セメント固化体による無機C-14(CO
32-)の収着機構をバッチ法による分配係数測定試験、XPS分析、ゼータ電位測定により検討した。その結果、C-14はセメント構成成分であるSiO
2とCaOの反応生成物に静電的に吸着されることを見出した。この反応では、マイナスに帯電したSiO
-がCa
2+と反応しプラスに帯電したC-14吸着サイト(SiO-Ca
+)を生成する。以上の機構に基づき、Cs-134,Co-60,Am-241の収着機構についても検討を行った結果、Cs-134は陽イオンとしてセメント中のSiO
-に静電的に吸着し、Co-60,Am-241はC-14と同じくセメント中のSiO
2とCaOの反応生成物に収着することがわかった。
普通ポルトランドセメント(OPC)はCaO成分に比べSiO
-生成量が少ない。このため、これらの核種の分配係数を向上するためには、SiO
-を生成する高炉スラグをOPCに添加し、Ca
2+/SiO
-比を最適化すれば良い。その結果、高炉スラグを50wt%添加することにより、いずれの核種も分配係数が向上することを確認した。
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