原子力バックエンド研究
Online ISSN : 2186-7135
Print ISSN : 1884-7579
ISSN-L : 1343-4446
20 巻, 2 号
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研究論文
  • 笹本 広, James Wilson, 佐藤 努
    2013 年 20 巻 2 号 p. 39-52
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/12/25
    ジャーナル フリー
     高レベル放射性廃棄物の地層処分における性能評価は,評価対象となる期間が長期にわたるため,このような長期においては緩衝材が変質し,緩衝材に期待される性能にも影響が生じる可能性がある.本報告では,処分環境において緩衝材が被ると予想される変質のうち,オーバーパックの候補材である炭素鋼(鉄)と緩衝材(ベントナイト)の相互作用を対象とし,鉄による緩衝材の変質影響に関する既往の知見を整理するとともに,それを踏まえた鉄との相互作用による緩衝材の長期的な変質評価のための手法を諸外国における先行事例も参考にしつつ開発した.
      変質評価手法の開発に当たっては,鉄-ベントナイト相互作用に伴う長期的な変質影響の評価で考慮すべき主要な現象を概念モデルとして整理した.概念モデルで考慮した現象のうち,緩衝材の変質に影響を与えると考えられる主要な反応・プロセスとして,1) オーバーパックの腐食反応に伴う Fe2+の供給,2) 圧縮ベントナイト中での Fe2+の拡散,3) スメクタイト結晶端への Fe2+の収着や層間でのイオン交換,4) スメクタイトの鉱物学的変化に伴う二次鉱物の生成を抽出した.これらの主要な反応・プロセスを対象に,緩衝材の変質への影響が最も大きいと考えられる要因を解析的に検討した.
  • 山口 正秋, 前川 恵輔, 竹内 真司, 北村 哲浩, 大西 康夫
    2013 年 20 巻 2 号 p. 53-70
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/12/25
    ジャーナル フリー
     東京電力福島第一原子力発電所事故後に地表に降下した137Csを対象に,主要な移行経路の一つと考えられる土砂移動(侵食,運搬,堆積)を考慮した移行解析のための簡易的な解析手法を考案した.本検討では,地理情報システム(GIS)のモデル構築機能を用いて,各関係機関がオンラインで提供する公開データを用いて解析を行うためのプログラムを構築した.試解析の結果,ダム湖や貯水池における顕著な堆積傾向や,シルト・粘土等の細粒物が粗粒の砂等に比べてより遠方まで運搬されるといった粒径毎の流送土砂量の違いなどが計算で再現され,定性的には既存の観測結果と概ね整合的であることが確認された.
  • 澤口 拓磨, 角脇 三師, 山口 徹治, 向井 雅之, 田中 忠夫
    2013 年 20 巻 2 号 p. 71-78
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/12/25
    ジャーナル フリー
     高アルカリ性地下水によるベントナイト系緩衝材の長期的な変質挙動を評価するため,圧縮状態におけるモンモリロナイトの溶解速度を調べた.その結果,130℃の条件下では,モンモリロナイト圧縮体の溶解速度はケイ砂-ベントナイト混合圧縮体中のモンモリロナイト溶解速度よりも高く,シリカ等随伴鉱物を含む混合圧縮体内ではOH-活量の低下によってモンモリロナイトの溶解が抑制されることが明らかとなった.また,溶解速度式を用いたベントナイト変質に係る解析に信頼性を付与するためには,混合圧縮体内におけるOH-活量の低下の定量化,およびモンモリロナイト圧縮体の溶解速度の定式化が重要であることを示した.
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