開腹手術と比べ低侵襲な内視鏡外科手術は悪性腫瘍に対する標準的なアプローチ法として普及が進んでいる.我々は岩手県で初めて早期子宮体癌に対する内視鏡外科手術を導入し,15例のロボット支援下内視鏡手術(R)と14例の腹腔鏡下手術(L)を施行した.R群はL群に比して全手術時間と術後入院日数が延長したが(333.0分 vs. 222.0分; p ‹ 0.0001, 6.0日vs. 5.0日; p = 0.040),出血量,術後1日目のCRP上昇値,外科的Apgarスコアは両群間に差を認めなかった.開腹手術への移行や輸血等の重篤な周術期合併症はなく,現在までに再発症例もない.医療資源へのアクセスに限りがある岩手県において,子宮体癌に対する内視鏡外科手術を安全に導入することができた.さらなる普及へ向け,術者のスキルアップに加え,当院を中心とした腹腔鏡技術認定医やロボット支援下内視鏡手術認定資格取得者の育成が必要である.
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