SPring-8/SACLA利用研究成果集

Section A

4D-CT によるシリコンのファセット-デンドライト遷移過程の三次元その場観察

森下浩平, 安田秀幸, 杉山明, 竹内晃久, 上杉健太朗

2025 年 13 巻 1 号 p. 1-4
発行日: 2025/02/28
公開日: 2025/02/28

DOIhttps://doi.org/10.18957/rr.13.1.1

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　本研究では時間分解の放射光Ｘ線 CT を用いて、シリコン融液中における平滑界面からファセット成長へ、さらにはデンドライト成長へと遷移する素過程のその場観察を試みた。その結果、従来の二次元的な観察では解釈できなかった、<112> 方向に成長するＨ型のファセットデンドライトの時間発展が明らかとなった。

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高エネルギー CT による、隕石中のコンドリュールの衝撃による付着組織形成過程のその場観察

上椙真之

2025 年 13 巻 1 号 p. 5-9
発行日: 2025/02/28
公開日: 2025/02/28

DOIhttps://doi.org/10.18957/rr.13.1.5

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　隕石中に含まれる、珪酸塩からなる 1 mm 以下程度の球粒物質、コンドリュール同士が付着した組織の形成メカニズムを解明するために、隕石の衝撃実験を行い、その実験前後に CT 装置で三次元観察した結果を比較して、組織変化の様子を観察した。結果として、コンドリュール同士が付着する組織が、衝撃・圧縮のために新たに発生した様子を観察する事は出来なかった。一方で、衝撃後の試料では、亀裂など組織破壊の様子が観察され、これらの影響により、コンドリュールの形状が観察しづらくなっていた。今後は、高い温度での実験を行うとともに、より境界が観察しやすい隕石試料を使用して同様の実験を行い、変形の様子を確認するとともに、画像処理により歪みの三次元分布を計算し、統計的にコンドリュールの変形を調べる事を検討する。

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準安定 β 型 Ti 合金におけるナノサイズ微細構造の結晶 PDF 解析による定量評価

篠原百合, 深堀恒輔, 篠崎翔, 尾原幸治

2025 年 13 巻 1 号 p. 10-13
発行日: 2025/02/28
公開日: 2025/02/28

DOIhttps://doi.org/10.18957/rr.13.1.10

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　本研究では、準安定 β 型 Ti 合金におけるナノサイズ ω 相の結晶構造解析を、結晶 PDF 解析により行った。BL04B2 を使用した in-situ 加熱Ｘ線全散乱測定(室温～300℃)により G(r) を得ることで、各測定温度における ω 相のシャッフリング量の定量評価を試みた。実験で得られたG(r)において、構成相から想定されるピークの一部は出現しなかった。これは、試料作製時に形成した集合組織の影響であると考えられる。今回の測定温度域ではシャッフリング量の値は 0.44 と見積もられた。

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Study of the Magnetoelectric Coupling in the Fe-based Double-perovskite YBaCuFeO₅

Y. H. Liang, S. C. Lu, C. H. Du

2025 年 13 巻 1 号 p. 14-15
発行日: 2025/02/28
公開日: 2025/02/28

DOIhttps://doi.org/10.18957/rr.13.1.14

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　The double-layered perovskite YBaCuFeO₅ undergoes a commensurate to incommensurate magnetic transition at about T_N2~175 K. Distinguishing the contributions of both Fe³⁺/Cu²⁺ to the magnetic structures is crucial for the further understanding of the magnetoelectric coupling and the physical properties of YBCFO. Using RIXS on BL12XU, we observed an excitation peak at the pre-edge of Fe K-edge at room temperature.

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硬Ｘ線光電子分光による Ce₂Rh₂Ga の Ce 価数状態の研究

佐藤仁, 三村功次郎, 上田茂典, 高畠敏郎, André M. Strydom

2025 年 13 巻 1 号 p. 16-20
発行日: 2025/02/28
公開日: 2025/02/28

DOIhttps://doi.org/10.18957/rr.13.1.16

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　新規セリウム化合物 Ce₂Rh₂Ga は T_t = 128.5 K で起源不明の相転移を示す。その転移に伴う Ce 価数の変化を硬Ｘ線光電子分光により調べた。試料破断後の試料表面の酸化が顕著だったが、Ce 3d スペクトルには 3d4f⁰、3d4f¹、3d4f² 成分が観測され (3d は 3d ホールを表す)、降温とともに 3d4f¹ 成分が減少し、3d4f⁰ 成分が増大する傾向を示した。転移点における急激な変化はみられなかった。

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Hydrogen Bonding States of Water Molecules in the Proximity of Self-Assembled Monolayers

Ryonsok Chang, Kosuke Yamazoe, Yoshihisa Harada, Tomohiro Hayashi

2025 年 13 巻 1 号 p. 21-23
発行日: 2025/02/28
公開日: 2025/02/28

DOIhttps://doi.org/10.18957/rr.13.1.21

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　We employed X-ray emission spectroscopy (XES) to reveal the hydrogen bonding states of water molecules in the vicinity of self-assembled monolayers (SAMs). Our measurements demonstrated that the hydrogen bonding states of the water molecules depend on the terminal groups of alkanethiols constituting the SAMs. We discuss the hydrogen bonding states of water molecules in the vicinity of the SAMs.

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Chondrule の加熱・溶融/結晶化過程のその場観察再現実験

上椙真之

2025 年 13 巻 1 号 p. 24-28
発行日: 2025/02/28
公開日: 2025/02/28

DOIhttps://doi.org/10.18957/rr.13.1.24

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　隕石中に含まれるコンドリュールの特徴的な結晶組織を再現し、その物理化学条件から形成環境の制約条件を得るために、加熱/溶融・結晶化過程のその場観察を行った。0.5 mm 程度の試料を加熱することにより、表面張力の効果で容器との接触面が小さくなり、結果として無容器実験と同じ条件で結晶化が起こる事を利用し、olivine の結晶化過程を観察した。この結果、大きな過冷度の元で結晶化する様子の観察に成功したが、殻状結晶の形成は起こらなかった。これは、溶融液滴中の大きな温度勾配を実現することが出来なかったこと、及び試料と試料ホルダが結晶化の始まる直前に濡れる事が原因であると考えられる。今後はこれらの課題を克服し、より精度の高い実験を行う予定である。

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V 型線毛蛋白質の結晶化と予備的結晶学研究

小島嶺, 庄子幹郎, 柴田敏史, 竹川宜宏, 今田勝巳

2025 年 13 巻 1 号 p. 29-31
発行日: 2025/02/28
公開日: 2025/02/28

DOIhttps://doi.org/10.18957/rr.13.1.29

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　Bacteroidetes 門細菌である⻭周病細菌 Porphyromonas gingivalisは、宿主組織への接着や細菌間接着による細菌叢の形成に V 型線毛を用いる。本研究では、V 型線毛の形成・接着機構の解明を目指して、P. gingivailis V 型線毛先端蛋白質 FimC、FimE、および Mfa 線毛の一種である Mfa53 線毛蛋白質のＸ線結晶構造解析を行った。FimC、Mfa53 について回折強度データを収集した。しかし、分子置換法で位相決定できず、重原子置換体結晶からの異常分散データも不十分であったため、構造解析には至らなかった。

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Section B

Sm₂Co₁₇ 磁石の局所ヒステリシス特性測定による減磁機構解析

藤原照彦, 町田浩明, 小谷佳範, 中村哲也

2025 年 13 巻 1 号 p. 32-36
発行日: 2025/02/28
公開日: 2025/02/28

DOIhttps://doi.org/10.18957/rr.13.1.32

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　Sm₂Co₁₇ 磁石の減磁機構を解明するために、XMCD (X-ray magnetic circular dichroism) による磁区観察を、測定磁場を変えながら実施し、得られた吸収係数の値により組織の局所的な M-H ループを求めた。Sm₂Co₁₇ 系磁石の組織は大別すると主相である結晶粒と結晶粒間に介在する粒界相、及び Sm₂O₃ の３相に分類されるが、得られた結果より、結晶粒と粒界相の磁化はほぼ同様の値を示すのに対し、保磁力については結晶粒と粒界相で大きく異なり、結晶粒に対し粒界相は非常に小さい値を示すことが分かった。

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時間分解Ｘ線イメージングを利用した Al-Fe-Si 系金属間化合物の晶出挙動の解明

北村智之, 堀口元宏, 西村友宏, 桂翔生, 福田一徳, 森拓弥, 安田秀幸

2025 年 13 巻 1 号 p. 37-39
発行日: 2025/02/28
公開日: 2025/02/28

DOIhttps://doi.org/10.18957/rr.13.1.37

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　展伸用 Al-Mg-Si 系合金における AlFeSi 系晶出相の成長形態を実証的に理解するため、時間分解透過Ｘ線イメージングを用いて組織形成過程をその場観察した。測定には、観察試料を高真空下で溶解後に 6 ℃/min で冷却、その間の組織変化を時間分解能 5 fps で撮影した。結果、観察対象である AlFeSi 系化合物は、凝固末期に発生・成長しており、大半が棒状に成長した後に板状へ変化している様子を本合金系において初めてその場観察することができた。

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ウレタンゴム中における表面修飾セルロースナノファイバーの凝集構造の解析

遠藤崇正, 伊藤桂介, 佐久間華織, 曽根宏, 佐藤勲征

2025 年 13 巻 1 号 p. 40-44
発行日: 2025/02/28
公開日: 2025/02/28

DOIhttps://doi.org/10.18957/rr.13.1.40

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　セルロースナノファイバー（CNF）の表面修飾によるポリウレタンゴム中での凝集構造変化を調べるため、極小角/小角Ｘ線散乱測定を行った。表面修飾CNFの散乱プロファイルには、凝集体サイズの減少を示す変曲点が観測され、ポリウレタンゴム中における CNF の凝集構造は、表面修飾の有無によって顕著に異なることが示唆された。また、引裂試験からは表面修飾 CNF を添加したポリウレタンゴムの引裂強度向上が確認された。これらの結果は、表面修飾による凝集の抑制が引裂強度向上につながることを強く示唆するものといえる。

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磁気ディスク用アルミニウム合金基板の形状変化に及ぼす残留応力の影響調査

北脇高太郎, 山下賢哉, 鈴木賢治, 豊川秀訓

2025 年 13 巻 1 号 p. 45-48
発行日: 2025/02/28
公開日: 2025/02/28

DOIhttps://doi.org/10.18957/rr.13.1.45

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　磁気ディスク用 Al 合金基板の耐変形性の向上には、製造工程で発生する残留応力を把握し低減することが重要である。本研究では、変形量が異なる基板用ブランクを用い、二重露光法により残留応力を測定し、板厚方向に等分割した応力マップを算出した。変形量の大小に関わらず板厚中央から上半分は引張応力が支配的であったのに対し、下半分は圧縮応力が支配的であった。変形量が異なるブランクの差異としては、変形量が大きいブランクは、下半分の一部において圧縮応力が大きい傾向であった。

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Section C

XAFS 計測用電流/電圧変換増幅器に関する技術開発

加藤和男, 工藤統吾, 片山真祥

2025 年 13 巻 1 号 p. 49-52
発行日: 2025/02/28
公開日: 2025/02/28

DOIhttps://doi.org/10.18957/rr.13.1.49

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　電流/電圧変換増幅器の広帯域性によるバンチ構造を反映した信号構造を平滑化するために、アンプ前段設置型ローパスフィルターの開発、評価を行った。発振抑制型フィルターの開発を行い、周波数カットオフ特性、発振抑制特性ともに改善した。また、狭帯域増幅器の開発に関する検討を行い、BL01B1 での XAFS 測定において 10 kHz～20 kHz の周波数特性が最適であることがわかった。

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