岩手医学雑誌
Online ISSN : 2434-0855
Print ISSN : 0021-3284
70 巻, 5 号
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Original
  • 伊藤 智範, 田島 克巳, 相澤 純, 佐藤 洋一
    2018 年 70 巻 5 号 p. 153-163
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/28
    ジャーナル オープンアクセス
    岩手医科大学の地域医療実習医療機関と,地域包括支援センター連携の実情を明らかにする.2017年2月にアンケート調査を実施した.訪問診療などの実施は,33医療機関(82%)であった.地域包括支援センター運営協議会参加が13医療機関(32%)で,地域ケア会議参加は31医療機関(77%)であった.地域包括支援センターで運営協議会があるのは40支援センター(85%)・地域ケア会議開催は,46地域(98%)であった.岩手医科大学の地域医療実習施設では,包括ケアに関わる会合への参加率が高く,訪問診療・看護などの在宅医療実施率も高率であった.医療機関では地域ケア会議などへの参加率の向上が,地域包括ケアセンターでは人員の充足が必要で,お互いの密な連携が今後の課題である.
  • 瘻孔損傷の危険因子は何か?
    菊地 大輝, 下沖  収, 高橋 智弘, 星川 浩一, 山田 哲也, 伊藤 浩信
    2018 年 70 巻 5 号 p. 165-171
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/28
    ジャーナル オープンアクセス
    胃瘻チューブは定期的な交換が必要なため,胃瘻チューブ交換時の瘻孔損傷が散見されるようになった.本研究は胃瘻チューブ交換の前に瘻孔損傷のリスク因子を解明することを目的とした.日本のある病院での5年間の外来での胃瘻チューブ交換を集計することができた.患者の人口統計,現病歴,既往歴,栄養状態,交換時に用いたチューブや交換方法,および交換までの期間を収集した.成人328人に対し,1,279件の胃瘻チューブ交換を行っていた.瘻孔損傷は10例(0.78%)認め,全例,初回交換時に瘻孔損傷が発生していた.同施設にて胃瘻造設し,初回のチューブ交換を行った46例を再度集計した.瘻孔損傷は7例(15.2%)認めた.そのうち糖尿病の既往は5例認め,p‹0.05で有意差が認められた.胃瘻チューブ交換の際には,瘻孔損傷が稀に起こり,安全な胃瘻チューブ交換を可能にするためには初回交換かどうかと既往に糖尿病があるかを確認することが大切である.
Case Report
  • 本郷 修平, 佐藤 美治, 永田 博文, 鈴木 健二
    2018 年 70 巻 5 号 p. 173-179
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/28
    ジャーナル オープンアクセス
    ex-utero intrapartum treatment (EXIT)とは帝王切開時に胎児治療を必要とする児に対し,娩出前に子宮胎盤循環を保ったまま外科的治療を行う手技である.今回我々はデスフルランを用いてEXITの麻酔管理を行った. 症例は32歳女性.妊娠22週で胎児が先天性上気道閉鎖症候群と診断され,妊娠36週にEXITを予定した.全身麻酔導入後よりデスフルラン投与を5%で開始し,手術開始時より子宮筋弛緩を目的として15%に調節した.低血圧,気道内圧の上昇,bispectral indexの低下を認めたが,低血圧に対して昇圧薬を適宜静脈内投与した.子宮切開後15分で児の気管切開が終了し,臍帯を切断して児を娩出した.EXIT中の子宮弛緩は良好で児の体動も認めず,胎児心拍数も心エコー上100-120 bpmで安定していた.手術終了後,母体は速やかに麻酔から覚醒し,神経学的合併症もなく病棟に帰室した.
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