岩手医学雑誌
Online ISSN : 2434-0855
Print ISSN : 0021-3284
75 巻, 3 号
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  • 有吉  佑, 大塚 幸喜, 八重樫 瑞典, 高清水 清治, 畑中 智貴, 中村 侑哉, 佐々木 智子, 高橋 史朗, 佐々木 章
    2023 年 75 巻 3 号 p. 81-94
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/14
    ジャーナル オープンアクセス
    腹腔鏡下大腸癌手術の習得過程で,経験の浅い外科医は適切な症例選択が必要である.しかし,その手術難易度を予測する指標はほとんどない.当院で施行した腹腔鏡下大腸癌手術1390例を検討し,手術難易度を予測するスコアリングシステムを構築した.手術難易度の指標を手術時間とし,難易度に関連する因子を多変量解析で同定し,線形回帰分析を用いてスコア化した. 性別,body mass index 〉 25 kg/m2,腫瘍占拠部位により手術難易度が決定され,これを3群に分類した.高難易度群では低・中難易度群に比べて手術時間や入院期間が長く,出血量が多く,合併症が多かった.構築したスコアリングシステムの整合性はten-fold cross-validationにより確認した. 構築したスコアリングシステムは腹腔鏡下大腸癌手術の手術難易度を予測することが可能であり,適切な手術症例の選択に有用であると思われる. 
  • 佐々木 智子, 八重樫 瑞典, 佐々木 章, 岩谷  岳
    2023 年 75 巻 3 号 p. 95-107
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/14
    ジャーナル オープンアクセス
    大腸癌術後症例では生存率向上を目的とし,補助化学療法とサーベイランスが行われている.Stage II 大腸癌では術直後のcirculating tumor DNA‹ctDNA›情報により無再発生存率を低下させることなく補助療法を削減可能であることが示されている.本研究では,根治手術を受けた大腸癌52症例におけるdigital PCRによるctDNAの長期モニタリングと再発の有無について評価した.再発例の術後初回採血でのctDNA値は無再発例に比し有意に高かった.補助療法施行14例のうち,再発例6例中4例‹66.7%›は術直後ctDNA陰性であったが,6例全例で経過中のCTでの再発確認前にctDNAの上昇が見られた.術後経過中のctDNA陽性症例は陰性維持例に比し有意に再発リスクが高かった.経時的なctDNA解析は補助療法施行の判断と早期再発発見の両方に妥当性を有することを示した.
  • 大矢 康貴, 田島 吾郎, 丸山 盛貴, 菅原  敦, 及川 伸也, 土井田 稔
    2023 年 75 巻 3 号 p. 109-119
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/14
    ジャーナル オープンアクセス
    内側膝蓋脛靭帯‹MPTL›再建を正確な位置で行うことの重要性が注目されている.MPTL挿入部位の詳細な特徴や手術の基本となるランドマークの位置関係を明らかにするため, MPTLの解剖学的所見,およびその付着部とランドマークについて正確に計測を行なった.まずMPTLおよびその周囲の関連構造物の肉眼的観察を行い,その後CT撮影した後にMPTLの長さ,MPTLと関連構造物の位置関係を画像解析した.膝蓋骨のMPTL付着部は内側膝蓋大腿靭帯と膝蓋靭帯の付着部の中間のやや脛骨側,更には脛骨粗面の内側の鵞足が付着する脛骨結節の近位内側面の頂点との中間であることがわかった.すなわち,脛骨との付着部の骨指標として鵞足切痕が有効であることが明らかとなった.本研究で,MPTLの付着部の解剖的理解が深まり,この靭帯を含む再建術の治療成績をより向上させる重要なランドマークの情報を提示できた.
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