原子力バックエンド研究
Online ISSN : 2186-7135
Print ISSN : 1884-7579
ISSN-L : 1343-4446
11 巻, 1 号
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研究論文
技術報告
  • 石倉 武, 高橋 賢次, 植木 浩行, 小栗 第一郎
    2004 年 11 巻 1 号 p. 11-20
    発行日: 2004年
    公開日: 2013/03/31
    ジャーナル フリー
     原子力発電所の廃止措置により大量の放射性金属廃棄物が発生するため, 放射性金属の処分量を低減することは処分場への負担軽減のため重要な課題である. 筆者らは, 低レベル放射性金属を薄肉の処分容器に溶融充填することにより, 処分容器への放射性金属充填率の増加を図る技術について各種試験を行った. 試験では実規模に近い処分容器を用いて, 固体金属を前装入した後に溶融金属を良好に充填する条件, 除熱支持材などを用いることによる処分容器の薄肉化, および溶融金属に許容される不純物金属の限界量について実験的に検討した. この結果, 比較的放射能レベルが高い低レベル放射性金属を前装入し, 薄肉容器中に放射性溶融金属を充填する金属溶融充填法が実機に適用可能であることを実証した.
  • 石倉 武, 高橋 純一, 東海林 裕一, 福井 寿樹
    2004 年 11 巻 1 号 p. 21-28
    発行日: 2004年
    公開日: 2013/03/31
    ジャーナル フリー
     原子力発電所の解体に伴い多量の低レベル放射性廃棄物の金属が発生する. 解体に伴う放射性廃棄物の処分はLLW処分場容量を逼迫させ, 経済的にも高価であるため, 放射性廃棄物量の低減は重要な課題である. このため, 放射性廃棄物量の低減に向けて, 低レベル放射性金属からコバルト及びニッケルを溶融分離する新規技術について, スクリーニング試験及び実証試験をおこなった. スクリーニング試験では3種類の分離プロセスについて性能比較した結果, 優先酸化法が最も良好な性能を示した. 実証試験では, 優先酸化法のプロトタイプ設備などを用いて試験した結果, 炭素鋼中のコバルトをDF100, 鉄回収率60%で回収できることを確認した.
  • 磯貝 武司, 神徳 敬, 笹本 広
    2004 年 11 巻 1 号 p. 29-36
    発行日: 2004年
    公開日: 2013/03/31
    ジャーナル フリー
     圧縮ベントナイト中の間隙水pHおよび間隙水組成の時間的・空間的変化を直接測定する手法を検討した. 圧縮ベントナイト (Kunigel-V1®=100%, 乾燥密度=1.6g/cm3) 中の間隙水pHおよび間隙水組成の測定は, 低脱色性のpH試験紙および高吸水性パットを用いて行なった.
     試験は雰囲気制御グローブボックス内 (O2≦1ppm) で行い, 蒸留水, NaCl溶液, 人工海水および低アルカリ性セメント (HFSC) 浸漬液を用いた. 蒸留水, NaCl溶液および人工海水についてはNaOHを添加してpH=9に調整し, HFSC浸漬液に関しては平衡に達したHFSC浸漬液pH≒11を用いた.
     試験の結果, 間隙水pHの時間的・空間的変化は, 蒸留水試験では, ベントナイト内側でpHはほぼ一定 (pH=8.0~9.0) であったが, 溶液との接触面近傍において時間の経過とともにpHが低下 (pH=7.5~8.5 → pH=7.0~.0) する傾向が認められた. 人工海水試験では, 溶液との接触面近傍でpHはほぼ一定 (pH=6.5~7.0) であったが, ベントナイト内側では時間の経過とともにpHが低下 (pH=6.5~7.0 → pH=6.0~6.5) する傾向が認められた. HFSC浸漬液試験では, 蒸留水試験と同様な傾向が認められ, ベントナイト内側のpHはほぼ一定の値 (pH=8.5~10.0) を示し, 溶液との接触面近傍では時間の経過とともにpHが低下 (pH=9.5 → pH=7.5~8.5) する傾向が認められた.
     低脱色性pH試験紙によるベントナイト内側での間隙水pHの測定値は, 既往の発色剤法による測定結果や鉱物-水反応の化学平衡に基づく間隙水化学モデルによる計算結果ともほぼ一致しており, 測定手法の妥当性が確認された.
     なお, 蒸留水試験において認められたベントナイトと蒸留水との接触面近傍における間隙水pHの低下について, 地球化学コードPHREEQCを用いて予察的な熱力学的解析を行った. その結果, 接触面近傍における間隙水pH低下の原因の1つとして, 黄鉄鉱の酸化による影響が考えられた.
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