ツルヨシの群落拡張と幼苗生産に資する知見は, 今後の水域緑化に求められる重要な課題である。本論ではその基礎的研究として, 人為的に倒伏した地上茎による上記種の群落拡張と幼苗生産の可能性について検討した。倒伏後の地上茎は, 桿の伸長と葉の展開が顕著となった。さらに, 同地上茎は節から多数の幼苗と不定根を発生することで, 広範囲の立地に定着した。群落中央部より群落縁辺部に生育する地上茎で倒伏後の成長は特に著しかった。発生した幼苗を移植した結果, 地上下部は順調に成長し, これらの越冬も確認できた。以上, 群落縁辺部に生育する地上茎を人為的に倒伏することは, ッルヨシの群落拡張と幼苗生産に有用な手段になると推察された。
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