【目的】橈骨遠位骨折に合併した尺骨茎状突起base骨折に対する治療成績を内固定術の有無に分けて明らかにすること. 【対象および方法】対象は36症例で内固定あり群が16例, 内固定なし群が20例であった. あり群・なし群の順で, 平均年齢62.1・64.2歳, 平均経過観察期間10.4・11.5ヵ月であった. 両群とも術後数日間の厚めの包帯固定のみで疼痛に応じ自動運動を許可した. 評価項目は術後の経時的な可動域, 握力, DASHスコア, 手関節尺側部痛の有無とした. 最終評価時の総合臨床成績は日手会の評価基準を用いた. 【結果】臨床成績は, excellent: 14・17例, good 2・3例であり両群間に有意差はなかった. また, その他評価項目いずれも最終評価時に両群間の有意差はなかった. しかし可動域は術後早期で, なし群の成績が有意に良好であり, 握力はすべての経過観察期間を通じ, なし群の成績が有意に良好であった. 尺骨茎状突起骨折の骨癒合率は, あり群81.3%(13/16例), なし群35.0%(7/20例)であった. 【まとめ】総合臨床成績は両群とも良好で有意差はなかった.
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