岩手医学雑誌
Online ISSN : 2434-0855
Print ISSN : 0021-3284
72 巻, 2 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
Original
  • 平野 邦夫, 渡邉 香奈, 秋山 真親, 千葉 亮祐, 長島 広相, 佐藤 英臣, 菅井 万優, 寺崎 浩司, 福原 達朗, 前門戸 任
    2020 年 72 巻 2 号 p. 47-58
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/09
    ジャーナル オープンアクセス
    Exon20 T790M変異は,第1,2世代EGFR-TKI耐性の原因となり,C797S変異は,第3世代のオシメルチニブ耐性に関連する.T790M とC797Sトランスの関係にあると第1,2世代EGFR-TKIへの感受性が回復する.本研究では2016年5月~2018年6月に得られたT790Mおよび活性型変異の両方がある非小細胞肺癌の組織標本をT790M変異がシスまたはトランスに存在するかをRT-PCRで分析した.また,コロニーPCRに続いてサンガーシーケンス法で検証し,アレル頻度を得た.両方のEGFR変異が23例中11例で検出され,すべてシスであった.T790M遺伝子のアレル頻度が低い場合は,オシメルチニブ治療が短期間になる傾向が認められた. T790Mと活性型変異のシスの関係がすべての標本で確認され,C797SとT790Mのトランスの存在と対照的であった.
  • 米澤 美希, 吉田 雄一, 滝川 康裕
    2020 年 72 巻 2 号 p. 59-67
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/09
    ジャーナル オープンアクセス
    B型肝炎ウイルス持続感染者における肝発癌の早期診断・発癌予測は困難である.そこで,マイクロアレイを用い,B型肝炎関連肝癌の早期診断に有用なバイオマーカーの候補となる末梢血中のmicroRNAを探索した.B型肝炎のため通院中に肝発癌を来した患者10人(発癌群)の肝発癌時の血清とマッチングさせた非発癌患者10人(対照群)の血清からmicroRNAを抽出し,2群間で有意な差異を認めた5種類のmicroRNA(miR-548aおよびmiR-1281, miR-4634,miR-4646-3p,miR-4659a)を早期診断のバイオマーカー候補として見出した.
  • 佐藤 誠也, 尾上 洋樹, 佐藤 貴紀, 江渡  恒, 杣 理華子, 黒川 絵里加, 佐藤 千絵, 深川 大輔, 板持 広明, 馬場  長
    2020 年 72 巻 2 号 p. 69-75
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/09
    ジャーナル オープンアクセス
    全腹腔鏡下子宮全摘出術(total laparoscopic hysterectomy, TLH)の効率的な初期修練について,TLHを完遂した20例を解析対象として検討した.初執刀から10例目までのビデオ復習から得られた課題を記録し,その事実を踏まえた自主練習を継続した.TLHの手術手技のうち,尿管の同定から子宮動脈の切断,腟管の切断,腟断端の縫合の所要時間の推移を評価するとともに,手術関連因子(全手術時間,出血量,術後入院日数,周術期合併症)を前期群と後期群の各10例に分けて後方視的に比較した.ビデオ復習によりのべ149件の課題が得られ,各手術手技の所要時間は13例目以降には中央値以下となり安定した.前期群と後期群において手術関連因子に差はなく,両群ともに重篤な合併症はなかった.手術ビデオの復習による課題の具現化は,TLHの初期修練段階を効率よく乗り越えるための一助となることが示された.
  • 佐藤 貴紀, 佐藤 誠也, 尾上 洋樹, 深川 大輔, 苫米地 英俊, 永沢 崇幸, 利部 正裕, 庄子 忠宏, 板持 広明, 馬場  長
    2020 年 72 巻 2 号 p. 77-83
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/09
    ジャーナル フリー
    開腹手術と比べ低侵襲な内視鏡外科手術は悪性腫瘍に対する標準的なアプローチ法として普及が進んでいる.我々は岩手県で初めて早期子宮体癌に対する内視鏡外科手術を導入し,15例のロボット支援下内視鏡手術(R)と14例の腹腔鏡下手術(L)を施行した.R群はL群に比して全手術時間と術後入院日数が延長したが(333.0分 vs. 222.0分; p ‹ 0.0001, 6.0日vs. 5.0日; p = 0.040),出血量,術後1日目のCRP上昇値,外科的Apgarスコアは両群間に差を認めなかった.開腹手術への移行や輸血等の重篤な周術期合併症はなく,現在までに再発症例もない.医療資源へのアクセスに限りがある岩手県において,子宮体癌に対する内視鏡外科手術を安全に導入することができた.さらなる普及へ向け,術者のスキルアップに加え,当院を中心とした腹腔鏡技術認定医やロボット支援下内視鏡手術認定資格取得者の育成が必要である.
学位報告
feedback
Top