原子力バックエンド研究
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8 巻, 1 号
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研究論文
  • 加藤 治, 三枝 利有
    2001 年 8 巻 1 号 p. 17-24
    発行日: 2001/09/01
    公開日: 2014/10/01
    ジャーナル フリー
      既報[1-4] により,アルミニウム被覆の金属ガスケット及び銀被覆の金属ガスケットの密封性寿命を加速試験及びラーソン・ミラー法により,各々190年,103年以上と評価した.本研究では,貯蔵キャスクの長期密封性能を確証するため,各種貯蔵キャスクの中から,キャスクの密封性能に直接影響する蓋部の形状,シール溝及びガスケットの密封構造に着目して選定した2種類の実物大キャスク蓋部モデルを用いた長期密封性能試験を実施中である.本試験は,平成2年10月に開始し,現在まで約9年継続実施しているものである. また,キャスクが保管される建屋内の雰囲気温度は,当然のことながら,季節変化に伴い変動し,キャスクの温度にも影響を及ぼす.このため,貯蔵環境温度の季節変化のキャスク密封性能への影響の有無を確認する必要がある.このような繰り返しのある温度変動下においては,主として,金属ガスケットのコイルスプリングのサイクルクリープ性能が問題となるものと考えられる.サイクルクリープ性能に影響する因子としては,繰り返し数,温度,繰り返し速度等がある.これらを考慮して,キャスク蓋部縮尺モデルを用いた温度サイクル試験を実施し,温度変動の密封性能への影響を検討した.
  • 伊藤 千浩, 長野 浩司, 三枝 利有
    2001 年 8 巻 1 号 p. 25-32
    発行日: 2001/09/01
    公開日: 2014/10/01
    ジャーナル フリー
      使用済燃料発電所敷地外貯蔵に関し,キャスク貯蔵とプール貯蔵技術の経済性評価を行った.経済性の指標は,使用済燃料を貯蔵施設へ搬入した時点で貯蔵料金を払うという前提で算定する実質価格表示の均等化コスト(貯蔵単価)とし、使用済燃料の貯蔵期間は40年として試算した.
      プール貯蔵に対し,キャスク貯蔵は貯蔵容量が小さい場合でも大きい場合でも経済的に優位であることが示されたが,プール貯蔵の場合,貯蔵容量が約10,000トンの場合には,貯蔵単価はキャスク貯蔵のそれに近づくことがわかった.また, 貯蔵単価をもとに,燃料の燃焼度などを用いて貯蔵費用が発電原価に占めるコストを求めた.貯蔵容量が5,000トンU,燃料冷却期間が5年の場合,貯蔵単価は各々9銭/kWh, 15銭/kWh程度となった.
  • 小﨑 明郎
    2001 年 8 巻 1 号 p. 33-43
    発行日: 2001/09/01
    公開日: 2014/10/01
    ジャーナル フリー
      キャスク用球状黒鉛鋳鉄(DCI)ならびに炭素鋼製鍛鋼を対象に,3点曲げ試験片によるモードI,II,IIIの破壊力学試験を行い,KIC≦KIIC<KIIIC,JIC≦JIIC<JIIICの関係を得た. この結果,モードIの破壊靭性値が最も低く,最も厳しい評価を与えることが確認できた. 大型の予き裂付き試験片を用いて実施したモードIの引張および引張曲げ負荷条件下での延性破壊試験結果を基に,き裂の存在を考慮した金属キャスクの落下事故に対するJ積分に基づく破壊強度評価手法を提案した.
  • - スラグ組成の影響 -
    天川 正士, 安井 晋示
    2001 年 8 巻 1 号 p. 45-54
    発行日: 2001/09/01
    公開日: 2014/10/01
    ジャーナル フリー
      原子力発電所の商業運転や将来の廃止措置に伴って低レベル放射性雑固体廃棄物が発生する.これらを模擬した試料を,模擬核種と共にプラズマ溶融して得られたスラグについて,10℃の脱イオン水中で静的溶出試験を行った.スラグからの元素の溶出率の対数は,スラグの主要な構成酸化物であるSiO2,Al2O3,CaO,FeO,MgOのモル分率を用いた塩基度に対して線形に増加することを明らかにした.この結果と雑固体廃棄物から想定される塩基度の範囲からプラズマ融して得られるスラグの溶出率の範囲を求め,高レベルのガラス固化体の結果と比較した.その結果,プラズマ溶融して得られるスラグは,高レベルのガラス固化体と比較して遜色の無い核種閉じ込め性を有していると判断した.
  • 石井 友章, 稲川 聡, 軍司 康義, 坂本 義昭, 武部 慎一, 小川 弘道, 佐々木 朋三
    2001 年 8 巻 1 号 p. 55-64
    発行日: 2001/09/01
    公開日: 2014/10/01
    ジャーナル フリー
      ウラン廃棄物の浅地中処分の安全評価に必要となるウラン系列核種(鉛,ラジウム,アクチニウム,トリウム,プロトアクチニウム,ウラン)の分配係数を通気層環境および帯水層環境で求めた.通気層環境としてはローム等の4種類の土と雨水の組み合わせ,帯水層環境としては砂等の3種類の土・岩石と地下水の組み合わせで,各元素の分配係数をバッチ法により測定した.通気層環境と帯水層環境での分配係数を比べると,アクチニウム以外の元素で通気層環境での分配係数が帯水層環境よりも10倍~100倍大きい値が得られた.また,土の代表的な物性値である陽イオン交換容量(CEC)および比表面積と各元素の分配係数の関係を求めた結果,鉛,ラジウム,プロトアクチニウムについては,これらの物性値と分配係数に相関がおおむね認められた.
  • -分配係数のpH依存性-
    坂本 義昭, 石井 友章, 稲川 聡, 軍司 康義, 武部 慎一, 小川 弘道, 佐々木 朋三
    2001 年 8 巻 1 号 p. 65-76
    発行日: 2001/09/01
    公開日: 2014/10/01
    ジャーナル フリー
      ウラン廃棄物の浅地中処分の安全評価において必要となる通気層環境(ローム-雨水系)および帯水層環境(砂-地下水系)でのウランおよびウラン娘核種であるPb, Ra, Ac, Th, Pa, Uの分配係数のpH依存性を求め, これらの元素の収着形態について検討を行った. Pb, Ra, Ac, Th, Pa, Uの分配係数のpH依存性に対して, 各元素の存在形態と土の陽イオン交換容量および表面電位特性を基にして, 陽イオン交換反応および表面錯体形成反応を組み合わせた収着反応のモデル計算を行った結果, 各元素に対する収着挙動とその分配係数をおおむね表すことが可能であることを示した.
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