日本医療・病院管理学会誌
Online ISSN : 2185-422X
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59 巻, 3 号
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巻頭言
研究論文
  • 野田 京花, 森脇 睦子, 額賀 みのり, 佐々木 美樹, 山内 和志, 林田 賢史, 緒方 泰子
    2022 年 59 巻 3 号 p. 88-98
    発行日: 2022/07/31
    公開日: 2022/07/28
    ジャーナル フリー

    本研究は,誤嚥性肺炎で自宅から入院した高齢患者の自宅外退院に影響する要因を,Diagnosis Procedure Combination(DPC)データを用いて患者要因の視点から検討した。対象は2018年4月から2019年3月に入院した患者23,781例とした。患者背景因子は,χ2検定及びMann-WhitneyのU検定を用いて「自宅/自宅外」で群間比較した。次に看護必要度評価項目の要約のために因子分析を行い,退院先を従属変数,患者背景因子,病院背景因子,看護必要度の各因子の有無を独立変数としてロジスティック回帰分析を行った。自宅外退院に影響する患者要因は「75–84歳」,「85歳以上」,「Activity of Daily Living(ADL)」,「危険行動」,「経管栄養」,「中心静脈栄養」,「A項目因子1: 循環・呼吸の管理」,「ドレナージの管理」,「危険行動×経管栄養」,「循環・呼吸の管理×褥瘡」,「A項目悪化」であった。ADL能力と医療的処置が重要な要因であることが明らかになった。

  • 田畑 真澄, 戸ヶ里 泰典
    2022 年 59 巻 3 号 p. 99-109
    発行日: 2022/07/31
    公開日: 2022/07/28
    ジャーナル フリー

    介護老人保健施設の介護職・看護職を対象として,職場風土良好度尺度の因子構造と職種間の因子不変性を確認することと,職場風土良好度とSense of Coherence, つまりストレス対処力・健康保持の指標との関連を検討することを目的として,無記名自記式質問紙調査を実施し多母集団同時分析を行った。

    その結果,職場風土良好度は職種間で等質であり,「役割目標の明確さ」「心理的報酬」「信頼と協力」「自己表出」の4因子に分けて捉えられること,職場風土良好度の4因子が評価指標となること,その得点の持つ意味は職種によらず普遍的であることが明らかになった。また両職種において職場風土良好度が高いほどSense of Coherenceが高いという正の関連性を有すること,またその関連性は職種によらず同量の大きさであることが明らかになった。

    ストレス対処の成否にかかわるSense of Coherenceの維持・向上において職場風土の重要性が示唆された。

研究資料
  • 福田 幾夫, 池内 淳子
    2022 年 59 巻 3 号 p. 110-119
    発行日: 2022/07/31
    公開日: 2022/07/28
    ジャーナル フリー

    【目的】災害被災を前提とした病院のBusiness Continuity Plan(BCP)準備状況を評価する。【対象と方法】日本病院会所属の病院および大学病院2,537病院にBCPに関するアンケート調査用紙を郵送し,495病院の回答を立地,電気,水などのインフラストラクチャについて解析した。【結果】救命救急センター設置105病院。災害リスクの認識として,直下型地震283, プレート型地震230, 洪水205, 津波118, 液状化108病院。職員への病院周辺の震度5以上の地震リスク周知70病院(14%),病院周囲のハザードマップ周知55病院(11%)であった。非常用発電燃料備蓄は1~3日が293病院と最多,非常用電源の点検は年1回がもっとも多く50%で,2月に1回以上行っている病院が38%あった。65%の病院で浸水リスクの高い屋上高架水槽を保持していた。【結論】災害リスクの職員への周知は十分ではない。非常用電源の保守点検は十分に行われていたが,高架水槽の設置率は高く,補強,移動など災害時の対応を検討する必要がある。

  • 大重 育美, 山口 多恵, 飛奈 卓郎, 中島 充代, 木村 涼平, 永松 美雪, 倉岡 有美子
    2022 年 59 巻 3 号 p. 120-127
    発行日: 2022/07/31
    公開日: 2022/07/28
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,妊娠期の16時間交代制勤務看護師を対象に,妊娠中期にあたる20週を境に妊娠20週未満群と以上群に分けて,疲労,身体活動量,睡眠の質について比較を行い,その特徴を明らかにすることを目的とした。対象者は計14名で,妊娠20週未満群6名と妊娠20週以上群8名であった。日勤・夜勤・休日の勤務帯における疲労(自覚症しらべ),蓄積的疲労徴候(CFSI),睡眠の質(PSQI-J)を自記式質問紙法で,身体活動強度の実態を身体活動量計を用いて調査した。その結果,妊娠20週未満群では,PSQI-J低群が多く,日勤前後・夜勤前後・休日前後で疲労回復しているが,妊娠20週以上群では,PSQI-J高群が多く,睡眠障害傾向が強くなる傾向がみられ,日勤・夜勤・休日の推移の中でも特にねむけ感や身体的疲労が改善しないまま経過している可能性が示唆された。さらに,身体活動量では妊娠20週前後での差異はなかった。

編集後記
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