目的:本研究は,地域に在住する高齢者の社会関連性および生活習慣と3年後の要介護状態との関連を明らかにすることを目的とした.
方法:対象は大都市近郊農村の65歳以上の在宅居住者であり,戸別訪問による配票留置の記名自記式質問紙を用いた.有効回答は,調査両年(2002年,2005年)に回答し,かつ両年の要介護状態不明者を除く,601名であった.調査内容は,年齢,性別,要介護状態,罹患,ADL,社会関連性指標,生活習慣であった.
結果:1)社会関連性指標項目では「期待役割の遂行」「興味対象あり」「生活の工夫」「積極的に取り組む」「社会貢献の可能性」が,また生活習慣項目では「栄養バランスの配慮」「運動の実施」が,いずれも乏しい場合,3年後の要介護状態と有意に関連していた.2)年齢,性別,要介護状態(基準年),罹患,ADLを調整変数として投入した多重ロジスティック回帰分析では,社会関連性指標項目のうち「期待役割の遂行」と「社会貢献の可能性」が,3年後の要介護状態と有意な関連を示した.
結論:地域在住高齢者の日常生活における社会との関わりの促進が心身機能の維持増進につながる根拠を踏まえ,今後の介護予防マネジメント等への活用が期待される.
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