日本神経回路学会誌

巻頭言

場の未来からの回来

清水博

2013 年 20 巻 1 号 p. 1-2
発行日: 2013/03/05
公開日: 2013/05/17

DOIhttps://doi.org/10.3902/jnns.20.1

ジャーナルフリー

PDF形式でダウンロード (116K)

解説

脳内で観察される周波数の異なる神経振動

夏目季代久, 中司弘樹

2013 年 20 巻 1 号 p. 3-6
発行日: 2013/03/05
公開日: 2013/05/17

DOIhttps://doi.org/10.3902/jnns.20.3

ジャーナルフリー

抄録を表示する抄録を非表示にする

脳内には様々な周波数を持ったリズム現象が観察されている．私たちはラット脳から作成した海馬スライスに，アセチルコリン作動薬であるカルバコールを投与すると，周波数15-20Hzのβ波様振動が出現する事を明らかにした．それらはまた周期30-40秒ほどでバースト的に誘導される．一方ラットを12時間12時間の明暗（LD）サイクルの環境下におくと，そのサイクルに引き込まれて行動する．L，D期それぞれのラットから切り出した海馬スライスにカルバコールを投与すると誘導したβ振動は異なった．この結果は，脳内神経の異なる周波数リズム間に相互作用がある事を示唆している．

抄録全体を表示

PDF形式でダウンロード (515K)
数理的観点から見た生物システムにおける認識のロバスト性

小川健一朗, 三宅美博

2013 年 20 巻 1 号 p. 7-13
発行日: 2013/03/05
公開日: 2013/05/17

DOIhttps://doi.org/10.3902/jnns.20.7

ジャーナルフリー

抄録を表示する抄録を非表示にする

我々は，ショウジョウバエの頭尾軸形成における遺伝子発現の理論的研究を通じて，多細胞生物における細胞の観測行為と観測結果の関係を数理的にモデル化し，個体差に対する遺伝子の発現パターンのロバスト性に対して新たな説明を与えた．この数理モデルは，発生生物学の問題に限らず，広く生物システムにおける主体の行為と知覚，およびそれに基づく認識のロバスト性に関する現象をモデル化する際に数理的観点から示唆を与えるものと考えられる．そこで，本稿では，ショウジョウバエの頭尾軸形成における遺伝子発現におけるロバスト性の問題を例にして，この数理モデルの特徴について解説を行う．

抄録全体を表示

PDF形式でダウンロード (1628K)
発達期小脳アストロサイトの機能と秩序形成

吉田祥子, 穂積直裕

2013 年 20 巻 1 号 p. 14-18
発行日: 2013/03/05
公開日: 2013/05/17

DOIhttps://doi.org/10.3902/jnns.20.14

ジャーナルフリー

抄録を表示する抄録を非表示にする

小脳神経回路の形成に大きく影響する伝達物質を可視化するため，生物学的な酵素反応，化学的な表面処理，工学的な光導波技術を利用した新しい神経伝達物質可視化デバイスを開発した．これを用い，アストロサイトが発達期小脳において「雰囲気」と時間秩序を作っていることを観察した．

抄録全体を表示

PDF形式でダウンロード (2347K)
in vitro 皮質脊髄スライス培養系での神経軸索の退行

吉岡昇, 村部直之, 桜井正樹

2013 年 20 巻 1 号 p. 19-22
発行日: 2013/03/05
公開日: 2013/05/17

DOIhttps://doi.org/10.3902/jnns.20.19

ジャーナルフリー

抄録を表示する抄録を非表示にする

我々は，皮質脊髄スライス共培養系を用い，蛍光タンパクで標識された皮質軸索のタイムラプス画像の解析を通じて，皮質軸索が脊髄内で過剰に伸展した後に退行を示すこと，その退行の過程において軸索側枝の伸展と刈り込みが繰り返されること，軸索刈り込みの過程においては，(1) リトラクション（退縮），(2) アンピュテーション（切断），(3) ディジェネレーション（変性）が起こることを見出した．皮質脊髄投射軸索が刈り込みを受けるとき，皮質脊髄運動神経細胞が状況に応じてこれらの様式を選択できるとすれば，それは神経回路網の形成過程において有利な特質となるであろう．

抄録全体を表示

PDF形式でダウンロード (580K)
ヒトの脳の巨視的構造と機能の発達

多賀厳太郎

2013 年 20 巻 1 号 p. 23-27
発行日: 2013/03/05
公開日: 2013/05/17

DOIhttps://doi.org/10.3902/jnns.20.23

ジャーナルフリー

抄録を表示する抄録を非表示にする

胎児期から乳児期にかけて，ヒトの脳のマクロな構造と機能がどのように発達するのかについて，実証的な知見が蓄積されてきた．自発活動とネットワークの形成過程に注目し，脳の発達とヒトの行動発現の原理について議論する．

抄録全体を表示

PDF形式でダウンロード (248K)
時空間パターン生成による情報処理

牧野悌也

2013 年 20 巻 1 号 p. 28-31
発行日: 2013/03/05
公開日: 2013/05/17

DOIhttps://doi.org/10.3902/jnns.20.28

ジャーナルフリー

抄録を表示する抄録を非表示にする

脳における運動制御や外界の認知機能は，神経回路が生成する時空間的活動パターンを機能的な単位として発現すると考えられる．予測不可能に変化する実世界の中で脳が適応的に機能するために，神経回路は状況に応じた多様なパターンを生成できなければならない．本稿では，我々がこれまで行ってきた神経回路の時空間パターン生成と機能発現に関する計算論的研究を概説する．

抄録全体を表示

PDF形式でダウンロード (273K)
嗅覚中枢における振動活動と伝搬波

渡辺恵

2013 年 20 巻 1 号 p. 32-36
発行日: 2013/03/05
公開日: 2013/05/17

DOIhttps://doi.org/10.3902/jnns.20.32

ジャーナルフリー

抄録を表示する抄録を非表示にする

陸産軟体動物の嗅覚中枢である前脳葉には，伝搬波を伴う振動活動がみられ，匂い刺激に対して振動数と伝搬速度の増加が起きる．振動活動は匂いの識別に関与することが示唆されている．伝搬波は機能単位を形成するニューロン群の間の関係を決定し，高次の情報処理に関わっている可能性が考えられる．

抄録全体を表示

PDF形式でダウンロード (236K)
行動の計画と前頭前野ダイナミクス

坂本一寛, 虫明元

2013 年 20 巻 1 号 p. 37-41
発行日: 2013/03/05
公開日: 2013/05/17

DOIhttps://doi.org/10.3902/jnns.20.37

ジャーナルフリー

抄録を表示する抄録を非表示にする

我々は，サル前頭前野神経細胞活動の解析を通じて，行動計画の策定時にある神経細胞群が発火頻度で符号化している情報を動的に遷移させること，また，それに伴い非線形系に特徴的な現象である同期発火の上昇等を見出した．これらは，前頭前野神経回路が，状況に応じて一連の行動を動的に組織化することで，複雑な環境に適応する上で重要な役割を果たしていることを示唆している．

抄録全体を表示

PDF形式でダウンロード (488K)
生体運動における即興的適応制御

矢野雅文

2013 年 20 巻 1 号 p. 42-47
発行日: 2013/03/05
公開日: 2013/05/17

DOIhttps://doi.org/10.3902/jnns.20.42

ジャーナルフリー

抄録を表示する抄録を非表示にする

新規環境·新規タスクに対する即興的な運動パターンを生成できる能力を得たことが，哺乳類が恐竜や爬虫類に代わって天下を取ったのだとNicholai A. Bernsteinは，著書「デクステリティ巧みさとその発達」で述べている．大脳新皮質の役割は学習による定型動作を獲得するためでなく，過去の膨大な学習結果は運動の即興性に役に立っていて，環境が予測不可能的にしかもダイナミックに変化する時には本質的になる．現代の制御論に基づいた生体運動制御は運動の即興性に関して無力であり，自律的適応を導入してその解決を図る．

抄録全体を表示

PDF形式でダウンロード (279K)

報告

「脳と心のメカニズム」第13回冬のワークショップ参加助成報告（1）

西田洋司

2013 年 20 巻 1 号 p. 48
発行日: 2013/03/05
公開日: 2013/05/17

DOIhttps://doi.org/10.3902/jnns.20.48

ジャーナルフリー

PDF形式でダウンロード (127K)
「脳と心のメカニズム」第13回冬のワークショップ参加助成報告（2）

山下歩

2013 年 20 巻 1 号 p. 49-50
発行日: 2013/03/05
公開日: 2013/05/17

DOIhttps://doi.org/10.3902/jnns.20.49

ジャーナルフリー

PDF形式でダウンロード (167K)

受賞報告

2012年度日本神経回路学会大会奨励賞受賞報告

2013 年 20 巻 1 号 p. 51-54
発行日: 2013/03/05
公開日: 2013/05/17

DOIhttps://doi.org/10.3902/jnns.20.51

ジャーナルフリー

PDF形式でダウンロード (229K)

会報

会報

2013 年 20 巻 1 号 p. 55-59
発行日: 2013/03/05
公開日: 2013/05/17

DOIhttps://doi.org/10.3902/jnns.20.55

ジャーナルフリー

PDF形式でダウンロード (271K)

編集後記

編集後記

2013 年 20 巻 1 号 p. e1
発行日: 2013/03/05
公開日: 2013/05/17

DOIhttps://doi.org/10.3902/jnns.20.e1

ジャーナルフリー

PDF形式でダウンロード (138K)

J-STAGEへの登録はこちら（無料）