原子力バックエンド研究
Online ISSN : 2186-7135
Print ISSN : 1884-7579
ISSN-L : 1343-4446
25 巻 , 1 号
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技術報告
  • 武田 匡樹, 石井 英一, 大野 宏和, 川手 訓
    2018 年 25 巻 1 号 p. 3-14
    発行日: 2018/06/01
    公開日: 2018/07/04
    ジャーナル フリー

     泥岩中における断層帯および掘削影響領域(EDZ)に発達する割れ目は,主要な水みちとして機能することがあるため,これらの構造における物質移行特性を評価することは,高レベル放射性廃棄物の地層処分における安全評価において重要である.しかし,泥岩中の割れ目を対象とした原位置トレーサー試験の適用事例は国内外含めて非常に少ない.そこで,日本原子力研究開発機構では,稚内層と呼ばれる珪質泥岩中の割れ目を対象に,非収着性であるウラニンを用いた原位置トレーサー試験を実施した.原位置トレーサー試験を行う際は,事前調査を行い,割れ目中の地下水流れを評価した.また,稚内層を流れる地下水には被圧状態においてメタンや二酸化炭素などが溶存し,これらが坑道/ボーリング掘削により圧力解放されることで脱ガスするため,これらの条件も踏まえた上でトレーサー試験の試験条件を決定した.トレーサー試験は試験条件を変化させ,合計18回実施し,トレーサー回収率は概ね60%から80%となった.トレーサー試験の結果から,注水流量を揚水流量より大きくした場合に脱ガスの影響を低減することができる一方で,同様の条件ではトレーサー回収率が低くなったことから,本稿で報告したトレーサー試験においては,注水流量を揚水流量よりもやや高く設定することが適切な試験条件であることが分かった.ガスが溶存した地下水を含む岩盤を対象に注水および揚水を伴う原位置トレーサー試験を実施する際は,注水と揚水の流量比が①脱ガスの発生に与える影響,②トレーサー回収率に与える影響の双方を評価することが,脱ガスを抑制しつつトレーサー回収率を高めるための適切な試験条件を見出すことに有効である.

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