山間急傾斜地の水田では, 高齢化や整備の遅れから, 従来からの維持管理作業の粗放化が進み, 荒廃化も著しくなった。荒廃地の増加は耕作への影響だけでなく, 災害発生の要因ともなる危険性を有している。本報では, 荒廃化の進んだ長野県の山村・阿南町において, 台風による豪雨で生じた水田畦畔法面の崩壊について, 荒廃状況, 整備状況および農家の維持管理状況等との関係を検討した。
荒廃化が進んでいる団地での災害発生は, 荒廃地のない団地に比して多い。一方, 整備田や維持管理の行われている未整備田では, 災害発生件数は少なかった。山間急傾斜地の未整備田では, 災害を契機として, さらに荒廃化が進むことが危惧される。
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