岩手医学雑誌
Online ISSN : 2434-0855
Print ISSN : 0021-3284
75 巻, 1 号
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Review
Original
  • 菊地 大輝, 菊地 澄恵, 下沖  収, 大間々 真一, 髙橋 智弘, 山田 哲也, 高橋 幹夫
    2023 年 75 巻 1 号 p. 11-19
    発行日: 2023/04/01
    公開日: 2023/04/29
    ジャーナル オープンアクセス
    複数疾患が併存する高齢者では処方薬剤数が増加し,これに伴い残薬の発生リスクも増大する.そこで, 地方の薬局薬剤師に残薬調整に関するアンケートを行い,処方箋様式に追加された残薬にかかわる処方医のチェック欄の利用実態,並びに残薬調整の際に薬剤師が医師に伝えたい情報や薬局での残薬調整の実態について調査し,残薬調整の課題について検討した.結果,薬局薬剤師の多くは,残薬チェック欄の記載の有無に関わらず残薬確認を行っており,患者の服薬状況に応じた処方内容の提案を行いたいと考えていた.一方で,残薬チェック欄を知らない薬剤師も一定数存在し,疑義照会など処方医への情報提供を簡便に行う方法,残薬確認から情報提供に要する人的・時間的余裕に課題を感じていた.薬局薬剤師による効果的な残薬調整には,残薬チェック欄の周知と利用促進,処方医への簡便な情報提供方法,作業効率の向上が必要と考えられた.
  • 田金  恵, 秋山 有史, 田村 明生, 家子 義朗, 岩谷  岳, 佐々木 章
    2023 年 75 巻 1 号 p. 21-33
    発行日: 2023/04/01
    公開日: 2023/04/29
    ジャーナル オープンアクセス
    食道癌患者の術前化学療法中のサルコペニアの進行を評価するため,骨格筋の量および質の変化を解析した.対象は食道癌に対して化学療法を施行後に食道亜全摘術を施行した60名.初診時と術前の単純CTから第3腰椎レベルの腸腰筋および脊柱起立筋の骨格筋肉量,CT値の変化を測定し,それらに影響を及ぼした因子を検討した.化学療法前後で腸腰筋面積は1217.3 ± 417.5から1123.4 ± 354.6へと有意に低下した‹p < 0.001›.化学療法前後で脊柱起立筋のCT値は44.20 ± 11.80から42.54 ± 11.50へと有意に低下した‹p = 0.015›.腸腰筋の減少には下痢が関与している可能性が示唆された.化学療法は,骨格筋ごとに異なる影響を与えていた可能性が示唆された.サルコペニアの評価には骨格筋量の変化だけではなく質的変化も評価することが有用である.
Case Report
  • 角掛 和音, 鳥谷 由貴子, 小林 めぐみ, 松本  敦, 赤坂 真奈美
    2023 年 75 巻 1 号 p. 35-41
    発行日: 2023/04/01
    公開日: 2023/04/29
    ジャーナル オープンアクセス
    症例は在胎23週4日,322g,加重型妊娠高血圧腎症による心不全のため緊急帝王切開で出生した女児で,胎便排泄遅延と腹部膨隆が出現し,生後8日に消化管穿孔を発症した.児の未熟性から保存的加療を継続したが,長期に経腸栄養ができず,生後36日に開腹手術を行い,人工肛門を造設した.手術により穿孔の主原因が憩室による腸重積であったことが判明した.術後に経腸栄養を開始したが,生後90日に人工肛門の口側が翻転・脱出し,徒手整復後に脱出を繰り返し,呼吸・循環動態が徐々に悪化し生後95日に永眠した.超低出生体重児における新生児期発症の腸重積は,臨床症状が非特異的かつ発症が極めてまれであり,貴重な症例のため経過を報告する.
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