日本神経回路学会誌
Online ISSN : 1883-0455
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21 巻, 3 号
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巻頭言
解説
  • 大森 敏明
    2014 年 21 巻 3 号 p. 115-121
    発行日: 2014/09/05
    公開日: 2014/10/31
    ジャーナル フリー
    樹状突起は,局所回路から受け取られる多種多様な情報の統合を担う座として,実験と理論の両側面から精力的に研究されてきた.樹状突起が受け取るシナプス入力は,情報の種類に応じて空間的に区画化される傾向があることが知られており,情報の受け手である樹状突起の空間構造は,情報処理上の機能的役割を担っているものと考えられる.しかしながら,樹状突起の空間構造が細胞レベルや局所回路レベルの情報処理に与えている影響は明らかではない.本稿では,海馬CA1錐体細胞の樹状突起における電気特性の空間構造に注目した理論研究を中心に紹介し,樹状突起上の電気特性の不均一性が情報統合に与える機能的役割を考察する.
  • 窪田 芳之
    2014 年 21 巻 3 号 p. 122-131
    発行日: 2014/09/05
    公開日: 2014/10/31
    ジャーナル フリー
    大脳皮質の局所神経回路は,多種類の神経細胞と他の領域からの入力線維から構成されており,それらが作る神経回路は非常に複雑である.神経細胞の概念を見つけた偉大なる神経科学者カハールが,大脳皮質の神経細胞をこの世に紹介して100年以上経ったが,大脳皮質の局所神経回路の配線は,いまだにほとんどわかっていない.我々の脳には百兆以上のシナプス結合部位があり,気の遠くなる程複雑な神経回路を作り,認知·感情·思考·記憶·意識など,科学的立場から未だに神秘的に見える機能を実現している.ただし,その神経回路は,局所神経回路の繰り返しユニット構造が基本になっていると考えられており,現在,その局所神経回路ユニット構造を明らかにする為に,世界中の神経科学者がしのぎを削って解析を進めている.本解説では,これまでに明らかになった大脳皮質に存在する神経細胞のサブタイプと局所神経回路の概略を紹介する.
  • 藤山 文乃
    2014 年 21 巻 3 号 p. 132-135
    発行日: 2014/09/05
    公開日: 2014/10/31
    ジャーナル フリー
    大脳基底核を病変の主座とするパーキンソン病やハンチントン病の主症状として,随意運動の障害や不随意運動が認められることから,大脳基底核が運動の実行や調節に関わっていることは明らかであろう.また,近年では黒質-線条体のドーパミン系を中心に強化学習などの新たな機能的側面も注目されている.運動と学習,この二つを大脳基底核はいかにして同時に手がけているのであろうか.筆者は大脳基底核を形態学的のみ観察してきたため,この疑問に直接答えることはできない.しかし解析を進める中で,大脳基底核には大脳皮質や小脳にはない形態学的な特徴があり,この特徴こそが大脳基底核が複数のミッションを同時に遂行できる鍵ではないかとの思いを持っている.まだまだ道半ばではあるが,研究の途中経過を報告する.
  • ~アブダクションの実装?~
    坂本 一寛
    2014 年 21 巻 3 号 p. 136-148
    発行日: 2014/09/05
    公開日: 2014/10/31
    ジャーナル フリー
    脳の神経細胞は多くの入力を受け,多くの出力を出す.つまり,脳の神経配線は,拡散·収束構造を持つ.脳には,神経配線が全くのランダム構造であれば出現しないような解剖学的構造や神経細胞応答が見られる.ここでは,神経配線の拡散·収束構造を,画像処理で広く使われるハフ変換に代表されるパラメータ空間への投票と仮定したとき,どのような処理が可能なのか,どのように生理実験結果を説明するのか,について,大脳皮質視覚関連領野のモデルを通じて例示する.また,パラメータ空間への投票とアブダクション(仮設生成)とのアナロジーについて私見を述べる.
会報
編集後記
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