日本公衆衛生看護学会誌
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最新号
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巻頭言
原著
  • ―ソーシャル・キャピタルに着目して―
    前川 麻記, 齋藤 祥乃
    2024 年 13 巻 1 号 p. 2-12
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/04/30
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    目的:乳幼児を子育て中の共働き夫婦のワーク・ファミリー・コンフリクト(以下,WFC)に影響する関連要因について,特にソーシャル・キャピタル(以下,SC)との関連を明らかにする.

    方法:保育園・認定こども園に在籍する子どもの保護者720世帯を対象に無記名自記式調査を実施した.調査項目は,基本属性,WFC尺度,SC,労働環境,育児環境,性別役割分業意識とした.

    結果:127世帯を分析対象とした.重回帰分析の結果,夫のWFCは,人々への信頼,親戚への期待・信頼,職場の同僚への期待・信頼,隣近所とのつきあいの程度,職場の同僚とのつきあいの頻度,労働時間,伝統的性別役割意識が,妻のWFCは,人々への信頼,親戚への期待・信頼,職場の同僚への期待・信頼,職場の同僚とのつきあいの頻度,労働時間が影響することが明らかになった.

    考察:乳幼児を子育て中の共働き夫婦のWFC軽減に向けた支援策には,SCの醸成と活用を促すことが重要であると考える.

研究報告
  • 山地 智香, 斉藤 恵美子
    2024 年 13 巻 1 号 p. 13-21
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/04/30
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    目的:本研究の目的は,新型コロナウイルス感染症流行下の子育て世代包括支援センター(以下,センター)看護職の個別支援の困難さ(以下,困難さ)の特徴を明らかにすることとした.

    方法:11都府県のセンター看護職652人を対象として,郵送法による無記名自記式質問紙調査を実施した.調査項目は個人属性,感染症流行下の困難さ等の40項目とした.

    結果:有効回答は83人(12.7%)であった.回答者の属性は,常勤・専任68.7%,センター経験年数5年以上32.5%であった.困難さでは,支援対象者への直接的な支援の提供(63.9%)が最も多く,他機関との連携では支援の役割分担(44.6%),連携の時期では妊娠期(38.6%)が最も多かった.

    考察:新型コロナウイルス感染症流行下のセンター看護職の困難さの特徴として,支援対象者への直接的な支援の提供,他機関の専門職との連携での支援の役割分担等が示唆された.

  • ―新任期保健師研修を通して―
    塩川 幸子, 藤井 智子, 神戸 愛, 水口 和香子, 山下 千絵子
    2024 年 13 巻 1 号 p. 22-30
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/04/30
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    目的:保健師の事例検討における質問の特徴からみた高齢者のアセスメントの視点を明らかにする.

    方法:新任期・プリセプター・管理期の保健師25名を対象に,高齢者5例の事例検討における質問を質的記述的に分析した.

    結果:質問の特徴として,《本人・家族の生活力》には【暮らしの中で必要な生活動作】,【社会生活の営みの中の困りごと】,【高齢世帯を支える家族の構造とつながり】,【家族の問題認識と対応力】,【暮らしを支える環境とのつながり】が挙げられた.《健康維持力》は【食べる力】と【健康状態の経過】,【医療につながり途切れない力】,【主治医の判断】をみて,《支援の方向性》として【在宅生活の見通し】を検討していた.

    考察:生活力と健康維持力を関連させ,今後の在宅生活の見通しを立てることが高齢者のアセスメントの視点として示された.これらの視点の活用を促すことが,新任期保健師のアセスメント力向上につながると考える.

研究
  • ―市町村保健師に焦点をあてて―
    若杉 里実, 大島 亜友美
    2024 年 13 巻 1 号 p. 31-38
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/04/30
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    目的:育児休業取得後の中堅前期保健師の仕事と家庭生活の両立への思いを明らかにする.

    方法:育児休業期間を除く保健師の実務経験が5年以上10年未満の市町村保健師10名に半構造化面接法によるインタビューを実施した.

    結果:分析の結果【仕事復帰前後の不安や戸惑い】【求められる仕事内容の変化への気づき】【向上すべき能力の気づき】【学びたい思いと葛藤】【仕事の進め方を変化させる必要性への気づき】【育児経験を仕事に活かせる効用感】【仕事への意欲や責任とプレッシャー】【仕事での喜び】【仕事と家庭生活のバランスをとれないジレンマ】【仕事と家庭生活の気持ちの切り替え】【家族の存在と身内のサポートによる支え】【育児休業を取り復帰しやすい職場環境づくりへの意欲】の12カテゴリーが抽出された.

    考察:育児休業取得後の中堅前期保健師は,任せられた仕事に十分対応しきれずジレンマを抱えるとともに,仕事と家庭生活のバランスの難しさを実感し悪戦苦闘している状態であり,育児休業を取り復帰しやすい職場環境づくりを望んでいた.

第12回日本公衆衛生看護学会学術集会講演
教育委員会報告
専門家認証制度委員会報告
保健師の未来を拓くプロジェクト 2023年度報告 第1報
保健師の未来を拓くプロジェクト 2023年度報告 第2報
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