日本医療・病院管理学会誌
Online ISSN : 2185-422X
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59 巻, 2 号
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巻頭言
研究論文
  • 簗取 萌
    2022 年 59 巻 2 号 p. 48-55
    発行日: 2022/04/30
    公開日: 2022/04/28
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,大規模病院に設置された横断的組織の比較事例分析を通じて,医療現場に適した経営的な方策を決定する問題解決プロセスを検討することにある。2つの急性期総合病院おけるフィールド調査の分析からは,複数の医療従事者から構成される委員会のような横断的組織においては,構成員の専門知識では十分に対応できない知識の補完が,領域横断的な知識の活用を促進して,組織全体に適した問題解決の可能性を高めることが明らかになった。そのことからは,医療現場に対応しながら委員会が有効に機能するためには,高度な人材を単に配置するのではなく,全体的な視野を共有しながら医療現場全体の知識を活用できる運用が重要であることが示される。

  • 山蔦 圭輔
    2022 年 59 巻 2 号 p. 56-67
    発行日: 2022/04/30
    公開日: 2022/04/28
    ジャーナル フリー

    本研究では,COVID-19状況下における医療従事者のバーンアウトとストレスについて検討することを目的とした。医療従事者280名を対象に調査を実施した。調査は,日本語版バーンアウト尺度,職業性ストレス簡易調査票(2019年・2020年)を用い実施された。

    分析の結果,2019年と比較して,2020年で仕事のストレス要因が高いことが明らかとなった。加えて,情緒的消耗が高い場合,身体的不調や心理的不調を呈する可能性が明らかとなった。さらに,2019年と比較して2020年では,情緒的消耗が高い場合に仕事のストレス要因および心身のストレス要因が高いことが明らかとなった。また,心身の不調や日常生活の苦痛,差別や偏見,心身に対する負荷が増大など,COVID-19状況下で生じると仮定できる変化を経験している場合,仕事のストレス要因が高いことが認められた。加えて,ストレス状況は職種により相違がないことが認められた。さらに,情緒的消耗が高い場合,COVID-19に対する不安や葛藤,混乱を呈している可能性が推測された。

研究資料
  • 小木曽 加奈子
    2022 年 59 巻 2 号 p. 68-77
    発行日: 2022/04/30
    公開日: 2022/04/28
    ジャーナル フリー

    本研究は,地域包括ケア病棟の看護職に対し,退院支援における職務行動遂行能力に関連する要因を明らかにすることを目的とし,605名の看護職に質問紙調査を行った。その結果,退院支援看護師の個別支援における職務行動遂行能力評価尺度(NDPAS)に関連する項目のモデルのVIFは1.097~1.636であった。NDPASには,【家族の現状を考慮する】,【退院後へつなぐ医学的管理】,その人らしさ,などが関連していた(R2adj.=.515)。NDPASとNDPASの下位尺度に関連する項目としては,【家族の現状を考慮する】と【退院後へつなぐ医学的管理】が強い関連を示した。家族の状況を考慮し,退院後にも継続する医学的管理に対して,具体的な看護介入や退院調整に結び付ける支援が重要であることが示唆される。

  • 上元 達仁, 大西 麻未
    2022 年 59 巻 2 号 p. 78-85
    発行日: 2022/04/30
    公開日: 2022/04/28
    ジャーナル フリー

    本研究は,日本の訪問看護師の就業継続及び離職に関わる要因についての知見を整理し,訪問看護師の定着促進に向けた課題を明らかにすることを目的に,過去10年間の文献を対象に文献検討を行った。PubMed,医学中央雑誌を用いて2011~2020年の文献検討を行った結果,国内外の14文献が抽出された。訪問看護師の就業継続及び離職に関わる要因として,同僚からの支援,自律性ややりがい,生活と仕事の両立,判断などの仕事の負担感が明らかにされていた。実践の場において,訪問看護師が支援を得られる手段を確保すること,それにより負担を軽減してやりがいを感じられる職場環境を構築すること,生活と仕事のバランスに配慮することが必要であると考えられた。今後の研究上の課題として,多様な要因を合わせて分析することや,信頼性・妥当性の高い尺度,項目を用いて就業継続及び離職との関連を見ていく必要性が示唆された。

編集後記
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