日本助産学会誌
Online ISSN : 1882-4307
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29 巻 , 1 号
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総説
  • 加藤 千穂, 片岡 弥恵子
    29 巻 (2015) 1 号 p. 4-14
    公開日: 2015/08/29
    ジャーナル フリー
    目 的
     本研究の目的は,既存の文献より,産科に従事する医療者に対する産科救急シミュレーションの効果について明らかにすることである。
    方 法
     PubMed,CINAHL Plus With full text,The Cochrane Library,Maternity and Infant Care,医学中央雑誌Ver.5にて検索を行い,Cochrane Handbook for Systematic Reviews of Interventionsに基づいて,文献の批判的吟味と分析を行った。
    結 果
     RCT 5件を分析対象とし,採用文献のバイアスのリスクは低いと判断した。介入を高忠実度(high-fidelity)シミュレーションとし,対照群はシミュレーションを実施しない,低忠実度(low-fidelity)シミュレーション,レクチャーと設定した。パフォーマンスについては,高忠実度シミュレーションのほうが低忠実度シミュレーション,レクチャーと比較しパフォーマンスが向上した。また,高忠実度と低忠実度の比較では,肩甲難産の管理ついては高忠実度群のほうが,パフォーマンスが向上するが,子癇の管理については有意な差は見られなかった。知識については,高忠実度と低忠実度で差はなく,コミュニケーション技術は,シミュレーターの忠実度による差はない,もしくは低忠実度シミュレーションのほうが,コミュニケーション技術が向上するという結果であった。
    結 論
     子癇,肩甲難産の管理に関する高忠実度シミュレーションは,トレーニングを実施しないことや,レクチャーと比較し,パフォーマンスを向上させる。しかし,シミュレーターの忠実度の違いによる知識,コミュニケーションへの明らかな効果は認められなかった。今後は,子癇,肩甲難産以外のプログラムや,産科合併症など長期的アウトカムの評価が求められる。
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原著
  • 谷内 薫, 根本 鉄, 島田 啓子
    29 巻 (2015) 1 号 p. 15-21
    公開日: 2015/08/29
    ジャーナル フリー
    目 的
     出生後早期における児の中枢および末梢深部温と腋窩温を同時測定することにより,Late Preterm児の至適温度環境を探る。また,現状の腋窩温による体温管理のあり方について検討する。
    対象と方法
     対象はLate Preterm児6名であり,生後4~12時間の中枢深部温,末梢深部温および腋窩温を同時測定した。中枢深部温と末梢深部温は深部体温計を使用し,体温プローベは腹壁(中枢深部温)と足底(末梢深部温)に装着し,1分毎に連続測定を行った。腋窩温は2~3時間毎に測定し,体温データは平均と標準偏差を求めた。また,腋窩温と中枢深部温は測定回数が異なるため,中枢深部温は比較する腋窩温を測定した時間を含む前後15分の平均値をとり,腋窩温との相関および温度差を求めた。同時に各ケースの体温変化のパターンも視覚的に分析した。
    結 果
     腋窩温は平均36.6~36.9℃(平均36.8℃)であり,Late Preterm児のガイドラインにある腋窩温で管理されていた。中枢深部温は36.9~37.2℃(平均37.1℃)であり,中枢深部温は腋窩温より0.3℃高い値で強い正相関を認めていた(r=0.75~0.99)。また,中枢深部温は変動幅が小さく,ほぼ一定の値を示していたが,末梢深部温の変動幅は大きく,ケースによりさまざまな変動パターンを示していた。
    結 論
    1.腋窩温は中枢深部温よりも約0.3℃低く,強い正の相関を認めたが,腋窩温と末梢深部温は有意な相関関係を認めなかった。
    2.腋窩温がガイドラインの範囲で管理されていても,中枢深部温と末梢深部温の差は0.47~1.87℃(平均1.00℃)であり,各ケースにより,その差はさまざまな推移を示していた。
    3.Late Preterm児において中枢と末梢温の同時測定は出生後早期より行うことの有効性が示唆された。
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  • 今関 美喜子, 片岡 弥恵子, 櫻井 綾香
    29 巻 (2015) 1 号 p. 22-34
    公開日: 2015/08/29
    ジャーナル フリー
    目 的
     女性に対する暴力スクリーニング尺度(VAWS)は,日本で作成されたDVのスクリーニングツールである。より正確で臨床適用性の高いツールを開発するため,本研究は,妊娠期にDVスクリーニングで用いたVAWSの項目について産褥期にインタビュを行い,質問項目への回答と想起された状況を明らかにすることを目的とした。
    対象と方法
     7項目で構成される原版VAWSに,精神的暴力に関する5項目を加え12項目の改訂版VAWS(案)を作成した。研究参加者は,妊娠期にDVスクリーニングを行った褥婦43名であった。産褥入院中に,改訂版VAWS(案)の質問項目から想起された女性とパートナーの状況等について半構成的インタビュを行った。分析は,内容分析の方法を用いた。本研究は,聖路加看護大学研究倫理審査委員会の承諾を得て実施した。
    結 果
     改訂版VAWS(案)の項目のうち,精神的暴力を問う項目は多様な認識が認められた。「もめごとが起こったとき,話し合いで解決するのは難しいか」という質問項目に関しては2カテゴリ【言い争いになる】【話し合いができない】が抽出され,「話し合い」には,一方的とお互いにという両方の文脈で語られていた。「大きな声で怒鳴ったりすることはあるか」「パートナーとの関係性の中で安心が得られているか」「彼にコントロールされていると感じるか」「あなたの気持ちを無視するか」の精神的暴力を示した項目については,3つ以上のカテゴリが抽出され,開発者の意図とは異なる認識が含まれた。さらにこれらの項目には【選択肢を間違えた】【判断に悩んだ】が含まれているものがあった。一方,精神的暴力を示す「パートナーのやることや言うことを怖いと感じるか」は複数のカテゴリが抽出されたが怖いと感じた状況が語られた点で類似しており,「壁をたたいたり,物を投げたりすることはあるか」および身体的暴力と性的暴力を示す項目は,1つのカテゴリのみ抽出された。
    結 論
     精神的暴力を示す質問項目については,研究参加者によって様々な認識があることがわかった。今後本研究結果に加えて,量的データから正確度を検討し,より臨床適用性の高いDVスクリーニングツールに改訂する必要がある。
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  • 田辺 けい子
    29 巻 (2015) 1 号 p. 35-47
    公開日: 2015/08/29
    ジャーナル フリー
    目 的
     2014年現在でも決して少なくなく,将来的にも増加が見込まれる子どもを産まない女性たちの生殖観や身体観に着目し,これを明らかにすることによって女性の健康支援の在り様を考察することである。
    対象と方法
     聞き取り調査に基づく質的研究である。対象は30才から80才代までの女性29名である。ただし生殖年齢にある30才代と40才代の16名は,本研究の主題である子どもを産まない女性たちに特徴的な側面が色濃くでるよう,子をもうけることに消極的あるいは否定的な女性を選定した。質問内容は(1)子や孫の人数とその人数に満足しているか否か,(2)月経歴および初経と閉経に関連する体験,(3)保健医療行動の内容,および,(1)~(3)に関連する経験の内容や態度の理由,周囲の人々との関係性,対象者の生殖観,身体観に反映すると推察される経験や出来事についても可能な限り詳しく聞き取り,医療人類学的考察を行った。
    結 果
     3つの語りの特徴が確認できた。
    1.産まないことが自らの身体に付与されている生殖能を疎かにするかのような身体観を作っていること
    2.月経には益するところがないという考え方
    3.女性身体の生物学特性ことに身体的リスクに関する情報がないこと
     これらの結果から,対象者は「生殖から離れている身体」といえるような位相にあることが確認でき「生殖から離れている身体」に内在する4つの課題と2つの強みが明らかになった。
    結 論
     「生殖から離れている身体」に内在する4つの課題と2つの強みを踏まえた支援があれば「生殖から離れている身体」の健康は一定程度担保しうることが示唆された。
     課題とは次の4点である。
      1.自らの身体の生殖にかかわる属性の放棄
      2.個人の人生の問題としてのみに閉ざされる生殖
      3.育まれてこなかった生殖を肯定的にみたり,生殖可能な身体として自らの身体をケアする生活態度
      4.無性あるいは中性的な身体に価値を置くこと
     強みとは次の2点である。
      1.老齢期を健康に過ごさねばならないという十分な動機と欲求
      2.女性の身体は自然のバランスによって健康が保たれるといった身体観や健康観
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資料
  • 眞嶋 ゆか, 小林 康江
    29 巻 (2015) 1 号 p. 48-58
    公開日: 2015/08/29
    ジャーナル フリー
    目 的
     本研究は,退院時と1か月健診の新生児のおむつかぶれの有無と推移,臀部の角層水分率および母親のおむつ交換方法との関連を明らかにすることである。
    対象と方法
     2012年7月~10月に,X県の産婦人科医院1施設で出生した新生児と母親69組を対象に,生後4日と1か月健診時に調査した。新生児は外陰部,肛門周囲部,大腿部,臀部,下腹部について,紅斑,丘疹,腫脹,びらん,落屑の有無を観察し,モイスチャーチェッカー水分計MY-808S(スカラ社)を用いて臀部の角層水分率を測定した。母親にはおむつ交換方法(おむつ交換の目安,おむつ装着時の注意点,臀部の拭き方)を聞き取り調査した。分析は,SPSSVer.20を使用し,有意水準は5%とした。
    結 果
     新生児は男児31名,女児38名だった。丘疹や紅斑が生後4日は18名(26.1%),1か月健診時30名(43.5%),2時点のいずれかは38名(55.1%)の大腿部や肛門周囲部に認められ,生後4日の男児(p=.03)と1か月健診時(p=.03)に有意に多く認めた。臀部の角層水分率は生後4日31.9±1.0%,1か月健診時32.2±1.0%であり,1か月健診時に有意に増加した(p=.04)。母親のおむつ交換方法は2時点とも変化がなく,交換の目安は「泣いた時」,おむつ装着時の注意点は「お腹がきつくない」,臀部の拭き方は「弱く拭く」が最も多かった。おむつかぶれの有無と臀部の角層水分率,排便回数,おむつ交換回数,母親のアトピー性皮膚炎既往の有無,入院中のおむつ交換指導の有無,栄養の種類別,臀部の拭き方は関連がなく,おむつ交換方法も特徴的な差はなかった。
    結 論
     おむつかぶれの有無とおむつかぶれを生じさせると考えられる項目やおむつ交換方法に差がないため,どの児でもおむつかぶれを生じる可能性がある。母親は退院後も入院中とほぼ同じ方法でおむつ交換を行っており,入院中の指導の重要性が示唆された。
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  • 横地 美那, 恵美須 文枝, 柳澤 理子, 志村 千鶴子
    29 巻 (2015) 1 号 p. 59-68
    公開日: 2015/08/29
    ジャーナル フリー
    目 的
     更年期症状で婦人科を受診した女性の体験を記述する。
    対象と方法
     研究デザインは,質的記述的研究とした。A県内のAクリニックを受診している更年期症状を持つ女性10名に,症状自覚から受診にまつわる体験について,60分程度の半構成的面接を実施した。分析方法は,逐語録を用いて体験内容の類似性と相違性,関連性に従って分類し,コードを抽出して,更に抽象度を上げてサブカテゴリーとした。それを分類して7つのカテゴリーを生成した。
    結 果
     更年期症状で婦人科を受診している女性の体験は,カテゴリーの関連から以下のように説明できる。女性は,【婦人科受診や更年期にためらいつつ他者の影響を受ける】。更に【自分ではどうしようもない状況に取り囲まれる】に陥る。そして【日々,症状に翻弄されながら,突破口が見つからず悶々とする】という状況になる。それはやがて,【婦人科を受診できない状況·受診したくない気持ちを乗り越え,受診に踏み切る】になる。そして婦人科を【受診してよかったが,治療に対する懸念を抱く】という状況を経て,【更年期を受け入れ,経験を生かす】にたどり着いていた。更に悶々と過ごす日々の中で【辛さを分かち合える理解者を求める】という気持ちを抱く。
    結 論
     更年期女性は,更年期と自覚したのち,様々な感情と葛藤しながらも受診に至る。しかし,更年期医療を享受して症状が楽になっても,なお治療に対する懸念を抱き,症状の辛さを理解してくれる相手を求めている実態が見えてきた。
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  • 藤田 小矢香, 狩野 鈴子, 濵村 美和子, 嘉藤 恵
    29 巻 (2015) 1 号 p. 69-76
    公開日: 2015/08/29
    ジャーナル フリー
    目 的
     妊娠期の知識習得のために,助産師学生が講義·演習を通してどのように自己学習を進めていたのかを明らかにする。
    対象と方法
     対象者はA大学短期大学部専攻科助産学専攻学生18名で,平均年齢は22.33歳であった。研究倫理審査委員会の承認を経て,2013年7月に実施した。データ収集方法は,学生が妊娠期講義修了後に提出した,妊娠期の学習を講義·演習を通してどのように進めたかの記述を逐語録にしたデータを抽出した。
    結 果
     助産師学生の妊娠期の学習として‹確実に知識を自分のものにする学習›では«積極的な姿勢で予習·復習に取り組み学習への価値を見いだす»,«基本的な情報の必要性に気がつく»,«復習により知識の定着を図る»の3つのカテゴリーが抽出された。‹妊婦健診に必要な知識·技術を身につける学習›では«妊婦自身を理解しようと努力し,必要な計測技術の知識を習得する»,«実際の妊婦健診を想定した,実用的で実践的な技術を身につける»の2つのカテゴリーが抽出された。
    結 論
     助産師学生は,自分を客観的にみて学習方法の方策を考えていた。助産師になるという目標に向かって,主体的に予習·復習に取り組んでいた。また,技術習得においては,繰り返し練習を行い自信がついた次のステップとして,実際の場面を想定した練習を行っていた。さらにグループでの学習が自己評価や他己評価の動機付けになっていたと考える。
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  • 加藤 千穂, 片岡 弥恵子, 五十嵐 ゆかり, 蛭田 明子
    29 巻 (2015) 1 号 p. 77-86
    公開日: 2015/08/29
    ジャーナル フリー
    目 的
     助産師を対象とした,分娩後出血に関する知識習得のためのe-learningによる教育プログラムを評価することである。
    対象と方法
     研究対象者は関東圏内で産科病棟を有し,分娩を取り扱う病院·診療所,助産所に勤務する助産師である。e-learningは目標に沿って4つのチャプターで構成した。測定用具は分娩後出血対応に関する23項目の知識テストおよびプログラム評価の自記式質問紙とし,e-learning前後で回答を得た。
    結 果
     48名を分析対象とした。知識テスト合計得点の平均値は事前テスト15.85点(range 11-21点, SD2.78),事後テスト20.02点(range 14-23点, SD2.21)であり,有意に知識得点が上昇した(t=10.27, p<.001)。実施前後で正答率が有意に上昇した項目は「弛緩出血の特徴」「出血に関連する凝固因子」「ショックを起こす循環血液量喪失の割合」「成人の循環血液量」「出血性ショック時の対応」「希釈性凝固障害の特徴」「細胞外液の構成」「産科DICの特徴」「循環血液量増加の理由」「ショックインデックスからの出血量予測」「産科出血時に必要な輸血製剤」「血漿中の成分」の12項目であった。正答率が低かった項目は「膠質浸透圧に関わる物質」「晶質浸透圧に関わる物質」の2項目であった。また,合計得点の平均値と参加者の特性について2元配置分散分析を行ったが,有意差は認められなかった。e-learningの操作方法,教材の適切性,内容の満足度ともに肯定的な評価が得られ,プログラムの構成は有用であった。
    結 論
     分娩後出血対応に関するe-learningは,知識習得に効果があると言える。出血時の輸液療法に関連する生理学の理解が得られにくかったため,内容の修正と知識の維持に関する長期的評価,ガイドライン等の周知徹底のためのプログラム内容の検討が今後の課題である。
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  • 平出 美栄子, 宮崎 文子, 松崎 政代
    29 巻 (2015) 1 号 p. 87-97
    公開日: 2015/08/29
    ジャーナル フリー
    目 的
     本研究は,助産所出生数の減少を解明する前提の調査研究とし,病院,診療所,助産所の選択理由の比較について,マーケティングの概念を用いて調査·分析及び考察することを目的とする。
    対象と方法
     調査は,都内の保健センター,助産所,乳幼児教室の利用者などで,母親725名を対象に質問紙調査を実施した。分析対象は389名である(有効回答率53.7%)。調査内容は,属性要因,出産施設の選択理由,選択する際の影響要因に関する内容である。分析では出産した施設別に,大学病院·病院をA群,診療所をB群,助産所·自宅をC群に分類し,属性要因とマーケティング·ミックス4P―Product, Price, Place, Promotion―の内容を3群で比較分析した。医療におけるProductは,ケアや医療サービス,医療行為とした。調査期間は,2013(平成25)年2月から3月末である。
    結 果
     高年初産婦は,A群がB·C群に比べ多かった(p=0.027)。施設を選択する際の影響要因は,A群がB·C群に比べ「35歳以上だから」という回答が多かった(p<0.001)。出産施設の選択におけるProductの内容では,C群の7割が「健診時間が長く丁寧」「自然出産」「フリースタイル出産」「出産まで助産師が付く」「母乳指導」「母児同室」を選択の理由としていたが,A·B群では3割程度であった。また,A群は「毎回医師の健診がある」「規模が大きい」,B群は「毎回医師の健診がある」「個室がある」「豪華な食事」の回答が多かった(p<0.001)。Priceでは,A群は「出産費用が安い」(p<0.001),A·B群は「妊婦健康診査公費補助券が使える」の回答が多かった(p=0.015)。Placeでは3群の半数が「自宅近く」を回答していた。
    結 論
     助産所の出生数減少に影響を与えると考えられるのは,高年初産婦(35歳以上)という理由及び,助産所が提供しているProduct(サービス·ケア)と大学病院·病院群,診療所群の妊産婦が要望しているサービス·ケアに差があることである。
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