原子力バックエンド研究
Online ISSN : 2186-7135
Print ISSN : 1884-7579
ISSN-L : 1343-4446
12 巻, 1-2 号
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総説
研究論文
  • 高村 尚, 奥津 一夫, Jean-Louis Gaussen, 新保 弘
    2006 年 12 巻 1-2 号 p. 11-20
    発行日: 2006年
    公開日: 2013/03/31
    ジャーナル フリー
     フランスでは長寿命核種を含む放射性廃棄物の処分に関して, 政府により「リバーシビリティ」の必要性が示されている. フランスにおける放射性廃棄物処分の事業実施主体であるANDRAはリバーシビリティをステップワイズな処分場およびそのマネッジメントにより具現化しようとしている. リバーシビリティを実現する上で, モニタリングは重要な役割を果たす. しかしながら, モニタリングにより処分場の長期健全性が損なわれることは許されない.
     本研究では, 処分場の構成要素の性能を低下させることなく, リバーシブル処分場におけるモニタリングを実現するため, データ通信用等のケーブルを使用しない無線モニタリングの概念を構築し, 処分場内における無線データ通信に関する技術的な実現可能性をモデル実験を通じて検討した.
  • 高村 尚, 奥津 一夫, 須賀原 慶久, 虎田 真一郎, 大内 仁
    2006 年 12 巻 1-2 号 p. 21-30
    発行日: 2006年
    公開日: 2013/03/31
    ジャーナル フリー
     地下構造物の計測データの通信手段として, 低周波電磁波 (100[Hz] ~ 10[kHz]程度の電磁波) を搬送波とした無線データ通信技術がある. しかしながら, この周波数帯域の電磁波は, テレビ電波や携帯電話等の高周波電磁波に比べて情報通信容量が少ないため, 搬送波としてこれまであまり利用されることがなかった. 一方, 放射性廃棄物地層処分施設においては水理場への影響を低減するという観点からケーブルを使用しない地中無線データ通信技術が有効であると考えられる. 本論文では, スウェーデン核燃料廃棄物管理会社 (SKB) の地下研究施設 (Äspö HRL) で実施した原位置通信試験結果にもとづき, 岩盤中における無線データ通信特性に関する検討内容を報告する.
技術報告
  • 上田 正人, 坂本 義昭
    2006 年 12 巻 1-2 号 p. 31-40
    発行日: 2006年
    公開日: 2013/03/31
    ジャーナル フリー
     深度約 50 mの地点より地下水を採水し, 地下水の中に溶存している腐植物質を合成吸着樹脂による濃縮法等により採取した. 採水した地下水および地下水から採取した腐植物質ならびに参照試料とした標準腐植物質の種々の特性データを取得し, 比較検討を行った. 標準腐植物質としては, 標準的な水中腐植物質であるNordic腐植物質および石炭等から抽出・精製された代表的試薬であるAldrichフミン酸を用いた. 未処理の地下水に含まれる腐植物質と濃縮・精製後の腐植物質の比較では, 腐植物質の特性を知るために重要と考えられた紫外可視吸収スペクトル, 三次元蛍光スペクトルおよびフミン酸/フルボ酸濃度比を調べた. また, 地下水腐植物質については, 核種移行への影響評価に重要な錯生成の観点から, 分子量分布, 赤外吸収スペクトルおよび核磁気共鳴スペクトルをNordic腐植物質と比較した. この結果, 濃縮精製後の腐植物質が地下水中の腐植物質と類似した特性を示すこと, および錯生成に寄与する酸性官能基を有する, アメリシウム (Am) との錯生成において腐植物質の分子量によらず一様に錯体を形成するなどの点でNordic腐植物質と同様の特性を有することが示唆された. これらの結果は, 本実験で用いた濃縮法を含む一連の方法は, 地下水中の溶存腐植物質の特性を損ねることなく採取する際に有効であること, ならびにわが国の地下水中の溶存腐植物質が, 金属イオンとの錯生成において, 既往の多くの研究で用いられている水中腐植物質の標準物質として国際腐植物質学会より配布されているNordic腐植物質と類似の特性を持つ可能性を示唆するものである.
  • -コロイドの多孔質媒体中移行モデルの実験による評価-
    向井 雅之, 田中 忠夫, 湯川 和彦, Suryantoro
    2006 年 12 巻 1-2 号 p. 41-52
    発行日: 2006年
    公開日: 2013/03/31
    ジャーナル フリー
     地下水中におけるコロイド共存下での放射性核種の移行を評価するため, 計算コードを作成した. ラテックスコロイドを海岸砂および赤色土カラムへ流入する実験を行い, 流出曲線に対する4種類の多孔質媒体中コロイド移行モデル (瞬時平衡反応モデル, 1次反応速度モデル, ろ過モデル, 付着容量に制限を設けた1次反応速度モデル) の適用性を検討した. 海岸砂からの流出曲線は, 瞬時平衡反応モデルでは破過のタイミングと相対濃度1への到達速度とを同時に表すことが困難である一方, ブロッキング現象を模擬したモデルの1つである1次反応速度モデルでは流出曲線を良好に再現できた. 赤色土からの流出曲線には, コロイドを繰り返し流入させたことに対応してコロイド流出濃度が階段状に高くなる特徴的な挙動が観察された. 可逆的な瞬時平衡反応モデルおよび1次反応速度モデルではこの挙動を表すことができなかった. しかしながら, ろ過に非可逆的な容量制限を設けた1次反応速度モデルにより特徴的な流出曲線を再現可能であった. 天然バリア中の核種移行に及ぼすコロイド影響評価モデルの基盤となるコロイド単体の移行モデルが実験結果をとおして適用性を示せた.
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