簡便な方法により,腰部脊柱管狭窄症(lumbar spinal stenosis, LSS)患者の間欠性跛行を検出及び定量化できれば,診断の一助や治療後評価判定の良い指標になる.本研究の目的は加速度センサを用いて,健常者とLSS患者の歩行解析を比較しLSS患者の歩行特徴量を明らかにすることである.LSS患者16名と健常者10名に対し加速度センサを用いて6分間歩行試験を施行し,歩行中の加速度データを測定した.測定した加速度データから前後方向の平均加速度量(Averaged acceleration value of antero-posterior direction, AA)と左右対称性の指標であるLissajous Index (LI)を経時的に健常者とLSS患者を比較した.健常者では歩行継続に伴い左右対称性に経時的変化を認めなかったが,LSS患者では徐々に左右対称性が崩れていった.前後動においても健常者では歩行継続に伴う経時的な変化は認めなかったが,LSS患者では歩行時間が増すごとに後方の加速度が増加した.これらの結果から,LIとAAの経時的変化は,LSS患者の間欠性跛行を捉える指標となりうる事が示唆された.
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