静止立位姿勢の神経制御メカニズムの本質的特徴は,姿勢の柔軟性と安定性が同時にかつロバストに実現されている点にあると考えられる.従来の生体運動制御理論の立場では,姿勢あるいは運動の柔軟性と安定性は互いに相反する性質であり,高い安定性を求めると姿勢や運動の柔軟性は低下する.近年,我々は,柔軟性を保ちながらも立位姿勢をロバストに安定化することができる神経制御メカニズムとして,静止立位姿勢の間欠制御モデル(intermittent control hypothesis)を提唱している.本稿では,これまで定説であった立位姿勢のスティッフネス制御と新しい仮説である間欠制御に関して考察する.