日本医療・病院管理学会誌
Online ISSN : 2185-422X
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50 巻, 3 号
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巻頭言
研究論文
  • —医薬品のトレーサビリティと取り違え防止の観点から—
    山北 勝夫, 菅野 敦之, 大道 久, 根東 義明, 梅里 良正
    2013 年 50 巻 3 号 p. 189-197
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/09/10
    ジャーナル フリー
    厚生労働省は,医薬品のトレーサビリティの確保に加え医薬品の取り違え事故防止等を目的として新バーコード表示を推進している。
    本研究は,保険薬局において,新バーコードを活用して医薬品のトレーサビリティを実現するためにどのような課題があるか検証し,さらに,医薬品の取り違え防止効果等にどのような効果があるか分析した。
    当保険薬局において,医薬品のトレーサビリティを実現するためには,システムの追加や既存システムの機能変更等,様々な課題があったが,医薬品の最終消費者である患者まで,処方薬の製造番号又は製造記号ごとに追跡することが可能となる情報管理システムを構築することができた。また,このシステムは医薬品の取り違え防止等のインシデントレポート件数を20.3件/月から0.6件/月に減少させるなど保険薬局の業務改善に有効であることが示唆された。
    医薬品のトレーサビリティの実現は,医薬品の不具合が発見された時点で最終消費者である患者に安全情報を素早く提供することが可能となり,医療事故防止に大きく貢献できるものと考える。
研究資料
  • 古田 勝経, 溝神 文博, 宮川 哲也, 森川 拓, 永田 治, 永田 実, 福澤 悦子, 油座 マミ, 櫻井 淳二, 庄司 理恵, 藤井 ...
    2013 年 50 巻 3 号 p. 199-207
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/09/10
    ジャーナル フリー
    褥瘡は寝たきり高齢者に多い慢性創傷であり,難治であり医療費や患者の生活の質に影響を与える。チーム医療で治療を行うことが治癒促進につながるが薬剤師の積極的な関与が少なく本来のチーム医療の有用性は示されていない。そこで,本研究では,薬剤師の積極的関与のある褥瘡チーム医療治療群と褥瘡ハイリスクケア加算群とで,褥瘡治癒に関する費用対効果を検討した。患者数は(褥瘡チーム医療治療群 / ハイリスクケア加算群) 295名/80名,DESIGN点数の減少を用いた費用対効果の比較では総費用(円/点) 6,709 / 24,549で,褥瘡チーム医療治療群はハイリスクケア加算群に比べ約4分の1におさえられていた(p<0.001)。
  • 後藤 励, 新井 康平, 謝花 典子, 濱島 ちさと
    2013 年 50 巻 3 号 p. 209-218
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/09/10
    ジャーナル フリー
    【目的】 内視鏡胃がん検診を診療所レベルで実施する際に,どのような資源が検診数に影響しているのかを検証する。
    【方法】 診療所レベルでの内視鏡胃がん検診を10年前後に渡り,実施してきた鳥取県米子市と新潟県新潟市の診療所に郵送質問票調査を実施した。人的資源,物的資源,医師の特性,といった変数を説明変数として測定し,週当たりの検診数を被説明変数としたポアソン回帰を行った。また,各診療所の今後の検診件数増加の意向についても調査した。
    【結果】 消化器内視鏡学会専門医の有無と医師の年齢を除けば,主には物的資源が検診数に有意に影響を与える変数となった。ここで物的資源の変数は,内視鏡本数,全自動洗浄機の保有,専用内視鏡室の有無などから構成されており,いずれも検診数を増加させる要因だった。
    【結論】 内視鏡検診の件数増加については,物的資源への投資の有効性が示唆された。
  • (私大病院医療安全推進連絡会議共同研究)
    岩尾 亜希子, 藤原 喜美子, 長谷川 志保子, 上野 京子, 太田 久子, 長谷川 幸子, 櫻井 順子, 會田 秀子, 中澤 惠子, 小市 ...
    2013 年 50 巻 3 号 p. 219-227
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/09/10
    ジャーナル フリー
    院内暴力の現状は,幾つか報告されているが,高度先進医療を担う大学病院に特化した報告はない。私立大学病院医療安全推進連絡会議では,職員が安全に働くための環境を整備する事を目的に2011年に都内私立大学附属病院本院に勤務する全職員29,065名を対象に質問紙による調査を行った。その結果,回収率は78.6%で過去1年以内に院内暴力を受けた人は44.3%だった。更に暴力が原因で「退職したいと思った」が3.7%(1,159名),「死にたかった」が0.2%(58名)いるにもかかわらず個人の対応としては,我慢や謝罪をしている現状が明らかになった。又,各施設で整備されているサポート体制の認知度は低く「サポート体制が無い」,「わからない」と回答した職員が合わせて71.7%だった。院内暴力に対する不安を5段階評価で2以上(何らかの不安を感じている)の職員が86.3%いた事は重く受け止められるべきであり,院内暴力の現状認識と有効な対策の立案が急務であるとともに患者・患者家族との信頼関係の構築が必須である。
学術シンポジウム
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