あるサンプル中の含有成分を検索する場合,測定する目的物質が既知化合物の場合には化学的なアッセイが可能でマイコトキシンに関してもTLC法,HPLC法,アフィニティクロマト法,イムノアッセイ法等優れた方法が開発され数多く報告されている.一方,測定する対象が未知物質であったり特定の化合物に限定されない時は選定するための何らかの基準が必要で,活性物質を対象とする場合にはバイオアッセイが有効な手段となる.種類と状態によって異なるが,通常マイコトキシン検索の対象試料に付着する真菌類の菌数は,食品の場合10
3 ~10
4個/g,香辛料,生薬原料の場合10
4~10
5,時には10
7個を数えることが報告されている.これらを構成する菌種は,置かれている環境の変化に伴いmicrofloraの変遷があるものの,100~200種が検出される.同一種の菌であっても,株によっては全く異なる代謝産物を生成することが多いため,検索すべきサンプル量は膨大になる.このような大量のサンプルからマイコトキシンを検出するために,効果的かつ迅速なスクリーニング法が必要で各種の研究がなされている. 本報告においては,我々が試みたバイオアッセイ及び化学的検討について報告する.なお,本発表の菌学的検討は宇田川俊一(東京農業大学),バイオアッセイについては梅田誠(横浜市立大学・医学部),梅原薫(静岡県立大学・薬学部),土屋利江(国立衛生試験所),aflatoxin(AF)検出は田中敏嗣ら(神戸市環境保健研究所)との共同研究である.
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