岩手医学雑誌
Online ISSN : 2434-0855
Print ISSN : 0021-3284
71 巻, 6 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
特別講演
  • 金   一
    2020 年 71 巻 6 号 p. 215-222
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/31
    ジャーナル オープンアクセス
    長い医学の歴史の中で,心臓血管外科領域が現在のような安定した手術成績を収められるようになったのは,この50年程度である.こうした背景には,外科医の絶え間ない努力に加え,治療に必要な人工心肺装置,心筋保護液そして人工弁や人工血管といった医療材料の進歩が大きな要因となっている.  今回,心臓血管外科で治療対象となる虚血性心疾患,弁膜症性疾患,大動脈性疾患そして先天性心疾患や循環器内科を中心とする弁膜症に対するカテーテル治療などより低侵襲な治療選択も加わっており,こうした現状を解説する. 
  • 天野 博雄
    2020 年 71 巻 6 号 p. 223-228
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/31
    ジャーナル オープンアクセス
    アトピー性皮膚炎の治療は,副腎皮質ホルモン外用薬,タクロリムス軟膏,保湿外用薬,抗ヒスタミン内服薬の4つが基本である.これらの基本治療を適切に行っても症状が難治な場合に,シクロスポリン内服薬による治療や紫外線療法を行ってきた.2018年にインターロイキン(以下IL)-4とIL-13の両方を抑制する生物学的製剤のデュピクセントが上市されると,重症アトピー性皮膚炎に対する治療は大きく変わった.生物学的製剤の登場により,アトピー性皮膚炎の治療が大きく進歩したことに疑いはないが,治療にあたってアトピー性皮膚炎の診断を適切に行うことは最も重要なことでもある.本稿ではアトピー性皮膚炎の診断と治療について概説する.
  • 肥田 圭介
    2020 年 71 巻 6 号 p. 229-234
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/31
    ジャーナル オープンアクセス
    本邦の医療安全は1999年に発生した大学病院での患者取り違え事故を契機に態勢が整えられ20年を経過したところである.医療安全政策の策定をもとに全国の医療現場において体制の整備ならびに医療安全活動が行われてきた.しかし,このような現場での取り組みにもかかわらず医療事故の撲滅には至っていないのが現状である.2016年の特定機能病院における重大医療事故の発生を受け,特定機能病院における医療安全体制の要件の大幅な見直しが行われ,岩手医科大学においてはこれを契機に医療安全学講座を設立した.医療安全専従医師および講座設立によるこれまでの効果と今後の展望および医療安全学教育を通じた医療職,患者および医療系学生への“医療安全のすゝめ”について報告する.
  • 下沖  収
    2020 年 71 巻 6 号 p. 235-241
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/31
    ジャーナル オープンアクセス
    2018年度に始まった新たな専門医制度において,19番目の領域に総合診療医が位置づけられ「プライマリ・ケア」と「地域の健康問題への対応」ができる医師と定義づけられた.現在までの専攻医数は想定された数とは大きく乖離している。しかしながら、総合診療医が将来ニーズの増す医師として期待されているのは,社会的背景の変化を多くの医師が認識している現れであろう.総合診療医が求められる背景は,超高齢社会による医療ニーズの変化,高度細分化した専門医療と必要な医療との乖離,人口減少と社会保障費の財源問題、医師の地域偏在・診療科偏在などわが国が直面する医療課題そのものである. これから求められる医療は,キュアとケア,細分化と総合化,病院医療と地域連携,高度先進医療とプライマリ・ケアそれぞれが,いずれも重要な「二本の柱」として機能分担と密接な連携の元に提供されなければならず,同時に“総合診療マインド”を持った医師の養成が求められている.
例会抄録
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