経済格差増大に伴い,日本でも医療費を支払えずに受療を控える高齢者が近年増加していると報告されている。本研究では,福祉専門職が高齢者を支援する際に支援困難につながる各種要因を精査し,既存制度の使いづらさの実態とその対応策を検討することを目的とした。関西6府県の全病院と地域包括支援センター,社会福祉協議会,自治体の3種類の機関に勤める福祉専門職を対象に実施した質問紙調査の支援困難事例・制度課題関連事項の自由記述回答から得られたテキストデータを用い,内容分析を実施した。支援困難の発生要因は,支援される側,支援者側,制度の各要因に分類できた。特に制度の使いづらさに関しては制度へのアクセス,制度内容,支援環境整備,支援者連携促進等が改善領域となり得ることが示された。本研究で同定した支援困難の発生要因/改善領域分類は,関係者が支援困難事例の課題を打開するための一助になることが期待される。
病院種別に対応する経営情報マネジメントの特徴を明らかにするため,病院経営医療法人を対象としたアンケート調査結果に基づく多重比較を行った。結果,一般型では人員体制,情報システム,経営企画などの部署単位での関与が多かった。ケアミックスは一般型寄り・療養型寄りの2方向の特徴を持ち,特に一般型・一般型寄りのケアミックスは複数データ集計・分析が必要な情報の重要性・利用頻度が高かった。一方,療養型・精神型は医療サービス提供頻度が低い項目の重要性・利用頻度が低下した。全体として病院種別に基づく法令遵守,定期的な外部報告の必要がある項目で重要性と利用が高かった。以上より経営情報マネジメントでは,病院種別に対応した組織・人材スキル・情報システム体制,経営情報の重要性と利用に特徴があることが示唆された。
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