JAK2
V617F変異を伴う骨髄増殖性腫瘍患者の血液では,野生型JAK2遺伝子血球(正常造血細胞由来)と,JAK2
V617F変異遺伝子をもつ血球(JAK2
V617F変異造血細胞由来)の両者が混在する.そして近年,JAK2
V617F変異血球に対する抗腫瘍免疫の存在と,免疫チェックポイント分子の関与が示唆されている.今回我々は,JAK2
V617F変異クローンの拡大と,血球上に発現する免疫チェックポイント分子の関係性を明らかにする為に,患者26名の末梢血液を用い,JAK2
V617F変異血球クローンの割合(JAK2
V617F allele burden),PD1陽性CD8陽性T細胞群比率,血小板上のPD-L1発現レベル,を評価した.その結果,JAK2
V617F allele burdenはPD1陽性CD8陽性T細胞群比率と有意な逆相関を示した.一方で,血小板上のPD-L1発現量は,JAK2
V617F allele burdenやPD1陽性CD8陽性T細胞群と明らかな相関を認めなかった.
結論として,JAK2
V617F血球のクローンサイズの増加とともに,PD1陽性CD8陽性T細胞群は減少する.一方で血小板上のPD-L1発現量はJAK2
V617F変異血球や抗腫瘍免疫細胞の動態を反映しない.
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