岩手医学雑誌
Online ISSN : 2434-0855
Print ISSN : 0021-3284
74 巻, 2 号
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Review
  • 西塚  哲, 開  勇人, 阿部 正和, 小泉 優香, 阿保 亜紀子
    2022 年 74 巻 2 号 p. 37-46
    発行日: 2022/06/01
    公開日: 2022/07/19
    ジャーナル オープンアクセス
    体細胞変異の蓄積は,ほぼがん細胞に特有の現象である.がん細胞増殖中の細胞死により細胞外に放出されたゲノムDNAは腫瘍由来循環DNA(ctDNA)として知られている.「大量並列」処理を行う次世代シークエンサー(NGS)の登場以来、ctDNAの利便性ががん診断において示されている.しかしながら,ctDNAの血中濃度はNGSの検出限界(1-5%)よりも低いことが明らかになってきた.したがって,ctDNA定量には超低濃度(1%以下)の体細胞変異検出用のデジタルPCR(dPCR)が必要となる.我々は,公共データベースの1250万以上の登録変異から,がん特有の変異に対するdPCRプローブライブラリーを開発した.このライブラリーを用いるOff-The-Shelf (OTS)-アッセイでは,0.01%までのctDNAを計測し再発に関する緻密な情報を提供できる.OTS-アッセイにより治療中再発の計測における既成概念が変化する可能性がある.
Original
  • 3次元有限要素法による研究
    楊  寛隆, 遠藤 寛興, 山部 大輔, 千葉 佑介, 及川 諒介, 村上 秀樹, 土井田 稔
    2022 年 74 巻 2 号 p. 47-59
    発行日: 2022/06/01
    公開日: 2022/07/19
    ジャーナル オープンアクセス
    成人脊柱変形に対して側方進入腰椎椎体間固定術を併用した手術による術中合併症の一つとして腰椎前縦靭帯(anterior longitudinal ligament;ALL)損傷があり,近年,これに伴う術後instrumentation failure症例が報告されている.3次元有限要素法を用いてALL損傷によるinstrumentへの影響を検討した.CT画像から3次元有限要素法腰椎モデルを作成し,至適にinstrumentを設置されたL1-S1固定モデルも作成した.これらに対して実際の手術手技のようにL3/4高位で椎間板部分切除を模擬し,同高位でALLを25%ずつ損傷させたモデルとした.これらの伸展方向への変位量(mm)と椎間板,スクリュー周囲の椎体,instrumentへのかかるvon Mises 応力(MPa)を評価した.ALL損傷率が上昇するほど伸展方向への変位量が増加した.同様に椎間板,スクリュー周囲の椎体,instrumentへの応力が上昇した.またinstrumentへの応力は損傷高位と隣接する高位においても上昇した.ALL損傷の程度が増加するほど脊椎不安定性が生じ組織とinstrumentへの負荷が上昇した.ALL損傷は術後instrumentation failureのリスクとなり得る.
  • 伊藤  潤, 亀井  淳, 荒谷 菜海, 赤坂 真奈美, 森  太志, 伊藤 賢司, 藤原 恵真, 佐々木 真理, 中井 昭夫, 小山 耕太 ...
    2022 年 74 巻 2 号 p. 61-81
    発行日: 2022/06/01
    公開日: 2022/07/19
    ジャーナル オープンアクセス
    協調運動問題(motor coordination problems: MCP)を伴う小児てんかんにおいて,拡散尖度画像(diffusion kurtosis imaging: DKI)が脳の微細構造の変化を明らかにできるか,DKI所見が神経心理学的評価と相関するか検討した.小児てんかん患者16名を対象とし,そのうち8名が日本語版発達性協調運動障害質問票(Developmental Coordination Disorder Questionnaire: DCDQ-J)の得点がカットオフ値より低く,MCP群に分類した.DKIによる大脳皮質の関心領域分析を行いMCP群と非MCP群を比較し,右中心前回灰白質のmean kurtosis(MK)値は,MCP群が非MCP群より有意に低かった(p = .021).DKI指標とDCDQ-J得点の間に有意な相関があり,特に中心傍小葉で強かった.全患者の受信者動作特性解析で,右中心前回灰白質のMK値に対する曲線下面積は0.844であり,MCPの有無を区別するカットオフMK値は0.587(感度100%,特異度75%)であった.右中心前回灰白質のDKIは小児てんかんに関連するMCPのバイオマーカーとして有用である可能性が示唆された.
岩手医科大学学位報告
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