岩手医学雑誌
Online ISSN : 2434-0855
Print ISSN : 0021-3284
70 巻, 2 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
原著
  • 畑中 智貴, 大塚 幸喜, 木村 聡元, 松尾 鉄平, 佐藤 慧, 八重樫 瑞典, 箱崎 将規, 佐々木 章
    2018 年 70 巻 2 号 p. 39-48
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/31
    ジャーナル オープンアクセス
    直腸癌に対する腹腔鏡下低位前方切除術(laparoscopic low anterior resection, LLAR)は高難易度手術とされ,その因子として狭い骨盤内での手術操作の困難性が指摘されている.本研究では,岩手医科大学附属病院において2013年4月から2015年3月の間に初発原発性直腸癌(Ra,Rb)に対してLLARを施行した50例(男性27例,女性23例)を対象に,術前CTから計測した骨盤内容積(pelvic volume, PV),直腸容積(rectal volume, RV),骨盤部前後径[入口部(Inlet),出口部(Outlet)],内視鏡器具を挿入する右下腹部ポート刺入部における腹壁の厚さ[腹壁(abdominal wall, AW),皮下脂肪(subcutaneous fat, SF),筋層(muscle layer, ML)]等の解剖学的因子と,総手術時間(total operating time, TOT),出血量,body mass index(BMI)等の臨床的因子について,LLARにおける難易度の指標と定義した骨盤内操作時間(pelvic operating time, POT)との関係を統計学的に検討した.体重(相関係数r=0.417)とPOTとの相関を認め,またBMI(r=0.332),出血量(r=0.263),PV(r=-0.293),ML(r=-0.290)でも弱い相関を認めた.単変量解析によるとBMI(p=0.007),体重(p=0.005),PV(p=0.028)は有意なPOTの因子であり,多変量解析でもPV(p=0.047)は有意な因子であった.PVはLLARにおける有用な難易度予測因子であると考えられた.
  • 藤田 玲子, 木村 眞吾
    2018 年 70 巻 2 号 p. 49-58
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/31
    ジャーナル オープンアクセス
    アフリカツメガエルの卵胞細胞に卵胞刺激ホルモン(FSH)とアデノシン(Ade)をそれぞれ灌流投与して受容体を刺激すると,膜電位固定法下ではいずれもK+電流応答が発生する.これは,受容体とcoupleしている三量体Gタンパク質(Gs)が活性化してadenylate cyclase (AC)がcAMPを産生し,続いてprotein kinase A (PKA)が活性化した結果,ATP sensitive K+ channel(KATP channel)が開くことによる.これらの受容体を介して発生したK+電流応答は,100 nM インスリンを灌流により前投与すると,いずれも著しく抑制された.cAMPの細胞内注入で発生したK+電流応答は同様にインスリンの前投与で抑制されたが,K+チャネル開口薬cromakalimの灌流投与で発生するK+電流応答は抑制されなかった.さらに,protein tyrosine phosphataseを抑制するphenylarsine oxideを前投与すると,受容体刺激で発生するK+電流応答はインスリンの場合と同様に著しく抑制された.これらの結果から,インスリンの作用部位は産生したcAMPがPKAと結合する過程からKATP channelが開くまでの間であると示唆された.
症例
  • 佐々木 教之, 下沖 収, 上杉 憲幸, 佐々木 章
    2018 年 70 巻 2 号 p. 59-63
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/31
    ジャーナル オープンアクセス
    症例は66歳,女性.横行結腸癌術後で当科に定期通院していた.平成27年9月の腹部造影CT検査で脾腫瘍を認め,増大傾向にあることから転移性脾腫瘍,血管腫,悪性リンパ腫などが疑われた.平成28年5月脾臓摘出術を施行し,病理組織診断で血管肉腫の診断が得られた.脾臓原発血管肉腫の悪性度は高く,予後はきわめて不良である.今回,脾臓原発血管肉腫の1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.
研究会抄録
学位報告
feedback
Top