原子力バックエンド研究
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3 巻 , 2 号
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研究論文
  • 古賀 康男, 井上 敏克, 立屋敷 久志, 助清 満昭, 岡本 雅道, 浅野 闘一
    1997 年 3 巻 2 号 p. 17-25
    発行日: 1997/03/01
    公開日: 2014/10/01
    ジャーナル フリー
      原子炉の解体に伴い、大量の非放射性コンクリートが発生する。環境への配慮から、このコンクリートを処理して重量比で80 %を占める骨材を回収し、新設の工事等に使用することが期待されている。そこで、コンクリート塊に加熱処理とすりもみ処理を施して骨材を回収することを検討した。
      加熱処理が分離した骨材の性能に与える効果は温度が高いほど大きいが、高温になるにしたがって骨材そのものも劣化する。骨材の品質へ与える影響を考慮した効果的な加熱温度は200~500 ℃であった。加熱保持時間の影響は相対的に小さかった。また、300 ℃の加熱を施し、すりもみ効果の卓越したロッドミルおよび攪拌ミルによりそれぞれ30~120分処理したとき、建築工事標準仕様書・同解説JASS 5Nの絶乾比重および吸水率の規定値を満足する品質の粗骨材および細骨材が得られることが判明した。
  • 柳橋 邦生, 斎藤 俊夫, 小田川 雅朗
    1997 年 3 巻 2 号 p. 27-33
    発行日: 1997/03/01
    公開日: 2014/10/01
    ジャーナル フリー
      低レベル放射性廃棄物施設用のコンクリートには高い耐久性が要求される。耐久性の改善手法としてグリコールエーテル誘導体およびシリカフュームを混和剤として使用する方法を考案し、コンクリート試験体の評価を行った。評価項目は、圧縮強度、水の拡散係数、中性化深さ、乾燥収縮、塩分浸透深さおよび凍結融解抵抗性についてコンクリート試験体を用いて評価を行った。また、モルタル試験体にガンマ線を照射し、圧縮強度と137Csの拡散係数の照射前後の変化を調べた。試験の結果、グリコールエーテル誘導体とシリカフュームを使用したコンクリートは、高い耐久性を示すことが確認できた。
  • 豊原 尚実, 佐藤 龍明, 和田 幹雄, 石井 友晴, 松尾 和昭
    1997 年 3 巻 2 号 p. 35-43
    発行日: 1997/03/01
    公開日: 2014/10/01
    ジャーナル フリー
      雑固体放射性廃棄物を長期間安定に固型化する目的のためにセメントの流動性を高める無機の流動化剤を開発した。無機の流動化剤の添加によりセメントのゼータ電位は大きな負の値を示し、セメント粒子が分散する。またゼータ電位の時間による低下は小さいことがわかった。無機流動化剤の主成分である縮合リン酸ナトリウムは、セメントからのカルシウムイオンの溶解を押さえるとともに、溶解したカルシウムイオンを取り込んでコロイドを形成する。無機流動化剤を使用したセメントは、強度、放射能収着性能ともに無機流動化剤を添加しないセメントと同等であることを確認した。さらに雑固体廃棄物を隙間無く充填固化できることを確認した。
  • 佐々木 忠志, 三原 茂, 鈴木 和則, 唐沢 義光, 池田 浩一
    1997 年 3 巻 2 号 p. 45-54
    発行日: 1997/03/01
    公開日: 2014/10/01
    ジャーナル フリー
      アルカリ活性スラグセメント (以下スラグセメント、AASCと略す) による放射性廃棄物固化処理を研究した。原子力発電所や再処理施設から発生する濃縮廃液、イオン交換樹脂、焼却灰、HEPAフィルタの固化処理、雑固体廃棄物の充填用モルタルの適用に関して、ビーカー試験、パイロット試験を実施し、高充填で良好な物性をもっ固化体の作製、良好なモルタル特性が確認できた。さらに各固化体の核種保持性能データを取得した結果、埋設場受け入れ基準を満足できることがわかった。
      本論では、スラグセメントを用いた各廃棄物の固化特性副験結果、スラグセメントによる総合的な固化処理システム、既存技術との比較等について報告する。
  • 松田 敦夫, 山本 和夫, 小西 正郎, 岩本 容昭, 吉兼 亨, 鯉江 利夫, 中島 佳郎
    1997 年 3 巻 2 号 p. 55-61
    発行日: 1997/03/01
    公開日: 2014/10/01
    ジャーナル フリー
      廃炉となる原子力発電所の解体コンクリートのモルタル部分を再生加工して製造する再生セメントを他の汚染物質の固化処理用充填モルタルとして使用できればトータルの発生廃棄物量の大きな低減が期待できる。この目的に用いる再生セメントモルタルの水和組織、圧縮強度、コンシステンシーに関する基本特性を調べた。
      再生セメントは普通セメントに比べて発現強度が低い。しかし、適量の高性能AE減水剤を添加して水セメント比を低くすれば、所要の強度を達成することは可能である。その結果、モルタルの粘性が増加してPロート流下時間が大きくなるが、狭隘な空間への充填性能は普通セメントを用いたモルタルと同等であることを、新たに考案した鋼球間隙充填試験により確認した。したがって、雑固体廃棄物を固形化するための充填材料として使用することは十分可能で、あると考えられる。
  • 野下 健司, 西 高志, 松田 将省
    1997 年 3 巻 2 号 p. 63-70
    発行日: 1997/03/01
    公開日: 2014/10/01
    ジャーナル フリー
      セメント固化体による無機C-14(CO32-)の収着機構をバッチ法による分配係数測定試験、XPS分析、ゼータ電位測定により検討した。その結果、C-14はセメント構成成分であるSiO2とCaOの反応生成物に静電的に吸着されることを見出した。この反応では、マイナスに帯電したSiO-がCa2+と反応しプラスに帯電したC-14吸着サイト(SiO-Ca+)を生成する。以上の機構に基づき、Cs-134,Co-60,Am-241の収着機構についても検討を行った結果、Cs-134は陽イオンとしてセメント中のSiO-に静電的に吸着し、Co-60,Am-241はC-14と同じくセメント中のSiO2とCaOの反応生成物に収着することがわかった。
      普通ポルトランドセメント(OPC)はCaO成分に比べSiO-生成量が少ない。このため、これらの核種の分配係数を向上するためには、SiO-を生成する高炉スラグをOPCに添加し、Ca2+/SiO-比を最適化すれば良い。その結果、高炉スラグを50wt%添加することにより、いずれの核種も分配係数が向上することを確認した。
  • 三原 守弘, 入矢 桂史郎, 根山 敦史, 伊藤 勝
    1997 年 3 巻 2 号 p. 71-79
    発行日: 1997/03/01
    公開日: 2014/10/01
    ジャーナル フリー
      処分場に用いられたセメント系材料は、処分場閉鎖後、地下水と接触し長期間にわたりその構成成分が浸出することにより徐々に変質していく。セメント系材料の構成成分の浸出を抑制するためシリカフュームを混合したセメントペーストを作製し浸出試験を実施した。浸出液の化学組成の変化ならびにセメントペーストの固相について定量分析を行い、試験前後におけるセメント水和物の変化を調べた。また、化学平衡モデルを用いてセメント水和物の中で最も量の多いC-S-HゲルについてBernerのモデルに基づく解析を行い浸出試験結果と比較した。
資料
  • 坂本 浩幸, 芳賀 和子
    1997 年 3 巻 2 号 p. 81-89
    発行日: 1997/03/01
    公開日: 2014/10/01
    ジャーナル フリー
      放射性廃棄物処分システムの中でセメント系材料は、①廃棄物埋設施設の施設構造材(躯体コンクリート)、②放射性廃棄物を物理的に不動態化する固型化材および③廃棄物固化体と施設の間にある空隙を埋める充填材として使用される。これら処分システムに使用されているセメントは、処分環境を高いアルカリ性に保つことによりTRU核種を含む多くの放射性核種の溶解度を下げ、かつ、吸着・収着等の化学的な現象に基づく核種の移行抑制に寄与している。放射性廃棄物処分システムの安全性が長期にわたって確保されるためには、セメントのアルカリ性に基づく核種の移行抑制機能が長期間維持されることが前提となるが、そのためには処分システムのアルカリ性環境の長期変化を合理的に予測評価する事が必要になる。Atkinsonらは、廃棄物処分システムのpH変化をポルトランドセメント硬化体の主な構成物であるカルシウムシリケート水和物の溶解特性と地下水によるセメント成分の溶出から評価する方法を提案している。
      本報告では、Atkinsonらによって提案された処分環境のpH評価手法とその手法の基礎となっているセメント水和物溶解特性研究の現況を紹介する。
研究論文
  • 穂刈 利之, 沖原 光信, 石井 孝夫, 水無瀬 直史, 斉田 勇三, 生瀬 博之
    1997 年 3 巻 2 号 p. 91-98
    発行日: 1997/03/01
    公開日: 2014/10/01
    ジャーナル フリー
      実際の構築物におけるベントナイト混合土の透気特性を推定する場合には、ベントナイト混合土の小型供試体による室内実験結果に基づいて設定するととが現実的である。本報告では、供試体の寸法を変えで透水・透気試験を実施し、当該特性の寸法効果について検討を行った。
  • 山口 徹治, 磯部 博志, 中山 真一
    1997 年 3 巻 2 号 p. 99-107
    発行日: 1997/03/01
    公開日: 2014/10/01
    ジャーナル フリー
      岩石内におけるイオンの拡散現象を定量的に理解するためには、岩石の間際構造に関する知見が不可欠である。間隙の大きさが拡散するイオンの大きさや平均自由行程に比べて充分大きいことや、間隙構造が均一であることは、間隙中におけるイオンの挙動にフィックの法則を適用するにあたっての前提条件である。そこで、花崗岩内の微小間隙の構造を水飽和法及び水銀圧入法で解析した。これらの方法は岩石の間隙率及び間隙径を測定する方法として一般的であるが、間隙率が極めて小さい岩石に対して精度のよい結果を得るためには工夫が必要である。水飽和法では、水飽和重量、乾燥重量及び水没重量から間隙率を測定するが、これらのうち水飽和重量が最も大きな誤差を伴いやすく、間隙率の測定精度に影響する。そこで乾燥曲線法を用いて水飽和重量を精度よく測定した。水銀圧入法では、サンプル表面の凹凸が測定誤差をもたらす。また間隙率が小さい岩石に対しては水銀の浸入量が少ないために測定精度が悪くなる。そこで測定を行なう岩石サンプルを直方体に切断加工するとともに、その直方体の試料5片 (計約6ml) を一度に測定に供することにより水銀浸入量を稼いだ。これらの工夫により、茨城県稲田産花崗岩及びカナダ、マニトバ州にあるカナダ原子力公社 (AECL) の地下実験施設 (URL) から採取した花崗岩 (URL花崗岩) の間隙率を精度よく測定することができ、間隙径はほぼ対数正規分布をとることが確認された。稲田花崗岩の間隙率は (0.49±0.07) %であり、間隙の直径の最頻値は160nmであった。SEM観察により大きさが数十~数百nmの間隙の存在が確認された。URL花崗岩については間隙率が (0.40土0.10) %、間隙の直径の最頻値は340nmであった。これらの花崗岩内におけるイオンの拡散現象に通常のフィックの法則を適用するための前提条件がほぼ満たされていることが確認された。
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