原子力バックエンド研究
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ISSN-L : 1343-4446
4 巻 , 2 号
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研究論文
  • 安 俊弘, Ehud Greenspan, Paul L. Chambré
    1998 年 4 巻 2 号 p. 3-20
    発行日: 1998/03/01
    公開日: 2014/10/01
    ジャーナル フリー
      地下水で飽和した花崗岩中に40,000本の高レベル廃棄物ガラス固化体を処分した場合の自己触媒的臨界シナリオの可能性とメカニズムについて解析を行った.解析は,理論上最大の濃集量と最小の臨界質量を得られるよう保守的に行った.
      理論上の最大の濃集量を得られるよう,他の画化体の干渉を受けずに各固化体から核種が放出され地下水流下流に設定した濃集点に集積すると仮定して物質輸送/濃集モデルを立てた. ウランが花崗岩地下水中に溶けにくく,かつ,吸着により輸送が大きく遅延される場合,たとえ,処分場に埋設された40,000本の固化体から放出された核種がすべて1点に濃集すると仮定しても,ウランの濃集量は高々数モル程度である.しかし,ウランの花崗岩中での動きやすさが仮定した幅の最大限にある場合,1,000mの輸送距離でも約1モルの12%濃縮ウランを1本の固化体から供給できる.この濃縮度は再処理段階におけるウランとプルトニウムの回収率(それぞれ99.3%と99.85%と仮定)に依存する.
      濃集点の花崗岩空除率が30%のとき,過減速状態の臨界のためにすくなくとも280kgの12%濃縮ウランが必要である.濃集が花崗岩亀裂に沿うような非均質な場合,温度に対する正のフィードバックメカニズムが存在する.また,母岩の空隙率が重要なパラメータであることがわかった.
      このシナリオの発生確率を定量的に評価するためには,母岩の空隙率,核種移行経路の形状,核種濃集の地球化学的メカニズムなど処分サイト特有の情報が必要であるため,サイト選定のための特性調査/性能評価には臨界安全評価を加えることが望ましい.
  • 小畑 政道, 手嶌 孝弥, 倉橋 隆文, 金川 裕, 林 勝, 苅込 敏, 赤川 吉寛
    1998 年 4 巻 2 号 p. 21-30
    発行日: 1998/03/01
    公開日: 2014/10/01
    ジャーナル フリー
      原子力発電所から発生する固体状廃棄物を高周波誘導加熱方式で溶融処理した場合の核種の残存率と溶融体中での分布割合を運転温度,温度保持時間,廃棄物種類等をパラメータとして測定した.試験は,トレーサーを用いた小規模試験,実廃棄物を用いた小規模試験,コールドトレーサーを用いた実規模大試験とした.トレーサーは,廃棄物理設事業の申請対象核種を評価することを念頭において,C-14,Co-60,Ni-63(Ni・59,63の代表),Sr-85(Sr-90の模擬), Nb(コールド),Tc-99,I-131(I-129の模擬),Cs-134,Ce(コールド,α核種の模擬)を用いた.コールド試験では,Co,Ni,Sr,Nb,Re(Tcの模擬),Cs,Ce(α核種の模擬)を用いた.
      スケーリングファクタ法を用いて廃棄体中の放射能濃度を評価する上で重要な核種の一つであるCsは,運転温度と温度保持時間の管理で50%以上が溶融体内に残存すること, Coはほぼ全量が溶融体中に残存し,揮発が認められないことと確認した.その他の核種については,C-14,I-131は溶融体中に残存が認められず,Ni,Sr,Nb,Ceでは溶融体中にほぼ全量が残存し揮発は認められなかった.Te,Reでは85~100%が溶融体中に残存した.
      また,Co,Ni,Tc,Reは金属層,Cs,Sr,Ce はセラミック層に分布すること,Nbは両方の層に分布すること,各層内で核種は均一に分布することを確認した.
技術報告
  • 出口 朗, 高橋 美昭
    1998 年 4 巻 2 号 p. 33-36
    発行日: 1998/03/01
    公開日: 2014/10/01
    ジャーナル フリー
      実施主体が高レベル放射性廃棄物処分場の建設に着手するまでには,処分候補地の選定,処分予定地の選定,処分地の選定の各ステップを踏む必要があり,実施主体はそれらに対応した地質環境調査を実施することになる.
      本報告は,地質環境調査の基本的な考え方について,原子力委員会高レベル放射性廃棄物処分懇談会が平成9年7月に公表した「高レベル放射性廃棄物処分に向けての基本的考え方について」(案)を基に,現在検討中の電力共通研究の成果も加えて試案としてまとめたものである.
  • 河西 基, 馬原 保典, 田中 靖治, 田中 和広, 宮川 公雄, 塩﨑 功
    1998 年 4 巻 2 号 p. 37-49
    発行日: 1998/03/01
    公開日: 2014/10/01
    ジャーナル フリー
      わが国においては,高レベル放射性廃棄物は深部岩盤中に処分することが基本方針とされているが,処分の安全性の評価等においては放射性核種の主要な移行媒体となる深部岩盤中の地下水の流動を評価することが重要となる.特に,わが国では,地下数100mから1000m程度までの深地層中に処分することが基本方針とされており,結晶質岩系と堆積岩系が有望な候補岩体と考えられている.このため,割れ目・破砕帯や異方性などを含む複雑な地質構造における水理的特性や地下水流動をいかに適切に把握するかが重要な課題であり,このための調査や解析・評価に関する手法を体系的に確立しておく必要がある.
      本稿では,深部岩盤中の地下水流動の評価に関する岩盤透水特性の調査・モデル化手法,岩盤の割れ目等を考慮した地下水流動の解析手法ならびに環境同位体・地下水流向流速測定による地下水流動の調査評価技術などについて,(財)電力中央研究所などにおけるこれまでの開発の現状と適用例について紹介する.
  • 木方 建造
    1998 年 4 巻 2 号 p. 51-57
    発行日: 1998/03/01
    公開日: 2014/10/01
    ジャーナル フリー
      スウェーデンでは,高レベル廃棄物処分に関する新たな技術開発を行うと共に,これまで開発してきた試験調査手法を実規模で適用・検証することによって処分候補地点の調査,安全性の評価に役立てるため,地下研究施設をスウェーデン南部のエスポ島で運用中である.エスポ地下研究施設では1995年からは操業期と位置づけられ,地下研究施設内で様々な原位置試験が実施もしくは計画中である.本報では建設期から操業期にかけて実施もしくは計画されている原位置試験の概要を紹介するとともに,特に地下水流動の場としての地質・地質構造の調査・評価の観点から,1990年から始まったトンネル建設時に実施された各種データの取得に関する調査,および地下水流動や核種移動を評価する際の基本となる割れ目評価に関する調査事例を紹介する.
  • 小出 馨, 中野 勝志, 尾方 伸久
    1998 年 4 巻 2 号 p. 59-71
    発行日: 1998/03/01
    公開日: 2014/10/01
    ジャーナル フリー
      動力炉・核燃料開発事業団では,地層処分研究開発の基盤となる「地層科学研究」を実施しており,その主要項目として地質環境が本来備えている特性を明らかにするための研究がある.
      地質環境の中で,地下水の流動と地球化学的性質は,岩盤の鉱物学的な性質と共に,物質移行現象を支配する主要因子であることから,これらの知見を蓄積し一般化することは,物質移行現象を理解する上で極めて重要である.そのため,東濃地科学センターでは,地層科学研究の一環として,地下水の流動と地球化学的性質に関する研究を「広域地下水流動研究」と称して,岐阜県土岐市にある東濃鉱山とその周辺を研究の場として進めている.また,深地層における地下水の流動と地球化学的性質を理解するためには,岩盤の水理学的性質や地下水の水質に関する情報を取得し,現象をモデル化する必要があるため,大深度に対応した調査機器および解析・評価手法の開発を実施している.
  • 岩月 輝希, 豊嶋 賢治, 吉田 英一
    1998 年 4 巻 2 号 p. 73-81
    発行日: 1998/03/01
    公開日: 2014/10/01
    ジャーナル フリー
      岐阜県東濃地域において,深度1,000mまでの地下水の地球化学特性を体系的に把握するため,調査機器の開発と既存の調査機器の適用性評価および得られた地球化学特性データに基づき,深部地下水の水質形成機構や酸化還元電位などに関して解析手法の検討を行った.地下深部の地球化学特性データを取得するための調査技術に関しては,① 現存の技術と東濃地科学センターで開発された調査技術を併用することで,深部地下水の水質の把握が可能である.② 地下水の酸化還元電位測定伎術については,調査坑道での測定技術が確立されており,調査解析が行われている.表層からの試錐孔を用いた調査については機器の開発が終了しており,今後の調査により花崗岩深部の酸化還元状態が明らかになるものと予想される.得られたデータに基づく解析手法に関しては,割れ目帯などの地下水流動経路の調査,割れ目表面鉱物の変質状態の観察,各種同位体を用いた地下水の起源の推定,鉱物の飽和平衡状態の計算,マスバランスに基づく解析などを併用することで,地下水の水質形成機構を定量的に解釈することが可能である.
  • 佐藤 稔紀, 松井 裕哉, 杉原 弘造
    1998 年 4 巻 2 号 p. 83-89
    発行日: 1998/03/01
    公開日: 2014/10/01
    ジャーナル フリー
      東濃鉱山の軟岩と釜石鉱山の硬岩を対象として,測定手法の適用性を検討するために,複数の手法を用いて初期応力測定を実施した. その結果,東濃鉱山および釜石鉱山における初期応力状態が明らかになるとともに,既存の初期応力測定手法の適用性の検討結果から多くの知見が得られた. 初期応力の測定は,単一の手法により行われる場合が多いが,各手法とも評価を行うための仮説があり,それを満たすか否かは測定位置の岩盤状況によって異なるため,複数の手法で初期応力の測定を実施し,各手法の特徴や測点配置を考慮するとともに,地形やプレート運動から推定される広域の応力場との比較を通じて,それらの結果を総合的に検討することにより三次元初期応力を評価することが望ましいと言える.
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