岩手医学雑誌
Online ISSN : 2434-0855
Print ISSN : 0021-3284
71 巻, 5 号
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研究
  • 藤澤 美穂, 大塚 耕太郎, 中村 光, 遠藤 仁, 小泉 範高, 赤平 美津子, 福本 健太郎
    2019 年 71 巻 5 号 p. 162-182
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/21
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は臨床心理士を対象に,災害後の精神保健福祉活動に関する技能習得度の実態を調査し,支援経験の有無と習得度の関連や,学修経験と実行可能性·自覚的苦手さとの関連を明らかにし,災害支援に必要とされる教育的アプローチの要素を検討した.東日本大震災被災地の臨床心理士81名の回答を解析した.結果,災害時地域精神保健活動の知識·技能への重要性の認識の高さと有意に関連する因子として,多職種連携での支援経験やこころのケアチーム活動の支援経験等が抽出された.また災害時地域精神保健活動の実行可能性の高さと有意に関連する因子として,福祉領域での業務経験と教育領域への支援経験が抽出された.本研究の主な目的は災害時に臨床心理士に必要とされるスキルを明らかにすることであったが,災害支援として職種に限られない,組織的活動の展開に必要とされるコンピテンシーを身につけることが,心理専門職にとっても重要であると考えられた.
  • 白倉 正博, 亀井  淳, 赤坂 真奈美, 中軽米 美里, 小山 耕太郎
    2019 年 71 巻 5 号 p. 183-199
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/21
    ジャーナル オープンアクセス
    知的に正常な早産極低出生体重児の家庭生活状況と自尊心および親子関係について調査した.対象は2002年4月から2011年3月に当院新生児集中治療室に入院し,就学前の知能検査で正常知能が確認され,2017年4月の時点で学齢期にある108人である.自尊心はPopeの子ども用5領域自尊心尺度で評価し,結果はおおむね良好であった.自尊心評価が完遂できた96人の各尺度を従属変数とし,周産期情報およびアンケート情報の計16項目を独立変数とした重回帰分析を行った結果,出生体重,呼吸窮迫症候群,脳室周囲白質軟化症,調査時年齢と有意な関連を認めた.親子関係も対象の殆どが良好であった.自尊心尺度と親子関係は子からみた母子関係に相関する項目が多く,特に男子の家族尺度が「被拒絶感」と強い負の相関 ‹r = −0.7471, p< 0.001› があった.一方,自尊心と「心理的侵入」,「厳しいしつけ」および「達成要求」は殆ど相関しなかった.
  • 土屋 繁国, 鳥谷 由貴子, 松本  敦, 伊藤 歩惟, 吉田 太郎, 豊島 浩志, 高清水 奈央, 小西  雄, 外舘 玄一朗, 小山 耕 ...
    2019 年 71 巻 5 号 p. 201-212
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/21
    ジャーナル フリー
    周産期の管理方法の変化が早産児動脈管開存症 ‹patent ductus arteriosus, PDA› の発症に与える影響は明らかでない.early aggressive nutrition導入前の2006年から2008年 ‹期間A› と導入後の2012年から2014年 ‹期間B› に当院NICUに入院した在胎34週未満の早産児を対象に,周産期管理方法とPDA発症の頻度を比較し,母体・新生児因子でPDA発症に関与する因子を抽出した.期間Aに比し期間Bで児の未熟性が強く,PDA発症率が高かった.PDA発症群と非発症群の比較では,両期間の発症群で児の未熟性が強く,新生児呼吸窮迫症候群 ‹respiratory distress syndrome, RDS› を合併する割合が高かった.多重ロジスティック解析ではRDSの有無や在胎週数,生直後の心臓超音波検査指標がPDAの発症に関連していた.周産期の管理方法は変化していたが,それらの変化はPDAの発症に関連せず,児の未熟性が最も重要な危険因子であった.在胎週数が短く,RDS合併例では,出生直後の心臓超音波検査指標がPDA発症の予測を補強できる可能性が示唆された.
学位報告
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