本研究の目的は,医療機関における原価計算システム利用の現状を把握すること,並びに運用における効果的なデータ活用に向けて影響要因を得ることである。このため,2016年1-2月にDPC/PDPS対象病院(1,580病院)への郵送アンケート調査を実施した。
結果として,167病院(回収率10.6%)からの回答を得て,部門別計算45.5%/DPC別計算23.3%での実施が確認できた。また,事前期待度/事後活用度については差があり,目的ごとの活用度についてもバラつきが確認できた。加えて,損益分析・予算管理・経営意識向上に対する原価計算の目的意識や医療機関の開設主体が,計算結果の事後活用度に影響を与えていることが確認できた。
このことから,医療機関における原価計算は十分な実施が見られておらず,目的ごとに活用度への影響が異なることから,目的に適合した構築・運用を検討する必要があることが示唆された。
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