アフリカツメガエルの卵胞細胞に卵胞刺激ホルモン(FSH)とアデノシン(Ade)をそれぞれ灌流投与して受容体を刺激すると,膜電位固定法下ではいずれもK
+電流応答が発生する.これは,受容体とcoupleしている三量体Gタンパク質(Gs)が活性化してadenylate cyclase (AC)がcAMPを産生し,続いてprotein kinase A (PKA)が活性化した結果,ATP sensitive K
+ channel(K
ATP channel)が開くことによる.これらの受容体を介して発生したK
+電流応答は,100 nM インスリンを灌流により前投与すると,いずれも著しく抑制された.cAMPの細胞内注入で発生したK
+電流応答は同様にインスリンの前投与で抑制されたが,K
+チャネル開口薬cromakalimの灌流投与で発生するK
+電流応答は抑制されなかった.さらに,protein tyrosine phosphataseを抑制するphenylarsine oxideを前投与すると,受容体刺激で発生するK
+電流応答はインスリンの場合と同様に著しく抑制された.これらの結果から,インスリンの作用部位は産生したcAMPがPKAと結合する過程からK
ATP channelが開くまでの間であると示唆された.
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