原子力バックエンド研究
Online ISSN : 2186-7135
Print ISSN : 1884-7579
ISSN-L : 1343-4446
18 巻 , 1 号
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研究論文
  • 花谷 育雄, 宗像 雅広, 木村 英雄, 三箇 智二
    2011 年 18 巻 1 号 p. 3-24
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/03/31
    ジャーナル フリー
     高レベル放射性廃棄物の地層処分においては, その長期的な安全性を確保する上で, 地下水流動に伴う人間社会への核種移行を評価する必要がある. 本研究はその評価手法整備の一環として, 地形変化による長期的な地下水流動への影響を評価するために, 堆積岩分布地域である房総半島の4河川を対象として, 河床縦断形変遷のシミュレーションを実施し, 線的侵食プロセスを再現するとともに, 氷期~間氷期の1サイクル分に相当する12.5万年間の侵食量を求めた.
     その結果, 4河川ともほぼ類似したパラメータを使用して河床縦断形の再現ができた. また, 房総半島では地質が比較的軟らかいため従順化しやすく, 隆起速度に見合った河床縦断形に変化することがわかった. 地域的には, 内湾に注ぐ河川と外洋に注ぐ河川とでは異なる地形変化を生じ, 前者では期間を通じて河床高度があまり変わらず, 海域は広範囲にわたって凹型の縦断形が現れるのに対し, 後者では海水準変動の影響が大きく, 期間中に河床高度が20~30m変化するとともに, 現在の水深が30m以深の海域に凸型の縦断形が現れることが明らかになった. さらに, 12.5万年間の侵食量は, 内湾河川では河口付近で20~50m, 上流域で250~300m, 外洋河川の場合は, 全域で150~250mという値が得られた. これらの結果から, 長期的な地下水流動の評価においては, 地形および地質環境の変化を考慮することが重要であると言える.
  • 尾山 洋一, 高橋 正明, 塚本 斉, 風早 康平, 安原 正也, 高橋 浩, 森川 徳敏, 大和田 道子, 芝原 暁彦, 稲村 明彦
    2011 年 18 巻 1 号 p. 25-34
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/03/31
    ジャーナル フリー
     地下水の水質や物理化学パラメータなどの地球化学特性は, その起源および岩石・鉱物との相互作用などの影響によって形成される. 本研究では、約9300点の深層地下水データのうち, 非火山地域のデータの抽出および地質による分類を地理情報システム (GIS) 上で行い, 約5200点のデータを4つのタイプの地質 (堆積岩類, 付加コンプレックス, 火山岩類, 深成岩類) を基に分類した後, 各地質における深層地下水の水温, pH, 主要イオン (Na, K, Mg, Ca, Cl, SO4, HCO3) 濃度の特徴の比較を行った. その結果, 総陽イオン濃度の平均値は各地質中の地下水間で有意に異なっており, 堆積岩類 (66.7 meq l-1), 火山岩類 (43.0 meq l-1), 付加コンプレックス (24.6 meq l-1), 深成岩類 (11.0 meq l-1) の順に低い傾向を示した. pHの平均値は地質間で大きな差は見られなかったが, 水温の平均値は火山岩類中の地下水が最も高い値を示した. 主要陽イオン (Na, K, Ca, Mg) 濃度の平均値は4種類すべてにおいて堆積岩類中の地下水が最も高かった. また, 主要陰イオンは Cl, HCO3, SO4がそれぞれ, 堆積岩類, 付加コンプレックス, 火山岩類中の地下水に最も多く含まれており, 水質に対する地質の影響の違いを確認することができた. 各陰イオンが優占する地下水の分布から, 火山岩類中の SO4タイプの地下水は, 新第三紀火山岩 (グリーンタフ) の影響を受けていることが示唆された. 一方, 近畿~四国地方の付加コンプレックス中の HCO3タイプの地下水は, 表層土壌や炭酸塩鉱物との反応だけでなく, 地下深部からのCO2ガスの供給により形成されている可能性が考えられた.
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