトキシン類は,Aspergillus flavusAspergillus parasiticusなどのかびによって生産される二次代謝産物で,トウモロコシ,木の実,ドライフルーツ,香辛料など様々な食品から検出される.非常に強力な発がん性を有することから,食品におけるアフラトキシン汚染の防除は,安全な食品の流通の観点から喫緊の課題である.かびによるアフラトキシン生産を制御可能な化合物の応用は,農作物のアフラトキシン汚染防除に有効と期待されており,これまでに数多くのアフラトキシン生産阻害物質が天然有機化合物などから発見されている.我々は,放線菌が生産する二次代謝産物を対象に新規のアフラトキシン生産阻害物質の探索を行ってきた.このレビューでは,我々が研究に取り組んできたアフラトキシン生産阻害物質であるブラストサイジンA,ブラストサイジンS,ジオクタチンA及びポリオキシン類について,紹介する.

Research Paper
  • 吉岡 育哲, 中川 博之, 桐村 光太郎
    2022 年 72 巻 2 号 p. 75-83
    発行日: 2022/07/31
    公開日: 2022/08/13
    ジャーナル フリー

     工業的利用が期待できる有機酸産生菌であるAspergillus tubingensis(以前はA. nigerに分類されていた)WU-2223Lについて4種の主要なカビ毒(アフラトキシン,オクラトキシン,フモニシン,パツリン)の非生産性を確認するために,ゲノム配列解析とLC-MS/MS分析を行った.ゲノム配列解析から,WU-2223LのゲノムDNAにはアフラトキシンおよびパツリンの生合成クラスターを含まれる遺伝子が含まれないことを明らかにした.また,オクラトキシンAおよびフモニシンB2の生合成クラスターのホモログ遺伝子の一部と想定される短い遺伝子領域が見出されたが,その他の大部分の遺伝子領域を欠失していた.すなわち,本菌株においてこれらの生合成クラスターの大規模な欠損が起きたことが示唆された.いくつかの典型的な培地を用いて調製した本菌株の培養物についてLC-MS/MS分析を行ったところ,これらの4種の主要カビ毒は不検出(検出限界未満)であった.以上より,WU-2223L株において4種の主要カビ毒の産生能力がないことがゲノム配列情報だけでなく代謝物分析からも明らかにした.我々が得た知見からA. tubingensis WU-2223Lはクエン酸のような有用物質の発酵生産に利用できる安全な菌であることが示された.

Letter
パート II(日本語論文)
プロシーディング
  • 比嘉 悠貴, 深見 裕之, 小野 直亮, 金谷 重彦
    2022 年 72 巻 2 号 p. 97-101
    発行日: 2022/07/31
    公開日: 2022/08/13
    [早期公開] 公開日: 2022/04/13
    ジャーナル フリー

     紅麹菌(Monascus)を米に生育させた紅麹米は,世界中で食品として利用されている.近年は天然色素としての着色料だけではなく,血圧低下作用やコレステロール低下効果など機能性食品としての利用も高まっている.紅麹菌はヒトの健康に良い効果をもたらすモナコリンKやアザフィロン色素を生産する一方で,健康を害すると考えられるカビ毒シトリニンも作る.したがって,安全に食品として利用できるカビ毒シトリニンをつくらない紅麹菌の産業利用が望まれる.我々は,紅麹3菌種について次世代シークエンサーを用いたゲノム解析とLCMSを用いた二次代謝物解析を行った.その結果,ゲノムレベルと代謝物レベルでカビ毒シトリニンを生産しない紅麹菌株としてMonascus pilosus NBRC 4520とMonascus ruber NBRC 4483を見出した.また,Monascus ruberについてはシトリニンを生産することが報告されているが,Monascus pilosusについてはゲノムレベルでシトリニンの生合成遺伝子が保存されていないことが複数の菌株で報告されている.したがって,食品として利用するための紅麹菌種として安全性が最も高いのはMonascus pilosusであると考えられる.これらの研究知見が,安全な紅麹菌の研究を通じて食品への利用,世界中のヒトの健康の維持増進へ貢献する端緒となれば幸いである.

feedback
Top